新版 戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書 179)

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  • アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048689595

感想・レビュー・書評

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  • モノや情報が溢れかえる中、如何に商品やサービスを売ったらよいのか?その答えの一つとなるのが本書で言う戦略PR。国内外の事例と戦略PRの手法、これまでの経緯を図などを用いながら、短時間で学ぶことができる良書。
    2009年の旧版では、永谷園『「冷え知らず」さんの生姜シリーズ』を成功事例として扱っていたのに対し、2011の新版では、サントリー「ハイボール」、アディダス「迷走ランナー」、フェディリティ投信「老後難民」という事例を通して、今後主流化する広告や店頭との連動事例や、テーマ設定のプロセスにフォーカスしている。

    広告をラブレターに例え、以前に比べラブレターの効力が落ちた(埋もれて読まれなくなった)現代に、どうしたらラブレターの効力を向上させることができるのか?
    ラブレターを手にとって、読んでもらえるようにお膳立てをするのが戦略PRの考え方。

    このような取り組みは何年も前からやっているだろうと思っていたが、実は国内ではここ最近のことで、米国に比べて10年以上遅れていることや、広告業界でもメディア戦略を包括してディレクションできる人材が少ないことを知り、正直驚いた。

    著者が本書の中で多用する「空気」「カジュアル世論」「おおやけ・ばったり・おすみつき」という言葉には落ち着きの悪さを感じるものの、「マスコミ・クチコミ・インフルエンサーの活用」や戦略PR5つのステップなど実践ですぐに活かせる内容も多く、勉強になりました。

  • 【学んだ事】

    第一章 「空気」でモノが売れる時代がやってきた

    ▼消費者に伝わりにくくなっていることの本質的な原因

    ・量のハードル:消費者に襲いかかる大量の情報とどう戦うのか。

    ・質のハードル:「中身」を見る目が厳しくなっている。

    ※「明日の広告」⇒「ネットの出現+情報洪水+成熟市場」と疑い深い消費者の登場

    ▼ビリーがヒットした背景
    ・「空気」に遅れまいとする心理

    ・「空気」をリードしたいと思う心理

    ⇒「空気」とは人々が暗黙のうちに共有する情報の集合体

    第二章 カジュアル世論が消費者を動かす

    ▼カジュアル世論
    商品を売るためにつくり出したい「空気」(イシューマーケティング、ソーシャルコーズ)
    ⇒世論は社会の皮膚「同じ考えの輪」

    ・消費者に気付きを与えて、「買う理由」を生み出す事が役割

    ▼広告と戦略PRの違い
    ・焼畑農業⇒大量に広告を投入し、商品の認知度を高めてヒット商品を生み出そうとする。

    ・有機農法⇒「空気」を生み出すことでヒットを導く。

    ■カジュアル世論の3要素
    ・おおやけ⇒大人になった日本人を引き付ける「公共性」の要素

    ・ばったり⇒情報洪水の中での貴重な出会いを演出する「偶然性」の要素

    ・おすみつき⇒本物志向+自分だけのスタイルを満足させる「信頼性」の要素

    第三章 PRがカジュアル世論を生み出す

    ▼PRと広告との違い

    ・広告枠を買うか買わないか

    ・信頼性が高いか低いか

    ・コントロールしやすいかどうか

    ▼広告とPRの垣根は消えていく
    ⇒メディアニュートラルが進んでいく。
     消費者にして見れば、関係ない。

    ▼戦略PRはただのパブリシティではない

    ①戦略PRでは、戦略的なテーマ設定を行う。

    ②戦略PRでは、戦略的なチャネル設計を行う。

    第四章 カジュアル世論の作り方

    ▼戦略PRのステップ(1.テーマ設定)
    ・商品の便益に関連しそうな、世の中の「関心事」を調べる。

    ・商品の便益を世の中や消費者の関心に合わせて翻訳する。

    ・その2つを結びつけ、テーマを設定する。

    ・テーマを「ニュース」にするための材料を用意する。

    ・テーマを広げるための具体的なPRプランを策定する。

    ▼戦略PRのステップ(2.チャネル設定)

    ・おおやけ感を生み出すために 「マスコミ」の活用

    ・ばったり感を生み出すために 「クチコミ」の活用

    ・おすみつき感を生み出すために 「インフルエンサー」の活用

    ▼ブロガーを中心としたクチコミを巻き込む、具体的な方法
    ・情報提供

    ・商品提供

    ・ブロガー会議・ブロガーイベント

    ・SNSのコミュニティ活用

    ・リアルクチコミパネルの活用

    ▼インフルエンサーを巻き込む代表的な方法
    ・調査の監修

    ・コンテンツの監修・商品企画などの監修

    ・セミナーでの講演

    ・イベントへの出演

    ・マスコミ取材のアレンジ

    ▼「空気」でパワーアップする広告というラブレター

    ・カジュアル世論だけではモノは売れない

    ・I-AISASのフレームワーク


    【実践できる事】

    ①世の中の流れ、時流を常にチェックしていく。そして、そのコンテンツや問題を
     分解して、本質的な課題や、意識を自分の中に落とし込む。

    ②様々な企業のプレスリリースをチェックする。すぐに自分でもリリースが
     書けるようにならなければ一流にはなれない。

    ③メディアに登場する様々な専門家をノートに書き込む。PRを実践する時に、
     直ぐにこの人の意見が活用できるっといった即効のアイデアが思い浮かびようにする。

  • PR=売れる空気作り 

  • ▽PR市場の日米比較
    広告市場:アメリカ約16兆円、日本約7兆円
    PR市場:アメリカ約1兆円、日本約700億円
    インターネット広告市場:アメリカ約1兆円、日本約6000億円

    ▽戦略PRテーマ設定のステップ
    ステップ1:商品の便益に関連しそうな、世の中の「関心事」を調べる
    ステップ2:商品の便益を世の中や消費者の関心に合わせて翻訳する
    ステップ3:その二つを結びつけ、テーマを設定する
    ステップ4:テーマを「ニュース」にするための材料を用意する
    ステップ5:テーマを広げるための具体的なPRプランを策定する

    ▽日本生産性本部が発表した「レジャー白書2009」によれば、ランニング人口は2600万人。日本人5人に1人がランナーという計算だ。

    ▽アディダスは戦略PRのテーマを「迷走ランナー」に決定。ランニング検定を展開。

    ▽自分たちの商品の強みやブランドの思いを世の中の関心に結びつける

    ▽マスコミを巻き込む方法
    1)プレスリリース
    2)ファクトシート
    3)メディアセミナー
    4)パブリシティ調査・研究
    5)メディアツアー
    [more]

    ▽コミュニケーションデザインに必要な2つのキーワード
    「消費者本位」と「メディア・ニュートラル」
    ・テレビCM、雑誌広告、戦略PR、店頭プロモーション、ウェブなどが、
    どんな役割を担うのか?
    消費者のどこに効いているのか?
    出場するのは誰で、得点を上げるのは誰か?
    何を伝えていくか?
    どんな広告クリエイティブ?
    どんなウェブサイトが必要?
    これらの監査役がコミュニケーションデザイナー。試合運びを設計していくことがコミュニケーションデザイン。

    ▽CGM(消費者作成メディア)

    ▽機能訴求→情緒価値訴求、目に見えるモノ→目に見えないサービス

    ▽4月の「老後難民」発表からおよそ半年間のメディア露出は約180件、広告換算額3億8000万円。

    ▽さとなお(佐藤尚之氏)より
    『明日の広告』で、ここ10年で、消費者が受け取る情報は410倍以上に増えたと書いたが、まだそれから1年もたっていないのに、
    総務省の発表から計算すると、一気に637倍まで膨れ上がっていた。

  • マイミクさんから借りて読んだ一冊。
    広告とPRの違いなんて、正直ほとんど意識したことはなかったけれど、これほど明確な違いがあるとは目からうろこ。さらに、戦略PRが空気をつくってゆくという著者の主張もこれまた明快で、うろこがもう一枚。本書の中でも触れられているように、空気をつくるというのは何も広告やPRの世界だけの話ではなくて、普段の行動の中でも活かせるもの。自分自身も「この面子ならこのキャラで行こう!」みたいな空気を作っていることにふと気づいてみたり。

  • 戦略的に売れる空気(カジュアル世論)を作るという考え方は非常に勉強になる。事例から使えるものもあり、早速筋書きを思いついた(ラッキー)。ただ、ある程度成熟した企業や業界が主な対象なので、まずは取り上げられることを目的とする会社には少し違和感があるかもしれない。

  • PRと広告の違いをあまりしらなかった。
    殿村美樹の『ブームをつくる』を読んで、
    やっと、違いがわかり、更に知りたいと思って、
    『新版PR戦略』を手に入れて 読む。

    PR とは、パブリックリレーション。
    中国語では 『公共关系』 と言う。
    戦略PRプランナー。
    消費者を『買いたい気分』にさせる。

    『商品の良さを伝える』『企画開発』が やりにくくなった時代。
    →ネットの出現+情報洪水+成熟市場と『疑い深い消費者』

    売れるものは確実に売れている。
    ヒットするものは、ヒットしている。
    消費者にとって 『気になるもの』と『気にならないもの』が
    はっきりしてくる。
    『もはや 商品力や宣伝力ではなくなっている。』

    空気=人々の多くが、暗黙のうちに共有している情報や意識の集合体。
    カジュアル世論を作ること。

    消費者に気づきを与えて、買う理由を生み出す。つまり、買う理由を与えてやる時代となった。

    公共性、偶然性、信頼性。
    本物志向+自分だけスタイルを満足させる。
    アメリカ広告市場 約16兆円 PR市場は、1兆円。
    日本は 約7兆円で、PRは、700億円。ネット広告 6000億円。
    フライシュマンヒラード社。
    ブルーカレント社。

    戦略的なテーマの設定。
    戦略的チャンネルの設定。
    世の中の関心を持っているものにフォーカス。

    ハイボール。
    お父さんが思っているほど、娘は嫌っていない。

    紙オムツ
    足が動きやすい。
    赤ちゃんの快適な眠り。
    子育て関連サイト。
    育児、健康関連の有力なブロガー。

    洗濯機のドラムは、細菌だらけ。

    迷走ランナー。
    一人一人のランナーは、違う。

    肌のバリア機能。
    セラミドがバリア機能をます。

    花粉対策。
    部屋干し可能な洗剤。

    自信のない日本。
    強い日本をつくる。

    老後難民。

    コミュニケーションデザイン。
    コミュニケーションデザイナー。
    ニーズを掘り起こすPRと解決策を希求する広告。

    確かに、PR戦略は、重要ですね。

  • 職場が変わって求められる事も変わったので、ちょっと勉強という事でまず1冊目。もう5年も前の本なので細かいことは変わっていると思うけど、大きなフレームワークは特段変化ないので、大変参考になりました。やっぱり普通に当たり前のことをどうやって当たり前にやるか、やるときにどこにレバレッジを効かせるかは案件次第、状況次第。そこが工夫ですな。もう数冊は読まないとね…(2016.05.03読了)

  • 広報やマーケティングに携わる人が絶対に理解しておくべき内容かと。

  • 初版が2009年、内容としては2008年の戦略PRを今さら読んで目から鱗というのが情けなかったです。商品を選挙、消費者を市民に置き換えて読んでましたが、私が市政に必要だという空気を作るにはどうしたらいいか何をすべきか考えさせられます。

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著者プロフィール

本田事務所代表/PRストラテジスト「世界でもっとも影響力のあるPR プロフェッショナル 300 人」に 『PRWEEK』 誌によって選出されたPR専門家。1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードに入社。2006年にブルーカレントを設立し代表に就任。09年に「戦略PR」(アスキー新書)を上梓。P&G、花王、ユニリーバ、サントリー、トヨタ、資生堂、ロッテ、味の素など国内外の企業との実績多数。19年より株式会社本田事務所としての活動を開始。著書に「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力」(東洋経済新報社)など多数。国連機関や外務省のアドバイザー、Jリーグのマーケティング委員などを歴任。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。

「2022年 『パーセプション 市場をつくる新発想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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