ビスケット・フランケンシュタイン (メガミ文庫 33)

著者 :
  • 学研プラス
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784059035336

作品紹介・あらすじ

一九九九年。半信半疑で語られ続けた大予言が、大いなる肩透かしとなった世紀末の世の中で、その異変は密やかに始まっていた。少女の身体を蝕みやがて死に至らしめる奇妙な「病」と、病の申し子としてこの世に生まれ出た「美しき異形」の数奇な運命を描くダーク・ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • ビスケは細胞的な意味では人間ではないけど、心は人間だと思う。
    ちょっとした偶然から生まれたからこそ、客観的に人類を見つめることができたのだと思う。
    作中に挟まれる知識の多さは、日日日さんの参考にした書籍の量でわかる。
    ビスケはイブのような存在になったが、あんなイブは嫌。
    カンタダも蜘蛛の糸を掴んだと思ったら、恐ろしい蜘蛛に捕えられた気分なのだろうか。
    そして、ビスケの取った解決策は一時的には人類を救うことになるかもしれないが、父親はみんな一緒なのだから、結果的には人類の絶滅を先延ばしにしているだけではないのだろうか?

  • Kindle版で購入したが、講談社BOX完全版に書き下ろしの「つめあと神経質」は未収録。

    あんスタがTLで流行ってるから「日日日といえばラノベですから読んで下さい」という布教の意味で新しいのを読んだわけだが、昔より面白くてよかった。私は狂乱家族日記と蟲と眼球しか読んでない。
    ライトめなSFなので、SFあまり読まない人にすすめたいし、イラストと合いまって腐女子も楽しめると思う。腐女子も楽しめると思う(大事なことなのでry)。

  • これはラノベ?だったのね…。
    あまりのつまらなさに3割ぐらいのところで挫折。私の好みじゃなかった。

  •  『ちーちゃんは悠久~』でこのひとを知り、iPadでの電子書籍デビューに準じて日日日さんの作品を何故かいくつか手に取りました。このひとはそれとなくさみしくてふわふわしたかきかたをしてくる。乙一さんとはまた違って簡単に飲み込めるものだから大概だ。
     まあ購入した切欠は表紙イラストだったんですがね。

  • 全1巻

  • 前提として。斜め読みなんだけど。

    えー。

    人間ってのは酷く脆いものである。綱渡りのようなバランスの上に人体は成り立っていると言っても過言ではない。
    そのためちょっとの変調が大きな疾患を招いたりするわけである。
    病と言うのはバランスが崩れたときになりやすいものだが、そのバランスというのは何も身体的なものだけではない。それは精神的変調によっても発生しやすい。
    そしてその病とは時にまるで罹患者の心を写す鏡であるかのように作用するものだ。
    そう考えると病というものは良い形ではないにしろ、崩れたバランスを補うために
    発生するものではないだろうか。
    発生することで欠損を無理に埋めようとするからバランスがうまく取れなくて、悪いものと
    なってしまう。それこそが病の正体だと考えることもできる。
    だとするのなら、病というものは人体にとって自らを省みるためのものであり、自らが克服せねばならぬ部分なのではないだろうか。病を取り込み、克服することで強くなれるのかもしれない。
    だからもしも病が集まったら、それは酷く不格好でありながら、どこか人間のための存在であり、悪い部分を指摘してくれる良い奴なんてものになるかもしれない。
    そうなったとき、甘い甘い生活に溺れていた人間はどうなってしまうのだろうか。
    もしかしたら病を直視できずに死んでしまうのかもしれない。それでも人は病と向き合い、闘っていくしか生きる道はないのではないのだろうか。とか何とか。

    まとめ!さすがにそのオチはねーよと思った。でもまぁフランケンシュタインの原作から考えると本懐は遂げた珍しい例とも言えるんじゃないんでしょうか。

  • 「おとなしく滅びなさい。覚えていてあげますからねえ――」

    思ったより壮大なスケールの話。
    「フランケンシュタイン」がとても好きなのでどうなるのか楽しみに読んでいたら、あの怪物をひっくり返したらビスケになるのかもしれないと思った。面白かった。
    まず見た目が美しい、ってことと、あと仲間と最終的に家族を得ること。
    フランケンシュタインに当たる日景があっさり退場、というか逃げ出したところも特に。
    日日日は相変わらず寂しい人たちの話を書いている人だという気がする。最近読んでないけど

    「あなたの化石を」。このタイトルで締めくくられるのが切ない。

  • “ビスケは先ほどまで話していた内容を忘れたらしく、しばしフォークを振り回してそのお菓子を切り崩す作業に没頭していた。知性と行動が一致していない。生まれながらにして、多数の少女の知識と知能を得た怪物。人類とは、何もかも異なっている。
    この世で独り、唯一の種族。
    蝶は何となく不安になって、ちいさく問いかけた。
    「人類が、滅ばないで済む方法はないのかな」
    「ありません」
    ビスケはチョコレートで口元をべったり汚し、断言した。
    「皆無です」
    「どうしてそう言い切れるの?」
    「この世が有限だからです。地球も宇宙も必ず崩壊します。人類が、絶対に死という宿命から逃れられないのと同様にね。ただ、滅びを先延ばしにすることは可能でしょう。運命を騙し騙し生き延びればいいのでは?そうすれば、可能であれば宇宙が滅びる遥かな未来まで、人類は存続しますよ。そのための知性です」
    「努力しろってこと?」
    「努力すれば、長生きはできるという話ですよ。それを無精がっては、死にます。個人の生涯と同じですよ、文明も宇宙もね。人類は唯一、運命に変更を加えることができる種族。すべては自由であり、つまり皆さんの責任です」”

    一九九九年。世界が滅ぶとされた年に、とある病気が少女の間で流行り出した。
    そんな少女たちの死体の『患部』で造られた少女、ビスケ。
    彼女を巡るお話と、彼女のすべきと決めた『目的』、そして、これから。
    toi8さんの描くビスケが可愛いすぎる。

    世界観が非現実ながらも土台がしっかりとしていて、しかしそれでいて堅苦しくはない。読み手を惹きつける会話に展開とテンポが良い。
    日日日さんの作品は、読んで絶対損はしないと思う。

    “政府はいい。民衆もいい。組織すら、行動原理は理解できる。同じ人間だ。けれど、この少女は異質だった。何がしたかったのか。ひたすら患者と接触し、いったい何をしていたのか。人間は未知を恐れる。この少女の怪しげな行動に、誰もが首を傾げていた。
    彼女が生まれたのと、病の発症が確認されたのは同じ一九九九年だ。病の発生すら、この少女に原因を求め、責任転嫁をするものも多い。あらゆる意味での重要人物。この現状の、中心にいるかもしれない――奇妙な怪物。
    彼女の『目的』は何なのか。
    いったい何のために、何をして、何を果たそうとしているのか。
    今さら彼女が、この滅びゆく人類を救う大逆転の手段を隠しているとは思えない。だが何かの希望が欲しかった。それが誰しもが期待した願いだった。治療法、あるいは病をはね除ける方法――その不老不死の根拠だけでいい。人類が、この病に悩まされることがなくなる、ひとつの未来が欲しかった。
    けれど少女は残酷だった。
    楽しげだった表情を、瞬時に冷たくする。
    この少女は幼く見えて、半世紀を生きた、経験を積んだ怪物なのだ。”

  • なかなかに面白かった。
    人体の一部が未知の物質に置き換わっていき死に至る病気。
    その患部を繋ぎ合わせて生まれた少女・ビスケ。
    すでに死んでいるが故に不老不死の彼女の回顧録。

  • 一九九九年。半信半疑で語られ続けた大予言が、大いなる肩透かしとなった世紀末の世の中で、その異変は密やかに始まっていた。少女の身体を蝕みやがて死に至らしめる奇妙な「病」と、病の申し子としてこの世に生まれ出た「美しき異形」の数奇な運命を描くダーク・ファンタジー。

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著者プロフィール

高校在学中に第8回角川学園小説大賞・優秀賞をはじめ、合計五冠の新人賞に輝く。ライトノベル、一般文芸とジャンルにとらわれず執筆を続け、著書に『狂乱家族日記』(エンターブレイン)『私の優しくない先輩』(講談社)。TVアニメ化もされた『ささみさん@がんばらない』(小学館)も執筆。

「2020年 『桃瀬さん家の百鬼目録2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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