- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048682886
作品紹介・あらすじ
誰にでも、失いたくない楽園がある。息苦しいほどに幸せな安住の地。しかしだからこそ、それを失うときの痛みは耐え難いほどに切ない。誰にでも優しいお人好しのエカ、漫画のキャラや俳優をダーリンと呼ぶマル、男装が似合いそうなオズ、毒舌家でどこか大人びているシバ。花園に生きる女子高生4人が過ごす青春のリアルな一瞬を、四季の移り変わりとともに鮮やかに切り取っていく。壊れやすく繊細な少女たちが、楽園に見るものは-。
感想・レビュー・書評
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「春の繭」
触れられたくないところ。
誰かを傷つけるような事なら良くないが、ただ歪な愛情が護っている世界ぐらい自由に暮らしてもいいのでは。
「チョコレートブラッド」
馬鹿な子は皆に助けられ。
甘えれる存在に飢えているだけだとしても、あまりにも無防備でいるからこそ簡単に流されてしまうのだろう。
「echo」
腹の奥まで響く音を聴き。
逃げた後の出来事を誰も教えてくれないどころか、別れの言葉すら告げられずに行ってしまうのは寂しいだろ。
「ガーデン・ロスト」
嫌いになれなかった人達。
学歴は時に重要になることもあるが、本人が望んで高みを目指していなければ親のエゴになってしまうだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やっぱり紅玉いづき先生が書く少女たちが主役のお話が1番好きです。なかなかに個性的な性格の子が多くて胸がキュンとしました!学生時代の青春はその時にしか味わえないから、読了後なんだかラムネが飲みたくなりました。
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4人だけの部活で、それぞれの恋愛の形と進路、生き方とか。恋愛の話は文通相手、同級生、年上の幼馴染、同い年幼馴染とかね。
見事に性格の違う子同士で、よく一緒につるめたな〜と思うけど、まあ、高校生同士であればそういう縁もアリでしょう。 -
痛々しいくらいに等身大で、高校生という時間にもがく女の子たちの話。
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4人だけの放送部。部室にいる時だけ訪れる感情や想い。居心地がいいだけじゃない。仲がいいだけじゃない。それでも部室の扉を開けてしまう。そこにいつもの顔がいることに安心し嫌悪する。
昨年紅玉いづきと出逢い、紅玉いづきの本を少しずつ読んでいます。その度に心が剥き出しにされ、鋭い爪で引っ掻かれます。ズタズタに引き裂かれ痛みに耐えながら読み進めると、不意に心が温かいもので包まれるのです。
その度に、紅玉いづきの魅力に打ちのめされるのです。なので少しずつ少しずつ読むのです。
偽善的なまでに誰にも優しく接する。寂しさから誰かと繋がっていることを求める。自分じゃない自分になりたい。母親の過干渉に従う自分を嫌悪する。嘘を嘘と知りつつ気付いていないことにする。好きになりたくないのに惹かれる。どうしようもなく嫌な自分と向き合ってくれる友達。
傷つき傷つけられ傷つけてしまう心。救い寄り添い癒し咎めてくれる心。高校3年生の4人の心が、容赦なく切り込んでくる言葉で表わされる。友情なんて言葉じゃ括れない4人の関係。
これぞYA文学の真髄。10代の心を刺激し寄り添ってくれるものなのだろうと、思い知らされるのです。だから大好きなのです。読んで自分の中の奥底にある、10代の心が刺激されるのです。 -
ライトノベル
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自分を肯定出来ない女の子達。
高校生ってこんなにも情緒不定だったっけ。
それとも、自分が余りにも歳をとったからそんな風に感じるのかな。 -
いつもはぬるま湯で時々冷水や熱水の弾けるような学生時代。子供ではいられず、大人には届かず、小さな世界で笑い悶え苦しむ。話す側から忘れてしまうような会話のなんと愛おしいことか。
あぁ、懐かしい。 -
お人好しのエカ、愛玩動物のようなマル、ボーイッシュなオズ、毒舌でおとなびたシバ。
彼女たちの楽園は、4人で定員オーバーになる、ちいさくてあたたかな放送部室だった。
女子高生の繊細さと閉塞感がリアルな、胸に爪を立てられるような甘やかな痛みを伴う物語。
4人のそれぞれの視点で、高校三年生の季節を巡っていく。
読んでいて息が詰まりそうで、痛くて、苦しく、しかし、そこがたまらなく愛おしく、美しいと感じた。苦しいのに読むのをやめられないのは、彼女たちのなかに当時の「私たち」を見るからだろうか。学生時代に読みたかった気もするし、今じゃないと読めなかった気もする。
「失ったものばかりが美しく、取り戻せないものばかりが愛おしく感じられます」
というあとがきの言葉が、すべてだと思う。 -
自尊心が高く、優しく、寂しがり屋で不器用な4人の女子高生たちの成長。道徳の教科書に載るような、きれいなおためごかしではない。ぐちゃぐちゃした不安定さが顔を出す。この物語が、必要とする子の手に渡るといい。