当マイクロフォン

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738569

感想・レビュー・書評

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  • 中西龍。
    名アナウンサーであり、やることは確かに豪快。
    しかし、人事を気にしたりする小心な部分もあり、
    完璧な偉人として評価されることなく終わってしまった
    中西龍の生涯。

    この著者、さすがにNHKのネタ面白い。
    NHK出版の入っているビルの地下のトンカツ屋の二軒隣の
    専用の秘密クラブ(というか居酒屋)とか、帝国のスイートルームでの
    怪しい密会とか・・・。結局は経費のまわしあいという、情けない実情。

    旭川の話が、しみじみしていてよい。
    ハチナナ(八条通七丁目)の「レディー」は、本当に、そして
    まだあるのだろうか?

    窓に残した あのことば
    泣かないで 泣かないで
    瞼にやきつく さみしい笑顔
    さよなら さよなら
    君いつ帰る

    中西がほろ酔いの車内でくちずさむ
    二葉あきこの「夜のプラットホーム」。なんだか、切なくて
    この人の人生のような感じでジンときた。

  • にっぽんのメロディーのNHK中西アナの生き様!
    どこまでノンフィクションかわからんがとにかく破天荒で奇想天外!
    何故か勇気を与えてくれる本です!

  • とても面白く読める。
    子どもの頃怖い声だなと思いながら聞いたラジオ。
    実はその声の主は、人間として最低の奴だった。
    面白いくらい最低。
    絶対友達にも親族にもなりたくない。
    でも親族も協力してこの本はできたようだ。
    凄い。
    あと、筆者のNHKへの恨みつらみもかなりのウエイト。

  • アナウンサーの中西龍の声は好きだった。だが、こんなにも破滅に向かって生きた人だとは。

  • 小谷真生子のお父さんもアナだったんだね 今更

  • 元NHKアナウンサー中西龍の評伝的小説。タイトルの「当マイクロフォン」は、放送で中西龍アナウンサーが自称するときの一人称。破天荒な生きざま、数々の女性遍歴、その影に付きまとう生い立ち、親との葛藤。鹿児島局にも赴任したことがあり、ここでの縁は物語の最後で再びつながります。
    生きざまの凄さと、職人としての心のおき方、ぐいぐいと引き込まれるように一気に読み通しました。この業界に身をおいていなければ触れることのなかった一冊です。

  • NHKのアナウンサーというイメージからは程遠い、破天荒な彼の人生は、衝撃的。会社の上司に借りたのですが、彼は中西龍の実際のラジオ番組なんかも聞いていたそうなので、読んでいて思い入れも感慨もまた違ったものだったのだろうと思います。
    私は、この人、初めてこの本で知って、you tubeで声だけ聞いてみましたが、独特な雰囲気と、温かい声色で、不思議な感覚になりました。それなのに、私生活、こと女関係はよろしくなく、それでいてまめにお手紙を書いたり、詩を作ったりするあたり、この中西龍という人物は、決して一言では言い表せない、様々な顔を持った人なんだろうなと思いました。
    普段、あまり読まないタイプの本だったので、やっぱり人から借りると違った刺激に出会えますね。

  • 虚実を織り混ぜた伝記的小説。嘘で固めた真実というのは言い過ぎとしても、フィクションでなければ伝えられない真実というものがあるという見本のように思われる。最後のどんでん返しで全てが氷解するという傑作。

    2008年に読んだ本だが、12月23日の日経新聞文化欄で著者が中西龍のことを書いていたので、レビューを再度書くことにした。
    この記事で著者が一時NHKにいたことを初めて知り、この小説の動機に改めて納得した。2008年は社会人大学院に入った年で、読み終わるとすぐ同級生の女子アナにもこに本を奨めたのだが、多分読んではいないだろう。
    中西龍は伝説的なNHKラジオのアナウンサーでこれはその自伝的小説である。主人公の破天荒な生き方が小気味良い文体で書かれていて一気に読ませられた。最後のどんでん返しは言わぬが花だろう。これはオススメの一冊である。

  • 一度聴いたら忘れられない、個性的な声の持ち主、元アナウンサー中西龍の生涯を描いた(おそらく事実も含んだ)フィクション。夜のラジオ番組、フリーになってからのナレーションなど、なじみのある方が、ここまで破天荒な人生を歩まれていたとはびっくりいたしました。

  • 「中西龍」ナレーションの達人だと僕は思っている。あの人の声がスピーカーから流れて来ると、手をとめて聴き入ったものだ。印象に残っているのは、何と云っても「鬼平犯科帳」のナレーションだろう。此処の方々も聴いた事が或る方も少なくなかろう。あの訥訥と流れる様な話し方、「…長谷川平蔵で或る」これから始まるドラマにワクワクする心を一寸、冷ましてくれる。何度観ても何度聴いても、じーんとする。ああいう喋りの出来る人はもう、出てこないだろうな。変なアクセント、イントネーション、全ての言葉を平板化して、地名すら訳の解らない地名にしてしまう、最近のアナウンサー、のみならず、老若男女、ラジオから流れる言葉が理解出来ず仕方なく新聞の活字で再確認し、やっと意味が通ずる。情けない話だな。

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著者プロフィール

1956年埼玉県生まれ、小説家。慶應義塾大学文学部卒業。NHKに勤務、ディレクター、プロデューサーとして主に歌謡番組を担当。退職後、テレビ番組、音楽プロデュース等に携わる。2000年、「櫻川イワンの恋」で第80回オール讀物新人賞を受賞。『俳風三麗花』で第137回直木三十五賞候補。

「2018年 『鵺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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