ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048704694

感想・レビュー・書評

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  • 栞子さんと古書に包まれて幸せ! 優しい気持ちで満たされるベストセラー日常ミステリー #ビブリア古書堂

    北鎌倉で古書堂を営む店主と店を手伝うことになった主人公の物語。古書にまつわる様々な謎に見舞われるが、主人公と店主は隠された秘密に迫っていく。

    なるほど、これはベストセラーになるのがわかる。
    ライトな読み口、人柄が豊潤なキャラクター、古書という秀逸な小道具をテーマに進むお話、そして幸福に満たされるエンディング。大変よくできています!はなまるですね。

    なんといっても古書をテーマにしたところが上手。小説と謎をミックスさせつつ、魅力的なキャラクターたちが解き明かしていく。ミステリーで人が死んだり、不幸になることもなく、最後はほんのり暖かい気持ちにさせる。これは売れるわっ

    重厚感やミステリーの深みは少し弱めですね。ただライト文芸でターゲットが若い人やミステリー初心者でしょうから、むしろ軽いほうが合ってて良いと思いました。

    普段、本格、ドギツイ社会派、イヤミスばかり読んでると、若干病んでくるんですよねw 続編もまだまだあるので、定期的に体験したくなる作品でした。おすすめですっ

  • ずいぶん以前から話題になっていたようだけれど、ようやく読了。正直なところ、マンガの原作かな?と思わせる表紙のせいだったのか、今まで手に取ることもなかった。
    なんとなく見始めたドラマの方が先行する結果となり、それが思いの外おもしろくて、図書館で借りてきたというわけ。
    私の周りの読書仲間さんは、キャストがかなり納得いかない様子で、「とにかく読んでみて!」とのことだった。

    北鎌倉で古本屋「ビブリア古書堂」を営む栞子さん。
    人見知りが激しく、人と親しくなるにはだい分時間がかかりそうだが、本のこととなると人が変わったように生き生きと語りだす。
    事件現場に駆けつける訳でなく、状況や経緯を聴くことで解決への糸口を見つけ、絡まっていた糸をほぐすように、事の次第を明らかにしていく。
    最初に事件を持ち込んだ大輔くんも栞子さんの店で働くようになり、大輔くんが仕入れた情報をもとに栞子さんが本にまつわる事件を解決する。


    おもしろかった。
    もっと早く読めばよかったなと少しばかり、損した気分。
    坂木司さんや近藤史恵さんのライトミステリーを彷彿させる。
    栞子さんの本に対する愛情が読書好きにはたまらない。
    その上、舞台は北鎌倉。
    かなり私のツボをついてきますね。


    4つの短編からなるが、2つ目の中年のホームレス・志田さんと高校生の奈緒のくだりはとてもいい。志田さんが『落穂ひろい』から引用する、

    「なにかの役に立つといふことを抜きにして僕たちがお互ひに必要とし合ふ間柄になれたなら、どんなにいいことだらう」(P154)

    は、素直になれず、とがった奈緒が本当は繊細な心を持て余し、自分でもどうふるまったらよいか分からず虚勢を張っているのを緩め、溶かしていくきっかけとなっている。
    この先もこの2人が登場してくれたら、いいな。


    また、4つ目の話の中で、栞子さんと理解しあえると感じ始めていた大輔くんがふとしたことから、信じることに疑問を感じ離れそうになるけれど、私には栞子さんが大輔くんを信じているからこそのふるまいなんじゃない?、と感じてた。
    そう、大輔くんに伝えたかったけれど、ムリなわけで・・。
    やきもきしているうちに、結局また2人はもとの状態に戻ってきていて、何やかやと心配したのに・・とまた、おせっかいな気持ちになっていました。
    あちこちに見守りたい関係があって、この先も大変気になります!

  • 爽やかな恋愛事情も交えながら古書の魅力をたっぷり紹介するエンタメ小説。

    登場人物がどうもアニメっぽいけれども(声優さんの声が聞こえてきそう)、古書という良い意味で黴臭く渋いジャンルには好対照で良き。

    太宰治や手塚治虫、江戸川乱歩やシェイクスピアの古書……。
    よだれが出てくる。

    それにしても古書は、著した作家の想いと、その本を手にしてきた読者の想いとが重なり、燻し銀の輝きを放つものだ。

    稀覯本の取引や古書交換会についてなど、初めて知ることも満載。機会があれば古書店主さんに裏事情を訊ねてみたくなる。

  • 「ビブリア古書堂」に関わる様々な人達と。
    古書を巡っておこる様々な事件を解き明かしていくミステリー。
    既存の文献に絡めて物語が進んでいくので読んだ事のある人にはより深く入っていけるのかな。
    古書を軸に進んでいく物語が新鮮で面白かったです。
    シリーズものなので次作も読んでみようと思います。

  • 以前から表紙から受ける印象で気になってはいたものの、実際読んでガッカリするのが嫌で手にとることはなかった本。

    読んでよかった。
    ガッカリもしなかった。
    10年以上まともな読書生活をしてこなかったのに、ここにきて幸運の連発だ。


    4話で構成され、それぞれ独立しても楽しめるし、一冊の構成としても練られている。
    読みやすいが苦痛になるほどは軽すぎず、描かれた部分と描かれない部分、愉しむ余韻があるのも良かった。

    他に個人的な理由として、
    作者のカップルの関係性の型のひとつが、私が読みたかった、探しているタイプに当てはまるのもよかった。まだ始まったばかりで、予感程度ではあるが。

    あくまで事件手帖なので、恋愛小説にはならないのだろうが、
    五浦大輔と篠川栞子、第三話の夫婦 のような組み合わせを盛り込んだのは、とても好みに合ったので、彼らがどうなっていくのか続くシリーズも読んでみようと思う。




    (補記: 特に印象に残った場面 第二話 154頁抜粋

    突然、少女はぎゅっと目をつぶり、大きく口を開けた。叫ぶのかと思って身構えた途端、予想外のことが起こった。
    彼女はぼろぼろと涙を流し始めた。声一つ上げようとしない。無言の涙だった。


    …こんな涙の表現を私は初めてみた。
    無言の涙は、歯を食いしばるばかりではない。
    虚をつかれた私も涙がこみ上げてしまった。
    だから小説は読みたくないんだ。と眉間に力が入りつつ。決めたのだから、今年いっぱいは具合悪くなってもまた浸るように読み砕いていこう、と思った。

  • 幼少期に祖母の本棚に近づき、打たれた経験から、本を読めなくなった大輔。ひょんなことから、黒髪ロングの眼鏡美女 栞子が店長を務めるビブリア古書堂で働くことになり…

    夏目漱石「それから」や太宰治「晩年」、小山清「落穂拾ひ」…。栞子の並外れた推理力により解明される謎の数々。

    「自信モテ生キヨ 生キトシ生クルモノ
    スベテ コレ 罪ノ子ナレバ」
    太宰のこの言葉をどう解釈するか。

    国文学専攻のくせに純文学嫌いなのだが(エリートのぼっちゃんたちが周りをさんざん振り回した挙句自殺したり、当時の作家の生き方が気に入らない)、少しは読み返そうかな。

  • 感想
    古書店と美人というギャップがいい。シリーズ化されているが、五浦と栞子は付かず離れず、ヤキモキした関係が続くのだろうな。

    続きは気になるなぁ。

    あらすじ
    鎌倉にある古書店ビブリア古書堂。五浦大輔は古書店で働く美しい女性のことが気になっていた。時は6年流れ、大輔は無職だった。祖母の遺品整理の際に出てきた漱石全集の鑑定をビブリア古書堂にお願いしにいく。

    店主の栞子は内気な性格だが、本の話題になると止まらなくなる。祖父を引き継いで古書店を営んでいる。漱石全集を手にした彼女は、思いもよらぬ祖母の秘密を明かしていく。入院していた彼女は大輔に古書店で働かないかと誘う。

    栞子は伝聞だけで次々と身の回りに起こる事件を解決していく。せどり屋の盗まれた本を探す話、大事にしていた本を急に売りたいと言われた話。

    最後は、栞子が持っていた太宰治の初版の晩年の話。栞子が入院している理由が、晩年をしつこく狙う相手から突き落とされた。その相手を突き止めるために五浦と協力して相手を突き止める。

  • 10年以上前に購入した本。久々に読みたくなりました。
    ミステリーあり、恋愛要素もあり、好きな一冊です。
    作中に出てくる本にも興味が出て、読みたくなってしまいます。

  • 図書館の書架でよく見かけて気になっていたシリーズ。
    面白くテンポも良くサクサク読めた。
    著者自身が古書のとても詳しく愛がないと書けないストーリー。章ごとに一冊古書が出てきて、私は古書のことは全然わからないけど、その魅力の一端に触れさせてもらえたような気がした。
    それにしても栞子さんの探偵ぶりは凄すぎる。笑

  • 予約数3桁だったけど、蔵書が多くてわりとすぐ順番が来ました。
    うんうん。
    本がテーマだったり、日常の謎だったり、人情系ミステリーだったり、
    最近よく見かけるなーって感じですが
    栞子さんのキャラがかわゆくて、古書っていうのが渋くていい。
    そして、こういう本に共通する感想として、
    ミステリーとしてはまぁまぁだけど、本にまつわるエピソードや人間ドラマが
    くすっとしたりほろりとしたりでおもしろい。

    登場人物もひとくせふたくせあるし、鎌倉の町や古書堂も独特の雰囲気があり
    個人的には、やっぱり連ドラ見なくてよかったな、と思いました。(笑)
    わたしのイメージで読めてよかったです。

著者プロフィール

『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズが累計700万部を超えるベストセラーとなる。同シリーズで、文庫作品初の『本屋大賞』候補、『本の雑誌』が選ぶ「この40年の書籍 第1位」に選ばれるなど、幅広い層からの支持を集める。

「2022年 『ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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