いつか、虹の向こうへ

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 257
感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048736121

作品紹介・あらすじ

尾木遼平、46歳、元刑事。職も家族も失った彼に残されたのは、3人の居候たちとの奇妙な同居生活だけだった。家出中の少女が彼の家に転がり込んできたことがきっかけで、ある殺人事件に巻き込まれてしまい…。新人離れした筆力で綴り上げた、痛みと再生の物語。第25回横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞W受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと薄口ハードボイルドだったかなぁ? それぞれの事情でアンハッピーな4人が暮らす元刑事の住まいにとある若い女が縁あって数泊することで思わず家族みたいな団欒が生じるけど、そのことが大きな事件の渦の発端になり、主人公自身が身の危険の連続を被ることとなる。2005年25回の横溝正史賞受賞作品です。

  • 疑似家族に血の通い始めた切ない暖かさと、一時的なものでまた離れ離れになっていく切なさ。2重の切なさが胸をきゅっとします。ある意味万引き家族と同じ方向と言えない事もないか。ちがうか。
    転落人生の人達が、お互いの乏しい熱を持ち寄って、人並みの温かさを作り出そうとする姿は物語として好きな方向性です。ハードボイルドとして一定の水準を満たした作品で、ミズテリーではないと思います。
    奥歯にものが挟まった言い方なのは、最後に行くにしたがってトーンダウンが否めないという所です。関わった住民がもっと熱く絡んで欲しかった。

  • ミステリ大賞なのですが、ミステリというよりは思いっきりハードボイルドの物語として楽しめました。
    「魔がさした」ため刑事をやめることになった主人公と短い間という同居人たちという設定も、なるほどと思わせすんなり物語の世界に入っていけます。
    巻末に選者の厳しいコメントが載っていましたが、確かにミステリとしては結末を急ぎ過ぎている感はあります。でもそれを補うだけのエンターテイメント作品だと思います。
    初めての作家さんですが、他の本も読んでみたくなりました。

    他の人のレビューにもありましたが、同居人との今後の関係が気になります。
    おすすめ。

  • 、「第25回 横溝正史ミステリ大賞」受賞作。
    ハードボイルドなんですけど、それぞれの人物の感情を丁寧に描いた優しい文章でとても読みやすかったです。
    内容は、秘密ですが、そのなかである登場人物が書いたお話がでてきます。

    実は虹の種の材料は、人の悲しみでできていた。だから、話の中身が悲しいほど多いな虹ができる・・・


    虹とイメージからとは違う、虹の種の材料。「人の悲しみ」

    今日、どこかで大きな虹がかかったら、誰かが、虹売りに「悲しみ」を売ったのかもしれません。
    でも、悲しみがキレイな虹になってくれるのなら、その「悲しみ」も報われそうな気がします。
    「悲しい」という感情に気がつける間は、どんなに悲しいことでも、美しい虹にすることができるということでしょうか・・・

    「悲しい」とさえ、感じなくなったときが本当に行き場のないものになってしまうのかもしれません。
    筆者のいいたいこととは違うかもしれない、私見ですけど。


    私はきっと、まだほんの小さな虹しかかけたことがないでしょう。

    きっと、幸せなんでしょうね。

    でも、「うれしい、かなしい」といった種がきちんとそだつ、心の土壌を耕したいものです。

  • 伊岡さんの本は大好きでいつも
    面白く読んでいるが、デビュー作も
    いつもの感じとは異なるが面白い。
    ヤサグレた訳あり元刑事の元に
    転がり込んできた若い女
    そしてまた訳ありの同居人達3人。
    アルコールとヤクザ、殺人事件と
    元刑事は傷だらけになりながら
    なんとか一度でも関わり合う人間を
    助けようと奔走する。
    虹の種はいつか訳ありの人々にも
    それぞれ芽吹くのだろうか。

  • 伊岡さんのデビュー作にして横溝正史ミステリ大賞受賞作。ハードボイルドですが、目を背けたくなるような暴力描写が少なかったので読みやすかったです。ワケありの三人と同居する主人公が若い女性と知り合ったことから事件に巻き込まれるというハードボイルドでは王道ですね。同居人の恭子さんの過去がシンドくて辛かったです。最後は犯人が唐突過ぎたように思いましたが、面白かったです。

  • ハードボイルド?
    かなり痛いし、不運な事の連続な人生。
    でもちゃんとミステリーになってた。
    そっか…でもやっぱり苦しい結末なのかも。

  • 面白かった!
    一気に読める感じ。

  • 元刑事をやっていたのだけど、ちょっと巻き込まれて刑事を辞めることになった男性。

    そんな男性宅に同居人が何人かいて、そこにもう1人、女の子がやってきた。

    それがきっかけである事件に巻き込まれてしまいます。

    色々な事がわかってくるも、最後は意外な結末へ。

  • 伊岡瞬6冊目。
    に、して伊岡瞬の初めの方の作品。
    まだ初々しさが残る本。

    元警察官の尾木は、家に同居人3人と住んでいた。
    そこへ不思議な美人が2、3泊する。
    するとヤクザがやってきて、そのヤクザは死んで、尾木は事件に巻き込まれる。
    美人局、万引き、薬。

    まあまあかな、そろそろ伊岡瞬にも飽きてきたw

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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