二度はゆけぬ町の地図

著者 :
  • 角川書店
3.71
  • (8)
  • (31)
  • (20)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 122
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738095

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ✩3つ

    この本は良い。何が良いかって、薄く短いところが良い。
    こうゆう本だと読書意欲というものが大いに湧いてくるのだ。

    分厚い本はいかんよ、読むハナっから疲れる。それでもむちゃ面白いと分厚くても苦にならないけど、いつか面白くなるのだろうと読んだ大御所作家の分厚本が面白くならないまま終わったりすると、その大(中略)家のことは嫌いになるwww

    すまんこってす。すごすご[m:237][m:80]。

  • 高校の時、冬、マシュマロマン並みのダウンジャケットからも脇臭ただようお友達がいたのを思い出した。

  • 再読了:2022年12月16日

  • 人があまり認めたくない自らの醜い負の感情を、ことさら細かく描いており、そうしたところに惹きつけられる。
    ふられた彼女との性行為時に不快だった事、銭湯で腋臭男性が不快だった事などの描写が気持ち悪さを覚えるほど生々しい。

  • 西村賢太さん初めて読みましたが…なんとなく抱いていた荒くれ者のイメージが一転。主人公“貫多”の素行は確かに悪いんだけど、その実、小心で感受性が強くて、ちょっと可愛い(笑)それに文章が丁寧というか、古風で礼儀正しい感じがしました。「潰走」では思わず唸ってしまいました。世間的には善人で優れた人物と認められている人の、親切で常識的に見える行動と、その裏の恐るべき陰湿な一面…。あるある…と思ってしまいました。

  • 短編が四つ。先に『苦役列車』を読んでしまったので、全く同じような内容の話もあり、あとは細部を膨らませただけの話で今ひとつだった。けれど、自虐的で、「自分だったら自分の悪いところはそこまで言えないかも」というところまで正直に言い、ぎりぎりの線で共感、同情できるところもあり……。また、言葉選びのセンスが好きなのかも、と改めて思った。

  • いわゆる北町貫多が同居人を面罵するシリーズではない。十代、二十代の話だと読み進めてたが、その中の『腋臭風呂』は十代のエピソードだと思って読み進めていたら、四十代になった氏の話に辿り着く。この本が上梓されたのが2007年、氏が芥川賞候補になるも受賞には至らなかった時期だ。慊りない気分で鬱々としていたのではないだろうか。

  • 「苦役列車」の流れで前の作品も読んでみたくなってこの1冊。
    貫多のダメダメ感に「また来たよこのパターン…」と思いながらも、やっぱり描写のリアルさはすごいよなーと思う1作。この格差社会の1面をある意味で映し出しているんじゃないかなーと。綺麗な小説じゃないけれども人間臭いそんな1冊だと思う。

  • いやぁ面白い。酷い醜い浅ましい…どうとでも言えるほど下の下な主人公ではあるが、どうも憎めなくさせているのは作者の文章の力であろう。もっと読んで見たい気にさせる文章であり、傑出した才能であると思う。

  • 救いようの無いダメ人間だと思う。読んでいて物凄くイライラする。でも、そんなどうしようもない人間に哀愁を感じてしまうから情けない。哀愁は嫌いじゃない。おかげで西村賢太作品4冊目をこれで読み終えましたわ。
    特に「春は青いバスに乗って」が良かったですわ。

全22件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西村賢太の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×