限りなく透明に近いブルー

著者 :
  • 講談社
3.15
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本棚登録 : 560
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061128231

作品紹介・あらすじ

麻薬とセックスに明け暮れるスキャンダラスな青春を題材に、陶酔と幻覚の裏の孤独を描く詩的情感と清潔な感受性。24歳のきらめく才質が創る衝撃の“青春文学”。芥川賞受賞作

村上龍『限りなく透明に近いブルー』はひとつの「出現」であるといわねばならない。この作品が《ロックとファックの時代》を鮮烈に代表する1つの透視画ふうな立方体としてはじめて現われた作品であることは疑いをいれない。この作者の発想が鮮明で、しかもつぎつぎととぎれもなく奔出してくるその持続性と、なんらのいや味も誇張もなくセックスを描く平静性は、恐らく、生得の資質であると思われるけれども、また、この作品の全体の構成が十分に考え抜かれたものであることを思いあわすとき、この若さですでにこの作者に冷静な反省力も構成力も備えられていることを知らされる。これは感覚と思索が或る根元的な場で緊密につながっていることにほかならぬのであって、まさに「驚き」である。──埴谷雄高

感想・レビュー・書評

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  • 何度目かわからない再読。村上龍衝撃のデビュー作。1976年当時の原色の街・福生を舞台に繰り広げられるドラッグとセックスの饗宴。この小説で注目すべき点は「視点」の圧倒的な「清潔感」だろう。実際やってることはかなりえげつない。黒人との乱交パーティー、電車の中での半レイプ、繰り返される嘔吐、自殺未遂、腐ったパイナップル・・・汚くてしょうがないあれこれが主人公「リュウ」の眼を通すと現実感が失われ圧倒的な清潔感が生まれるのだ。「リュウ」はちゃんとした人格を持った一人の青年だが、その視点はカメラ・アイのような役割を持っている。今にも壊れてしまいそうな詩的な感性とその清潔感がこの小説に芥川賞を取らせたのだと思う。それと特筆すべきは執筆当時の風俗を歴史資料のように知ることができる点だろう。時々挟み込まれる音楽・薬物ネタ。ドアーズやローリングストーンズならともかくバーケイズなんて今ではあまり名前が挙がってこないし薬物にしてもメスカリンやニブロール、ボンドで遊んでいる奴なんて現代においてはそうそういないだろう。それと登場人物の古臭いセリフ回し。「味噌汁だけでも吸おうと思った」「おれミルクなしやからなあ」など現代ではあまり使わない言葉だろう。
    万人にはお勧めできない超問題作だが、合う人にはとことんフィットしてくれる作品だろう。俺が思うにこの作品のような路線を続けていたら村上龍は自殺していただろう。それほど壊れやすい感性がこの作品を成り立たせている。

  • 意味がわからない作品だった。
    でも、どこかの口コミ評価で、
    「この作品から何かを求めてはいけませんね。私は雰囲気を楽しみます。伝わってくる気だるさが好き。」
    とコメントしている人がいた。
    ふーん。そうなんだ。なるほど。そう言われるとわからなくもない。何も求めない人にはオススメの本かも。

  • ドラッグとセックスと暴力に明け暮れた若者の混沌とした世界の、たまに見える清らかな描写がとても良かった。ドラッグによる幻覚と爆発的な感情が同じ温度で平坦に描かれていて、なにがほんとうなのか、正しい世界と幻想の世界の境界は曖昧なのかもしれない。

  • 1976年10月7日 第十一刷 再読

  • ドラッグ! セックス! 幾度も繰り返される嘔吐!!!
    彼らの乱交パーティーは米軍仕込みだから半端じゃないぜ!
    他人の迷惑お構いなし!!レコードが鳴り響く!!

    自暴自棄に見える若者たちにも未来があり、焦りもある。
    いつ死んでもいいような振る舞いは今を最大限に生きているということなのかもしれない。
    物語の最初から最後まで嘔吐し続けるが、そんな生活も嘔吐し続ける日々も終わりがくる。若さは永遠じゃない。

    ---------------------------------------

    傍若無人で迷惑な若者たちの姿に寂しさを感じた。彼らに線香花火同様の儚さを感じていたからかもしれない。騒がしく光ったあとは小さくなり、やがて地面に落ちて消える儚い光。

    好き勝手にクスリをキメて乱交して、彼らは間違いなくイカレている。
    ただ、最後のリリーへの手紙を読むと、やはり寂しくなってしまう。イカレた季節はすでに終わっていたんだな、と。

  • 初版 再読

  • 主人公リュウ。想像しただけできたないことだらけで、若さをおおきくかいたかんじ。
    note 又吉、夜を乗り越えるから派生。

  • めちゃくちゃ気持ち悪かった

  • 【242】

  • 完全にいってる世界。

  • 具合が悪くなりそうな描写の後に、目に浮かぶような文章が続いて
    後味も思ったほど悪くはなく、読みやすかった

  • 「胸糞悪くなる話だよ」
    そう友人から言われ逆に興味が湧き購入。

    私としては胸糞悪くなるというか、
    非道徳的で非倫理的な出来事が
    あまりにも淡々と綴られているため不気味さを覚えた。

  • 1976年(昭和51年)第2位
    請求記号:Fムラカ 資料番号:010536449

  •  言わずと知れた村上龍のデビュー作・芥川賞受賞作。70年代特有のセックス・ドラッグ・ロックンロールの混沌が最後まで続く。
     文体が妙に乾いている。そこがリアルで無性に怖い。多分、本当に壊れた人間(作中に主人公が人形みたいだという描写がある)というのはこういう思考をしているんだろう。特に、無意識に起こる焦点のずれ、他人が真剣に話している隣りで全く脈絡のないことを考える主人公(彼は窓の外を眺めるのが好きらしい)。こういう書き方は誰でもできそうで実際はできるものではない。
     この小説がどうして芥川賞をとったのかは今となってはよく分からないが、おそらく重要なのは「何もない」ことだろう。ストーリーは行き当たりばったりだし、登場人物の謎や過去が特に明かされるわけでもないし、愛や平和や友情などのメッセージも皆無(ドラッグは怖いなとは思ったが)。あるのは詩的な感性のみ。それをどう評価するかは人によってかなり異なるに違いない。

  • んーよくわかりませんでした!w
    リュウは龍なんでしょうか、だとしたら破天荒な若者だなぁとか思ったりして。初の村上作品でしたが独特でしたね。少しあとの作品も読んでみようかな。

  • 村上龍さんの若い頃の超有名な一冊。
    が、この内容に高い評価をみいだすのは難しい、理解できない。
    これは実体験を小説に?読んで気分は晴れないし、モヤモヤ〜で。
    タイトルのキャッチーは惹かれるが。

  • 30年ぶりに読み返してみた。

    当時もわからなかったが、今読んでもわからない世界…。

    でも題名は好き。

    12/09/16-96

  • これ、買ったのはいつのことだったか…。
    たぶん、中学3年くらいだったかなぁ。
    っていうと、なんて早熟な!!と思われそうな内容ですね、これってば。

    昔は読書と言えばライトノベルが8割を占めてた私がなぜこれを買って読んだかというと、当時好きだったバンドがインディーズで出したアルバムの中に「BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー」ってタイトルの曲があって、それがこの本をモデル(?)に書いた曲だと知って、この曲が好きだったから読みたくなってね。
    で、ほとんど読書をしない親が芥川賞ってことでこのタイトルも作者も知ってて、そんないい本(?)なら買ってあげる!ってことでハードカバーで買ってもらって読んだらば、こんなディープな内容だったという・・・。

    で、内容ですが、簡単に言えば「生と性とドラッグ」の話。
    とりあえず田舎の中2女子にはディープすぎた。
    ただの生と性ならまだよかったんだけど…ドラッグ描写がどぎつくて、こりゃ作者も経験者でしょ?でなきゃこんなリアルな描写ありえない!っていうくらいリアルでした。
    表現がっていうより、表現法が、なのかなぁ。
    ドラッグでラリってるときは怒涛の流れとモノローグとセリフの区別のなさ。
    それがやけに怖くて、でもどんどん読み進めてしまった。
    そしてラスト、自分の血を見せてくれたカケラ…それが「限りなく透明に近いブルー」。
    これがタイトルにつながるなんて、なんてかっこいいんだ!と思った記憶が。
    かっこいいっていうとちょっと違うけど…そのときの感情をうまく言葉で表せないや。
    とにかく私にとって、すっごく印象に残る本となりました。
    でもちゃんと読めたからよかったものの、普通は中2女子が読む内容じゃないね、何度も言うけど!w

    ちなみにこの小説を元に曲を書いた方は、同じくこの小説を元にさらに小説を書いてらっしゃるんですが、内容は「この小説を元に」じゃなくて、まんまパクりで笑いましたw
    ラストがこれとほぼ一緒なんだけど、その表現方法の差に苦笑…って感じw
    パクりの方は非常に陳腐ですww

  • 厭世観、諦観を極彩色で彩った感じ。10代の頃に読めばかっこいいと思ったような気がするけど(笑)アラサーとなった今では、ああ自分に酔ってるな…とだけ思った
    とはいえ、小物や情景描写、五感の描写はラリってる最中というのもあるんだろうけど、怖気が立つようで、こちらも鳥肌を立てながら読んだ。

  • うーん?ドラッグを描ききったから芥川なの?

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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