死の犬

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740982

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  • 戦後、捕虜になり、復員した主人公。
    戻った地元は戦火に焼かれ何もなくなり
    闇市が立ち並ぶマーケットになっていた。

    もしかしたらどこかに生きているかもしれない
    家族のために、なくなった土地を取り戻したい。
    大金が必要だ。

    次第に狂気に取り込まれていく主人公と仲間たち。
    結局女は強い・・・

  • 東京などを舞台とした作品です。

  • 作品全体を冷たい温度で、出口の見えない
    救いようのないストーリーが淡々と
    語られるのだが、一見、低温の様に見えて
    実はその身を瞬時に焼き付かすような
    青白い「死」へ向かう主人公「智也」の
    狂っていく様が圧巻。元特攻兵として
    復員した彼の行き場は何処にもなく、誰も
    いなくなった「このクニ」に於いては
    犬死にし損なった亡霊同然の虚無感が
    常につき纏う。

    更に帝銀事件を作品に取り込む事で
    今作のもう一方の凄みを醸し出している
    ような気がします。もちろん今作で書かれる
    事件の真相自体は作者の創作によるものだが
    妙にリアリティを持ち、更に惹き込まれる。

    常にこの冷えたテンションなのに一気読み
    させられるオーラを纏った快作...かも。
    読み終えてからジワジワと来るんだよね。

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著者プロフィール

三咲光郎(みさき・みつお)
1959年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、高校の教職に就くかたわら小説の執筆を開始。1993年に『大正暮色』で堺市自由都市文学賞、1998年に『大正四年の狙撃手』でオール讀物新人賞、2001年に『群蝶の空』で松本清張賞、2018年に『奥州ゆきを抄』(岸ノ里玉夫名義)で仙台短編文学賞を受賞。著書に『忘れ貝』(文藝春秋)、『砲台島』(早川書房)、『死の犬』(角川書店)、『蒼きテロルの翼』(祥伝社)、『上野(のがみ)の仔(がき)』(徳間文庫)など。

「2023年 『空襲の樹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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