死を語り生を思う

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048742153

感想・レビュー・書評

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  • 小川洋子さんとの対談…のんびりした会話の中に突如核心に触れる部分が出てくる。
    瀬戸内寂聴さんとの対談…人は死ぬために生まれ生きている、途方もなく虚しく厳しい事実。
    横尾忠則さんとの対談…昨日の結果が今日、今日の結果が明日。これがカルマ。
    多田富雄さんとの対談…免疫系が脳を拒絶するとは意外。

  • 免疫学の多田富雄さんとの対談で出てきた話.鶏の雛とウズラの雛との生体移植の実験では,発生初期に脳を入れ替える.そうするとウズラの脳を持った鶏が生まれてくる.これはウズラなのか鶏なのか.しかしやがて免疫系(これは鶏の免疫系)が脳(ウズラの脳)を拒絶して死んでしまう.脳をも拒絶する自己が体にある.脳は免疫系を拒絶することが出来ない.人間の精神および肉体を支配する中枢は脳であると考えていたのに,免疫系の方が脳より優位の存在である.脳死状態でも免疫系は体の自己を守っている.しかし脳死をもって人間の死という線引きをしない限り生体移植が出来ないことになる.

  • 五木寛之と小川洋子、瀬戸内寂聴、横尾忠則、多田富雄との対談。

    瀬戸内寂聴、横尾忠則の章は、読んでいるのが苦痛になるくらい相容れなくて、もう途中で止めてしまおうかと思いながら読んだ。
    どうやら死後の世界とか、そういうものが私は理解しがたいのだと読みながら実感した。
    若くて死が身近なものではないからか?
    宗教に傾倒したことがないからか?

    小川洋子、多田富雄の章はもう少し科学的で現実的な話で読んでいて面白かった。
    特に多田さんの章は「死・生」を語るのに「免疫」が出てくるという驚きの内容だった。
    人は自己と非自己とを分ける「免疫」というシステムを持っている。
    しかし、例えば母親のお腹に宿る胎児は異物であるにも関わらず「免疫」は働かずに共存することが出来る。
    つまり「免疫」には寛容な部分があるのだ。
    という話。
    現在の人種間の争いにも、異人種、異宗教を排除するだけでなく寛容に共存する道があるのではないかという所まで話が続いた。

    年を重ねたら、この作品も違った読み方が出来るのかもしれない。

    • ハムテルさん
      すごい本ですね、読みたいと思います。
      すごい本ですね、読みたいと思います。
      2011/09/30
    • 未来さん
      ハムテルさん。
      コメントを頂いて、嬉しいです。有難うございます。
      この本は、読む人によって、感じ方が全然違うものになる作品だと思います。
      き...
      ハムテルさん。
      コメントを頂いて、嬉しいです。有難うございます。
      この本は、読む人によって、感じ方が全然違うものになる作品だと思います。
      きっと、読み方にも正解がないのだろうと。
      誰も死を経験したことは無いですからね。。。
      お読みになったら、是非レビューを読ませていただきたいです!
      2011/10/02

著者プロフィール

1932年、福岡県生まれ。作家。生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。戦後、北朝鮮平壌より引き揚げる。52年に上京し、早稲田大学文学部ロシア文学科入学。57年中退後、編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞受賞。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『百寺巡礼』『生きるヒント』『折れない言葉』などがある。2022年より日本藝術院会員。

「2023年 『新・地図のない旅 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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