からくさ図書館来客簿 第三集 ~冥官・小野篁と短夜の昔語り~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048691161

作品紹介・あらすじ

冥官・小野篁が館長を務める「からくさ図書館」にも、初夏が訪れた。そんな折に篁が耳にしたのは、篁ゆかりの地・隠岐に現れた、旧知の“道なし”の話で――悠久の古都・京都で紡ぐ優しいファンタジー、第三集。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第3巻。
    今回は小野篁ゆかりの地、隠岐が舞台のストーリーもあります。
    隠岐の図書館司書が登場するのですが、本作で初めて「海士町島まるごと図書館構想」という取り組みを知り、勉強にもなりました。
    また、時子も冥官として技術や心を成長させており、今後の物語の広がりを予感させる巻でした。

    前後編に分かれた物語が2つ収録されていました。
    以前からもう少し長いのも読んでみたいと思っていたので、ちょっとうれしかったです。
    いつかこのシリーズの長編も読んでみたい…

  • 第1集、第2集を経て明かされる、小野篁の過去。
    史実をからめつつ、現代の離島の図書館事情も絡めてきて、なかなか興味深かったです。

    時子の、篁に対する視線が、巻を追うごとに冷たくなっている気がして、メガネ男子好きなわたしとしては複雑です。
    時子さん、冷たくしないで。
    篁さんは変態なんかじゃないよ!!……きっと!

  • 小野篁がどんな人であったかなんて知らずに、図書館っていうタイトルに惹かれ読んでいくと・・・結構ハマってしまいました。。。そして登場する本に興味をもってしまって読んじゃうという影響力まで・・・こんな図書館があったら私も行ってしまうのかもしれません。

  • 小野篁と時子の関係もどこかもどかしさもありつつほどよい距離感で進んでいく。時子が冥官としてどのようになりたいのか、成長していく姿がほほえましくもあり、応援したくもなります。そして、篁の過去を振り返るような隠岐での話も、興味深かったです。今回は、何だか登場人物にも幅があったように思います。
    隠岐での図書館構想には、大変勉強になりました。

  • 第3巻を読破。

    イラストと小野篁の名前に惹かれて読みだしたこのシリーズも3巻まできました。

    公式ツイッターで発売されるのを知れば、発売日までドキドキソワソワしながら待っていて。

    発売日翌日に本屋さんへ行ったのですが、地方住まいなのでやっぱり並んでいなくて(´・ω・`)

    普段ならばまた今度~って行ってがまんするのだけれど、この作品だけは!

    この作品だけはがまんできずに密林さんでその場でぽちしました!!

    苦笑

    お届け日当日はそわそわしまくってて、早く帰宅したいー(>_<) とジタバタしまくってた。

    で、届いたのが25日。

    読み始めたのも25日。

    読破したのは26日の深夜。

    黙々と読み進めていました。

    おもしろかったです。

    すごくよかったー(*´ω`*)

    相変わらず道なしたちはやさしくて、ちょっぴり物悲しい感じでした。

    今回は珍しく前後編構成のストーリーもあって。

    「馬琴の謎かけ」の大人げない冥府の官吏さんに噴きましたwww

    おまっ、自分はいいのか、自分はwww って。

    そしてどんどんひどくなっていく時子さまの、利用客に紹介する篁さん像www

    茜さんや山吹さんやら晴明さまやら、冥官さんたちのやり取りもいいですね。

    時子さまの目標が篁さんだったり、篁さんの昔の知り合いの人を「うらやましい」と思っていたり。

    うん、直筆の本を読めていたというのは確かにうらやましいだろうなあ。

    今回は篁さんの過去話(時子さま絡みじゃないの)でもありまして。

    知人の子と話しているときの口調が全然違っていて。

    「うわー、貴人っぽいなあ」って思って、はっと気づきました。

    こん人、一応貴族だわwww と。



    今までおだやかな口調で、丁寧な感じだったので、ちょっと新鮮でした。

    生前の篁さんとかもね。

    読んでて「おおー」ってなっていました。

    そういえば――

    今まで時子さまも、篁さんの現世用の名前とか気にしたことなかったなあ。

    と思ったのも、今回二人の名字が登場したからで。

    それもまた新鮮でした。

    文武両道を半分ノーキンと言っちゃう時子さま最高ですwww

    作中に出てくる小説を読んでみたいとは思うけれど、言葉の難しさに脳みそがパーンとなりそうですね(;^-^)

    ちょこっとだけなのに苦労したもんなあ。

    文字の上を目が滑ってく――わかるわwww

    抄訳本はあるけど、全話読んでみたいなあとは思います。

    あとがきにて。

    「からくさ図書館来客簿」のロゴ、確かにすてきですよね。

    各章タイトルのとこにあるデザインとか、イラストとか。

    こういう、まるっとひっくるめて「本」って感じが好きです。

    やっぱり本はいいなあって思います。

    続き、ゆっくりと待っています!!

  • からくさ図書館3作目。

    滝沢馬琴と歴史小説家を目指している高校生、
    金魚屋の店主と和菓子職人、
    隠岐の島の海女とUターンした図書館司書。

    最後の話では、篁がかつての流刑地、隠岐の島に出張するが、
    金魚がらみの和菓子職人の話の方が印象的だった。
    上見と横見とか、金魚の知識が面白かったのか、
    金魚屋の出会いが、実は幼いころの金魚すくいにつながっていたからか、
    単に自分が食い意地が張っていて和菓子の話が楽しかったのか。

    太田道灌が冥官として登場。

  • 今回は京都から飛び出して隠岐へ。
    だんだん身に入らなくなってきたから次は読まないかな…?

  • 「馬琴の謎かけ」
    ただ文字を目で追うだけでなく。
    どんな時代に書かれた文学か、何のために書かれた物なのか少し考えるだけで読み手の捉え方も変わってきそうだな。
    一昔前の文学を原文のまま読むと、暗号を読んでいる気分になるかもしれないな。

    「金魚と琥珀」
    最後に聞いた怒鳴り声。
    人生の終わりに聞く言葉が、あれだと心残りどころではないだろうな…。
    あれだけ色んな人から助言を受けた彼は、結局思い通りの和菓子を作れたのだろうか。

    「わたの原」
    書物を捨てなければならぬ理由は。
    数少ない人口で出来た町村だと、若者が外に憧れる物を見せたくないしれないな…。
    ただ本当に故郷を大切に思っているのであれば、一度出ていっても数年後に戻ってくるのではないだろうか。

  • いつものように風情ある京都(*´-`)と思っていたら、篁が隠岐へ出張する話も(^o^;)これからも京都以外の話が登場するかも?と楽しみになった♪流し(?)の冥官、縄張りを持つ冥官それに安祥儀(魂を天道へ返す道具)を持つ者と持たないものといろんな冥官がいるんだな~(゜.゜)時子様が篁のように安祥儀を持たない!と決めた時は大変そうだけど頑張れ‼と応援した(^^)あっ!時子様の教育係・篁も頑張れ(^^;)

  • まぁおもしろいよ。隠岐島もいった事あるし。里見八犬伝ね。一応読みたいリストに前から入ってるねん。薬師丸ひろ子の映画が好きだったからね。

  • 著者の本はこのシリーズから読み始めたのだけど、
    「言葉の言い回しがすごく深い」
    と、思ったのは前作の通り。

    今回は、動きがある表現がとても見事に描写されるなあ、と、
    「ほおお」
    と、なって読んだ。

    終盤での、時子が安祥儀をどうするか、篁と図書館の前で話すシーンが特にそう思った。
    動きとしては単純(?)なんやで。ドアに手をかける時子と、そのドアが開かないように片手で抑える篁。
    ドアと篁に挟まれて訥々と語る時子・・・。

    なんやろうね、このくだりの描写がちゃんと説明されるのに会話や展開もさらっと流れていく感じ・・・。
    さらさらとした文章が、この作品にすごいあってるなあと思う。
    (エラそうやなすいません)

    文章を読んだとき、私はあまりその「情況」が、映像として頭のなかに入らない。
    文字は文字として、そのまま捉えるほうが多い。
    なので、例えば「赤い夕陽が波間に沈む」と、いう内容が本に登場したとき、その映像ではなくその「情況」を、どう文字で表現するのかに、とても興味がわきます。

    (もちろんこの小説に夕日も波間も関係ないで)

    著者はその表現がとてもきれいなんだと思う。
    小難しい言い回しをやたら羅列するわけではないのにきれいに書けるのは、案外地文が巧いのか会話が巧いのか・・・。


    とはいえ、読めない漢字がめちゃくちゃ多い(笑)。
    たぶん、滝沢馬琴やら、隠岐の島に流刑にされた当時の篁の話が出てきたので、グッとついていけなくなってんな(笑。大丈夫か私)。
    やたら付箋が貼ってあるんやけど、これのほとんどが辞書をひかんとあかん言葉なんやろうな。

    でもまあ、いざ、付箋を一つずつ拾っていくことにしますと・・・。


    (私は読書をしながら「あ、ここはあとで感想に書きたい」と、思うところには付箋を貼っていくので)


    まず、「歴史小説」と、「時代小説」の違いもサラッと書かれていて、大変興味深かった。
    いわく、「内容が史実に沿っている」のが「歴史小説」、「沿っていない」のが「時代小説」なんだそうやけど、著者は
    「どっちだって『歴史小説』」
    と、いう結論に達してはる? (*´ω`)

    理由は、どっちも歴史を基にしたフィクションやし、ってことらしい。
    なるほど~。私はどちらもほぼ読まないけど(いつか読解力がついたら読みたいけど、いつになることやら。笑)、知識のない私にはそれが史実に沿っているのか沿っていないのかはほぼわからない。
    でもって、わからないから、全部史実なのだと思って読んだら、どれも面白いわあ! と、思える。
    せやけど、知識がちゃんとあれば
    「ここは○○やけど、敢えて△△にしてるんやな・・・」
    と、思えて、それはそれで楽しめるんやろうな~。

    私はファンタジーが好きやからナァ・・・。案外、歴史でも時代でもその手の小説にははまれそうやけど、とりあえず今回は滝沢馬琴が登場した影響で、里見八犬伝を読んでみたくなった!
    子ども用のものをサラッとナナメ読みした程度やねん。

    設定やらあらすじもさらりと流して書いてくれてたけど、
    「なんか、面白そう・・・」
    と、思った。

    でも、

    「なんで、犬なん?」

    とは、思う・・・。(;^ω^)
    そこはあれかな。べつに疑問に思うところではないんかな。


    その、馬琴先生による信介への「小説の書き方」は、大変興味深かったわあ。
    きっとこれも著者が思ったことか、経験したことか、感じたことなんやろうけど、
    「文章が書けない」
    と、いう信介へ、
    「視覚ばっかりで、触覚や嗅覚や聴覚を使ってない」
    と、いうのね。

    それで、著者の表現を読むと「だらだら説明しないのに、きれいな文章でさらっと情況を伝えるのがすごいな」と、感じることに
    「ああー!」
    と、ちょっと腑に落ちた。

    著者自身がきっと、五感で感じながら文章を書いてはるんやろうな。
    だからそれが文章から伝わるんやわ・・・。

    嬉しいこと、切ないこと、びっくりしたことを、これらの言葉で書くのではなく、表現するのに、その感覚が確かに伝わる。
    読み手にも書き手にも好みがあるので、お互いのチャンネルが一致していないと伝わるものも伝わらないかもしれへんけど、私にとっては著者の世界観はチャンネルが合うんやろうな。

    ましてや私なんかだらだら書くタイプやもんね(笑。現に今!)。
    こういう気持ちを一口に書けたらいいのに~。


    信介の話では、最後に母親と会話するシーンでも、お互いにお互いを思いやって、一歩前進したというのがじんわりと伝わるねん。
    それでいて、
    「些細な言葉遣いの問題」
    に、ついても言及していて、それが
    「なるほどなあ」
    と、思えた。


    田道間守も登場したけど、この神様って「神様の御用人」でも登場したよね!?
    橘の実を献上して、最初の菓子を作った人とかなんとか・・・。
    そうそう、この人、もともとは神様じゃなかったとかそんな生い立ちやったような・・・!

    (ほらー、読んだハナから忘れるから、こうやって感想文を残さないと・・・)

    うわー、べつに菓子職人じゃないけど、菓祖神社へ行ってみたくなってきたー。

    ほんで、なんやろう。
    スナック菓子もジャンクフードも大好きやけど、最近和菓子が気になってしょうがない。
    和菓子といえば「栗丸堂」もかなり楽しんで読んでるけど、やっぱり上方のお菓子がいいなー。(*´ω`)

    (なぜなら関西出身だから)

    雅也の話もよかった・・・。
    師匠がまた格好いいねん。おいくつ?
    私、京都の言葉っちゅうか、関西弁萌えはまったくなかってんけど(だって自分が使ってるから・・・)、最近なんやろ。アカンわ。

    しかも関西弁で一人称が「僕」やったりしたら

    「何この人インテリ!?」

    って思ってしまう。(イヤたぶんなんか間違ってる)

    若いのにまじめに修行してる雅也もカッコイイ・・・。
    どちらかというと大和郡山の金魚事情がメインなので、こちらはサラッと流されてるけど、こんなに真摯な若手和菓子職人という設定だけでだいぶんの話が書けそうなのに・・・。おいしすぎる設定


    (歴史)小説を書きたい高校生、和菓子職人を極めたい青年の話と続いて、最後は隠岐島に流されたときの篁の話。
    現在の「執事キャラ」な、篁と全然違う高貴で当り前のように態度のでかい篁もなかなかよかったです・・・。

    そうか、この人もなかなか濃いキャラの貴族やったよね・・・、と、思った。
    時子に見惚れた信介に対する逆襲は笑えるものがあったけど。笑

    菓祖神社もいいけど、六道珍皇寺へ行ってみたくなってきた。
    小野篁めぐり・・・(笑)。


    安祥儀を持たない選択をする時子と、それをどうしても止めたい篁。
    ふたりの逡巡にはお互いを敬愛しているというのもちゃんとこのくだりから読みとれて、ぶつけ合うだけじゃない主張の仕方が
    「さらさらと流れていく雰囲気」
    やねんな。
    私の平安時代のイメージもそんなのなので(御簾ごしに会話するような、距離感というか・・・)、余計この雅な雰囲気が好きです。

    やっぱり(そこまで思わされるのは)の前後の時子と篁の会話も大きいんやろうな。

    こういう本を「ライトノベル」と、分類するんやったら、私はやっぱりライトノベルが大好きかも。



    今回は表紙と扉絵の対比も凝ってたね(もしかして今までもこういう装丁やったんかな?)。
    じっくり見ないまま読んで返却しちゃった・・・。

    ■■■■

    ■ユスラウメ

    バラ科の落葉低木。高さ約3メートル。葉は互生し、倒卵形で先がとがり、縁にぎざぎざがある。4月ごろ、葉より早く、白または淡紅色の5弁花が開く。実は丸く、6月ごろ赤く熟し、食べられる。中国の原産で、庭などに植える。《季 実=夏 花=春》「くちすすぐ古き井筒の―/久女」


    ■酸鼻

    [名・形動]むごたらしくいたましいこと。また、そのさま。「―をきわめる」「―な事件」


    ■玄妙

    [名・形動]道理や技芸などが、奥深く微妙なこと。趣が深くすぐれていること。また、そのさま。「―な教理」「―な思想」


    ■汗顔の至り

    たいへん恥じ入る様子。


    ■黄表紙

    《表紙が黄色であったところから》江戸後期の草双紙の一。しゃれと風刺に特色をもち、絵を主として余白に文章をつづった大人向きの絵物語。安永(1772~1781)から文化(1804~1818)にわたり流行。二つ折りの半紙5枚で1巻1冊として2、3冊で1部としたが、しだいに長編化して合巻 (ごうかん) に変わった。恋川春町・山東京伝などが代表的な作者。


    ■合巻

    江戸後期、文化年間(1804~1818)以後に流行した草双紙の一種。それ以前の黄表紙などが5丁1冊であったのを、数冊合わせて1冊とし、長いものは数十冊にも及ぶ。内容は教訓・怪談・敵討ち・情話・古典の翻案など多方面にわたり、子女のみならず大人の読み物としても歓迎された。作者に柳亭種彦・曲亭馬琴・山東京伝らがいる。合巻本。


    ■ホタルブクロ

    キキョウ科の多年草。山野に生え、高さ30~80センチ。長卵形の葉が互生する。6、7月ごろ、白または淡紅紫色の釣鐘形の花を下向きに開く。名は、花に蛍を入れて遊んだからとも、花が提灯(火垂 (ほた) る袋)に似るからともいう。つりがねそう。《季 夏》「宵月を―の花で指す/草田男」


    ■驟雨

    急にどっと降りだして、しばらくするとやんでしまう雨。にわか雨。夕立。《季 夏》「地下鉄道―に濡れし人乗り来る/誓子」


    ■事物

    1 さまざまな事柄や物。「事」に重点の置かれる「物事」に対して、「物」に重点が置かれる。
    2 訴訟にかかわる事件とその目的物。


    ■予後

    1 病気・手術などの経過または終末について、医学的に予測すること。→生命予後 →機能予後
    2 病気の治癒後の経過。「―を大切にする」


    ■糯米

    粘りけが多く、餅 (もち) や赤飯にする米。


    ■写実的

    [形動]現実を、主観をまじえずありのままに表現しようとするさま。リアリスティック。「―な筆致」


    ■こなし生地

    白餡を主原料に蒸して作る主菓子の生地。


    ■改竄

    [名](スル)《「竄」は文字を変える意》文書などの字句を直すこと。特に、悪用するために、勝手に直すこと。「登記簿を―する」


    ■堅調

    [名・形動]
    1 堅実な調子であること。また、そのさま。「売上げが―な足どりで伸びる」
    2 相場が徐々に上昇する傾向にあること。また、そのさま。「―な繊維株」⇔軟調

    (2016.08.20)

  • シリーズ第3弾。
    京都にいる、他の冥官と連携して道なしを送ったり、旧知の道なしが現れたり、今までの関わった人たちが常連となって登場したりして、人間関係が濃くなっている。

  • 顔が見えないから素直になれる時もあるねぇ…なんだかお互いを大切に思う気持ちが端々に感じられてよいです。
    菓祖神社行ってみたい。金魚の和菓子も食べたい。絶対からくさ図書館もあるはず。

  • 思っていたのと違う方向に進んでいるような…。頭に入ってこなくなった。次作は読まないかも。

  • ほかの冥官も登場します。
    小野篁の過去の出来事についても語っていたりして楽しめました。

  • 京都の初夏。
    小野篁が館長を務める私立図書館、「からくさ図書館」にも夏らしい「道なし」がやってくる。
    シリーズ第三弾、今回は滝沢馬琴、金魚、小野篁ゆかりの地での旧知。
    この三つの物語が収められている。

    『馬琴の謎かけ』
    滝沢馬琴の登場だ。
    親が子に思うこと、ものを書くときに大切なこと。
    一体、なんだろう?

    印象深いのは、親が子に対して、困難な道をわざわざ行かせたくはない、と心配するのに対して、子はできると思うから進もうとする、という部分だ。
    子には自分がしてきたような苦労をさせたくない、そう思いながら期待する方へ行ってもらいたいと思う。
    しかし子は親の分身ではないから、親の思いとは全く異なる、親が思いもよらない方向へ行こうとする。
    そこで対立することもあるだろう。
    忘れてはならないのは、子は自分とは全く違う人格で、その道を歩もうと選び取ったのは他なららぬ子自身であるということ。
    親が出来るのは、ほんの少しの補助と見守ることだけ。
    忘れてはならない。
    そう言いながらもちょこちょこと余計な(子にとっては)手出しをしたくなるのが親というもの。
    親子の関係は距離が難しい。

    『金魚と琥珀』
    上生菓子の美しさは一級の美術品と言っていい。
    簡単そうに見えて、そうではない。
    かみのやま温泉で和菓子作り体験をした時に、朝顔がどぎつい色のラフレシアになってしまったことを思い出す。
    いや、それは私が単に不器用なだけか。

    今回はいかにも涼しげな金魚にまつわる物語。
    上から愛でる、という考え方はなかった。
    実家にも金魚がいるが、二匹ともフナのようになっていたので、上から見るという視点が新鮮だった。

    生きものの生き死には子供の心に強く残る、という一節は思い当たる人も多いのではないか。
    ハムスター、うなぎ、金魚、ドジョウ.....
    寿命だったであろうものもいれば、不注意で死なせてしまったものもある。
    悲しくて、情けなくて、寂しくて......
    でもその一方で生きることの嬉しさや楽しさも知った。
    私たちは、「命」と生きている。

    『わたの原』
    『日本残酷物語』を私は読んだことがない。
    きっと読んでしまったら、今の場所には戻れない。
    怖い、恐ろしい、そんな感情がきっと心の中にあふれてくるだろう。
    視界そんなひどい状況の中で、手を尽くした人がいるという事実は見てみたくもある。

    外の世界を知った人がその地へ行きたいと思うのは当然のことだ、と小野篁はいう。
    もしかすると、その行ってしまった先で一生を終える人もいるかもしれない。
    しかし、外を知ったからこそ戻ってくる人もいるかもしれない。
    両方がいるから、土地は栄え、人は喜びを得る。
    単一的な考えでは物事は発展しない。
    両方がいることを赦してやってはくれまいか、この言葉は今の時代に大切な言葉のように思えた。

  • 三作目。どこまで進むのかしら。
    2015/11/5

  • 第一集、第二集を読んだあと、しばらく図書館で予約待ちをしていた。

    小野篁が、平成の世で私立図書館の館長として、そこいらの大学生か大学院生のようなナリをしているのは、この現世でさまよう"道なし"を、きちんと天道へ送ってやるため。

    第三集は、「馬琴の謎かけ」前後編で、さまよう馬琴が出てくるし、「わたの原」の前後編では、かつて筆禍により篁が流された地・隠岐が舞台となって、篁のこれまでの身過ぎ世過ぎがさらに分かってくるようだった。

    「南総里見八犬伝」が絡む馬琴の話は、当時の読者は物語を朗読していたのだというところにつながる。はるか下った今の世では黙読がすっかり普通のこととなって、「八犬伝」が声に出して読まれることは滅多になく、それが馬琴の心残りになっていたのだ。作者は馬琴にこう語らせている。

    ▼「あの頃はなあ。物語といえば声に出して読むのが普通だった」
     懐かしくてたまらない、という顔で馬琴は暮れなずむ庭を眺めた。
    「『八犬伝』は特に、耳から聞いて良い塩梅になるように書いてある。八犬士はそれぞれ持ち味の違う元気のいい連中が揃ってるんで、自然にそうなったのさ」(pp.106-107)

    「八犬伝」は長大な物語だというが、私も声に出して読んでみたくなる。あるいは、朗読されたCDでもないものか。

    隠岐をめぐっては、小野篁が流された当時の事情に、現代の隠岐で取り組まれている"まるごと図書館構想"に想を得た島々をむすぶ「うみかぜ図書館連盟」の話がからまって、おもしろかった。図書館司書にして小型船舶免許をもつ女性が出てくる。公共交通機関では便数の少なさと輸送費の問題で島から島へ本を運ぶなどとてもできないので、図書館共用の小さな輸送船で運ぶのである。

    小野篁が隠岐に流される直前に詠んだ歌が、百人一首に入っている「わたの原八十島かけて漕ぎいでぬと 人には告げよ 海人の釣り船」で、その上の句がタイトルにとられている。小説では、隠岐で詠んだ歌「思いきや 鄙のわかれに衰えて 海人の縄たき いさりせんとは」が引かれ、篁自身が「中央から遠く離れた地で運気の衰えた身となり、漁師の縄を手繰って漁をすることになろうとは思わなかった…という意味です」(p.326)と語っている。篁が流され、そして再び都に戻れた経緯を、もうちょっと知りたい。

    篁は、昼は朝廷に仕え、夜は現世と冥府を結ぶ井戸を通って、閻魔大王に仕えていたという。その篁にゆかりのある京都の千本ゑんま堂で、先日はゑんま堂狂言を見物してきた。

    (4/29了)

  • シリーズ3作目
    「八犬伝」面白そう♪聞きたいです

    時子の安祥儀がどうなるか
    どんな冥官をめざすのか決意

  • 【収録作品】第九話 馬琴の謎かけ 前編/第十話 馬琴の謎かけ 後編/第十一話 金魚と琥珀/第十二話 わたの原 前編/第十三話 わたの原 後編

  • 2014年12月読了。
    前後編が多い巻でした。
    物語も優しい気持ちになれる感じはそのままに、だけど考えさせられるお話だったり・・・

    時子様の成長と篁の葛藤・・・
    この二人の距離感がいいですねぇ☆

  • さまざまな道なしにあわせて冥官の対処方法が違う
    新米の姫も立派な冥官になれるのでしょうか

  • 隠岐の図書館の取り組みが出てきて面白かった。

  • 【古都・京都に佇む私立図書館。不思議な力を秘めた館長さんをそこから連れ出す、昔語りとは――】
     初夏。京都の一角に冥官・小野篁が館長を務める「からくさ図書館」が開かれてから、半年と少しが経っていた。
     開館から今も変わらぬアットホームな佇まいの中、現世で道に迷う"道なし"と出会ったお客様を、その解決法を記した不思議な書物"偽書"にて篁は今日も救う。
     そんな折、篁が耳にしたのは、篁ゆかりの地・隠岐に現れた旧知の"道なし"の話だった。そして、彼の地へ旅立った篁の留守を預かる新米冥官・時子は、自らの進むべき道を選びとり――。
     悠久の古都で綴られる、ほろ苦くも温かいライブラリ・ファンタジー、待望の第三集。

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著者プロフィール

第17回電撃小説大2010年に『典医の女房』で、短編ながら第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞。受賞作を大幅加筆した『霧こそ闇の』でデビュー。既刊は『からくさ図書館来客簿』シリーズ他。

「2022年 『あなたと式神、お育てします。第二集 ~京都西陣かんざし六花~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

仲町六絵の作品

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