僕の小規模な奇跡 (メディアワークス文庫 い 1-5)
- アスキー・メディアワークス (2011年5月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048705875
作品紹介・あらすじ
「あなたのこと全く好きではないけど、付き合ってもいいわ。その代わりに、わたしをちゃんと守ってね。理想として、あなたが死んでもいいから」彼女に告白し、そして奇妙な条件付きの返事をもらった瞬間から、僕は彼女の為に生きはじめた。この状況が僕に回ってきたことが、神様からの贈り物であるようにも思える。この結果が、いつの日か、遠い遠い全く別の物語に生まれ変わりますように。入間人間の名作が、宇木敦哉のイラストによって、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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(2011.8)
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物語の進展があるようであんまり無いというか、分かりにくい。
内容はキライではないが、この手の文章は苦手だ -
最後にしっかりと伏線を回収してくる感じが安心しました。独特な言い回しや表現方法は人によって好みはあると思いますが、私的には面白いなと思いました。伏線を回収するまでにあたっての過程の長さを考えると、ある程度読書に慣れていらっしゃる方なら楽しめる作品なのではないかなと思います。
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「二十年前 僕の小規模な奇跡」
人生の最後に告白を。
自分は良くとも周りの目や相手の事を思うのであれば、警察などに連絡しきちんと処理すべきではないだろうか。
「告白美術館」
彼女と初めて交わした言葉は。
せめて何度か会話し親しい仲になってから行動を起こすなら分かるが、突然こんな事を言われたら誰でも引くだろうし断るのでは…。
「カレとカノジョの事情」
決められた条件と曖昧な距離感。
付き合うと言ったにも関わらず、これだけ厳しい条件を提示されたら流石に冷めないのだろうか。
「日常的な運命」
多々ある禁止事項の中考えたプラン。
楽しむ事はNGと言われた中で、デートをする事に意味はあるのだろうか…。
「dayとday」
条件の合間をぬって行われるデート。
あれだけ禁止事項を言い渡していた彼女なのに、何故彼とデートする気になったのだろう。
「描かれた世界の裏面で」
彼女をストーカーしていた者の正体。
他人の物に危害を加えるだけでも危ない人物と分かるはずなのに、何故相手がこれ程の行動に出るまで放置したのだろう。
「Knife×Shoes」
凶器を振り回すストーカーを退治するには。
静かな館内でこれだけ悲鳴や騒ぎを起こしているのに誰一人として現れないとは、警備はどうなっているのだろう…。
「奇跡の行方」
事件解決と共に告げられた契約終了の言葉。
命をかけてまで彼女を守ろうとした彼はただ純粋に彼女の事を想っているだけなのだろうな。
「僕の小規模な鬼籍」
彼の居なくなった世界で聞いた話。
被害者・加害者共に身近な人間だったとしたら、複雑過ぎて中々気持ちの整理が付かないだろうな…。
「そのあと『きみはだれかと恋をする』」
変わり無く過ぎていた日常に訪れた変化。
あんな対応を繰り返されて、よく心が折れる事なく一途に想い続けることが出来たな…。
予告してからの告白というのは、自信があるのかないのかハッキリしないうえ何だか少し狡いような気がするな。 -
僕と彼女の会話の掛け合いが面白かったです。あと、例え方も普通ではないのが新鮮でした。最後には、バラバラになったパズルのピースが合っていく感じに、全ての話がつながっていくのがすっきりしました。
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靴とナイフが印象的なお話。
ナイフが俺と彼女、靴が妹とハンサム丸のつながりを生んでいる。
面白いことは登場人物の中であまり変化が見られないということだ。○○しなかった人が○○するようになるというような劇的な成長はない。しかしそれでも、20年前の僕の行動が、二組のカップルの絆を生んだ。
「小規模な奇跡」と聞くと矛盾していて違和感を覚えるが、大きな変化はないながらもつながりが生まれたことを考えると、しっくりきた。 -
キャラに引っかかりを覚えるものがなかったせいかもしれないが 事態が動き背景が判明してくる五章の前までの四人の描写が冗長で退屈に感じられた。 叙述トリックでミスリードを誘い、終章で一気に全ての伏線を回収して収束させる構造は 作家特徴であって殊更上手いというわけでもない気がするが手慣れ感があって安心して読める。 洗練される前の入間人間という感じがした。初出は2009年だしなあ。
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運の良い奴は、周囲が暗い。そして自分だけ明るく輝いているから、何も気づかない。朗らかで、健康そうで。理想的だけど問題は、運に対して努力出来ることはないことなのだ。
最後にその努力が来る。こいつが一番残酷。そして不便。
(P.215) -
おいおいどうするんだこの話って思ったまま進んでいく物語。
語り芸ですよね。
投球フォームはめちゃくちゃなんだけど、打てない球を投げるピッチャーみたいである。かっこいい。 -
身の回りに起こることがどれも楽しくてしょうがない、あれもこれも全部やってみたい、首筋にひたっと果物ナイフの峰が押し当てられているけれど。
身体を少しでも動かしたら血が噴き上がる妄想をしながら、心を目いっぱいはしゃがせて読むべし。