ぼんぼん彩句

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1006
感想 : 128
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048765190

作品紹介・あらすじ

「俳句」という僅か17音で作られた世界の奥にはどんな物語が潜んでいるのか。社会派からホラー、SFに至るまで、あらゆるジャンルに足跡を残してきた宮部文学の新たなる挑戦。繊細で彩り豊かに輝く12編の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 12の俳句で楽しめて12の短編でもっと楽しむことができる不思議な感覚だった。

    その短編ひとつひとつが、心に染み込んでくるのは宮部さんならでは…なのかと改めて凄いなと思った。
    そして、ぞくっとする怖さもあり人の観察力も表現力にも圧倒されるものがある。

    このような俳句小説をもっと読みたいなと思った。

  • 「物理屋には歌詠みは多いが俳句詠みは少ない」と聞いたことがあります。
    季語という縛りがある上に、語数の制約もきついからでしょうか?

    最近は短歌を楽しむ人が増えているようですが、本書は俳句をタイトルにした25頁前後から成る12編の短編小説集です。
    俳句の解説集ではないので、タイトル句の作者の創意とはかけ離れた物語になってもOKという内容です。

    本書を「第一巻」と言っていて今後も創作を続けるようですが、年に3編ほどのペースなので「第二巻」は4年後でしょうか。
    角川の「俳句」という雑誌に寄稿したものの単行本化でした。

    肝心の各短編の内容ですが、少し物足りなさを感じました。
    俳句→物語 というチャレンジングな創作なのですが、宮部みゆきさんの作品は十分に練られた長編が好きなのかも知れません。

    私に俳句心がなさすぎるのか、作品タイトルになっている俳句の意味もよく分からないし、
    各物語の最後にもう一度、俳句が登場するのだが、作品内容とうまく結びつけられなくてモヤモヤしました。

    宮部みゆきさんは、存在自体が不愉快に感じるように邪悪な人を描写するのがうまい。
    だが、短編で次から次へと気持ち悪い人物が登場してくるので、読後感は良くなかった。

    タイトルと表紙の絵から、爽やかさと人情味を期待して読み始めてしまったのが失敗でした。
    期待を裏切られながらも読めてしまったのは、先を読みたいという気にさせる宮部みゆきさんの文才なんだろうなと思います。

  • 宮部みゆきさんよる新たな分野の小説集。作家としてベテランの域に既に達しているのに、新たなことにチャレンジする宮部さんの意欲に感心させられた。

    12の俳句と、それらの俳句を表題にした短編集。俳句がそのまま短編の表題というのがまず面白い。元々の俳句の作者の創意はこの際置いておいて、宮部さんがその俳句を読み取ってストーリーを創り上げた、という。今回の俳句は宮部さんの俳句仲間が詠まれた俳句。宮部さんご自分が詠まれた俳句もいつか読んでみたい。

    短編集の表題『ぼんぼん彩句』とは、俳句の「凡手」とお菓子のボンボンのように繊細で彩り豊かな句を詠みたい、という願いを掛け合わせてつけられたもの。
    この表題通り、ゾクっとするものから切ないもの、ほんわかするもの、と様々なジャンルの短編集になっている。17音の俳句から世界を膨らませて物語を創るとは、さすが宮部さんといったところ。

    特に『散ることは実るためなり桃の花』『山降りる旅駅ごとに花ひらき』『薔薇落つる丑三つの刻誰ぞいぬ』『冬晴れの遠出の先の野辺送り』が好き。

  • 俳句から物語を起こすという、珍しい手法で作られた短編集。
    人生の一ページを切り取ったり、SFっぽいもの、ホラーっぽいもの、後にざらりとしたものが残すもの…バリエーションは多岐にわたり、宮部みゆき節をあますことなく堪能できる。はっきりとした決着がついてないものも多く、そこがまた俳句の余韻とシンクロしている感じもいい。おもしろかった。

  • 僅か17文字の句を種子にして、さまざまな色の花を咲かせる。次に向日葵や鶏頭、桃を見たら句とともにこの風景を思い出しそうな気がする、そんな短編集でした。

  • 短編集、作者の仲間の俳句から連想される物語で、タイトルがそれぞれの俳句になっている。
    話がどれも短いので、まとまりがない感じになるかと思いきや、百人一首の上の句と下の句のように、物語と俳句がピッタリとはまる。怪談からミステリーまで展開も多種多様。さすが宮部みゆきだった。

  • 2023年4月角川書店刊。12の短編。後味の悪い話が多くてあまり楽しめなかった。タイトルか俳句になっていて、確かに話の内容のどこかに関係するのだが、ただそれだけで、面白くなかった。
    【目次と初出】
    俳句2018年6月号付録枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる、2019年10月号鋏利し庭の鶏頭刎ね尽くす、2023年2月号プレゼントコートマフラームートンブーツ、2021年3月号散ることは実るためなり桃の花、2019年11月号異国より訪れし婿墓洗う、2018年6月号付録月隠るついさっきまで人だった、2022年10月号窓際のゴーヤカーテン実は二つ、2021年5月号山降りる旅駅ごとに花びらき、2018年6月号付録薄闇苔むす墓石に蜥蜴の子、2019年9月号薔薇落つる丑三つの刻誰ぞいぬ、2023年1月号冬晴れの遠出の先の野辺送り、2021年4月号同じ飯同じ菜を食ふ春日和

  • 久しぶりに手に取った宮部みゆきさんの作品。
    お仲間が作った俳句より着想を得た短編集でした。

    宮部みゆきさんは「火車」や「模倣犯」「理由」など夢中で読んでいた時期がありました。
    今回の短編ひとつひとつもなんだか不穏な空気に
    引き込まれて、思わず読み入ってしまう、
    ゴーヤーの話なんて、ただゴーヤーが枯れないだけの話なのにとても不気味。

    やはりすごい作家さんだなと思ったのだけれど、登場人物の、特に若い女性になんだか違和感を感じて、、、。

    なぜだろうと思ったのですが、言い回しなどが、若い人のそれでなく、
    昔の人のような、ちょっと古い感じがしたのが違和感の原因かなと思い、ちょっと残念な気持ちになりました。

    辛口でごめんなさい。
    時代小説だったら気にならないのかもしれないですね。今度は時代小説を読んでみようと思います。

  • 俳句から構想された短編集。
    俳句はたった17音しかない世界一短い詩だと、大学で習った覚えがある。その俳句の奥深さ、おもしろさを味わうことができる作品だった。

    扉にタイトルとして掲げられている俳句を読んで、どんな物語が展開されているのか想像してから読むと面白いかも。

    読みながら作者である宮部みゆきさんの多彩さも存分に味わえる。ホラーやファンタジー、サスペンスなどのジャンル、子どもから大人まで幅広い文体。すごい作家さんだなと思った。

  • 宮部さんと知り合いの方で作られている「BBK」という会、ポケ防止効果も狙って、カラオケしたり俳句をしたりの会だそうだ
    その中で生まれたお仲間の俳句をタイトルにして短編小説を書くというアイデアで生まれたのがこの本

    小説の内容は、ぞわーっとするような話や暗い話も多く
    私の好みではなかったが、話を読んでいくと、最後にちゃんとその俳句に着地している
    見事としか言いようがない

    もちろん、俳句を作られた人の背景や思いは全く違うところにあったりするのだろうが、ちゃんとその俳句に落ち着くような物語になっている
    その想像力・創造力に脱帽!

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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