- Amazon.co.jp ・本 (567ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061149069
作品紹介・あらすじ
本書は、2004年に小説誌等に発表された数多くの短篇ミステリーの中から、日本推理作家協会が最も優れた18編を厳選した、決定版アンソロジーです。さらに、2004年推理小説界の概況、ミステリー各賞の歴代受賞リストも付いた、50年を超える歴史を誇る国内唯一無二の推理年鑑です。
感想・レビュー・書評
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(収録作品)伝説の星(石田衣良)/マイ・スウィート・ファニー・ヘル(戸梶圭太)/黄昏時に鬼たちは(山口雅也)/死神と藤田(伊坂幸太郎)/貧者の軍隊(石持浅海)/犬の写真(池永陽)/東山殿御庭(朝松健)/二つの鍵(三雲岳斗)/ゼウスの息子たち(法月綸太郎)/子は鎹(田中啓文)/愛書家倶楽部(北原尚彦)/ディープ・キス(草上仁)/プロセルピナ(飛鳥部勝則)/DECO-CHIN(中島らも)/光る棺の中の白骨(柄刀一)/虚空楽園(朱川湊人)/お母さまのロシアのスープ(荻原浩)/大松鮨の奇妙な客(蒼井上鷹)
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シリーズ制覇を目指して!
「伝説の星(石田衣良)」は軽いどんでん返しが決まるライトミステリー。まぁまぁかなぁ。
次は意味がわからん「マイ・スウィート・ファニー・ヘル(戸梶圭太)」。
「黄昏時に鬼たちは(山口雅也)」ってあまりに非現実な舞台は嫌いだな。ヒッキーとかくれんぼ?
既読だが、いつ読んでも楽しい死神シリーズ「死神と藤田(伊坂幸太郎)」はキチンと再読。いつ読んでも「間」がいいなぁ。
トリックの解説がきれいな「貧者の軍隊(石持浅海)」は、テロたちの密室殺人ものでなかなかおもしろかった。
余韻たっぷりの「犬の写真(池永陽)」はほかの作品も読みたいな。美人の母と犬ね。
ふりがなが多くて読みにくいからパスした「東山殿御庭(朝松健)」の主役は一休さんらしい。つまらなさそうだ。
「二つの鍵(三雲岳斗)」は下手に外国ものに仕立てており、よけいにわかりにくい。嫌いだな。なぜ日本を舞台にしないんだろうか?
「ゼウスの息子たち(法月綸太郎)」は既読。ダブル双子ってねぇ・・・。
「子は謎(田中啓文)」はいい話だ。「かすがい」と読む。知らなかった漢字だ。落語ねたかと思いきや、実際は人情ものかな。
切れが悪い「愛書家倶楽部(北原尚彦)」は最後数行のどんでん返しにかけたお話だが、だめだなぁ。
「ディープ・キス(草上仁)」「プロセルピナ(飛鳥部勝則)」「DECO-CHIN(中島らも)」はいずれもグロいだけの駄作と切り捨てる。
「光る棺の中の白骨(柄刀一)」も読ませる展開だったが、トリックがあまりに非現実的でがっかり。
トカゲ女の「虚空楽園(朱川湊人)」もさっぱりおもしろくないし、「お母さまのロシアのスープ(荻原浩)」だって、オチが下品である。
少しひねった「大松鮨の奇妙な客(蒼井上鷹)」は悪くはないけれど、Why とか弱い感じ。偶然要素が多すぎるし。
ってことで、この年は不作だったんだなぁと思う。 -
小気味いい短編って大好き。
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書名の通り、その年に発表された数多くの短篇ミステリーの中から、日本推理作家協会が最も優れた18編を厳選したものだそうです。
18編というのは、ものすごいボリュームだなあと読んでみて思いました。
いいなと思ったのは、ただ単純なミステリーばかりではなく、様々な種類のミステリーが収録されているというところでしょうか。
18編もあるので、自分の好みそうな話を選んで読めるし、試しに読んでみたら意外と好きかも、という話に出会えると思います。
ただ、ミステリーの短編集でよくあることですが、ひじょーーに、グロい話も収録されているので苦手な方は要注意です。
特に戸梶圭太さんの『マイ・スウィート・ファニー・ヘル』。
これは説明にもスプラッタと書いてある通り、まさに人がゴミのように死んでゴミのように壊されています。
それに奇形を題材にしたものが2作ありました。
特に中島らもさんの『DECO-CHIN』はちょっと…な。痛かったな。
あと奇形ではないですが、人を造りかえ奇形にする朱川湊人さんの『虚空楽園』もインパクト強かったです。救いがあるのかないのか微妙な話でした。
個人的に、ミステリーとして非常に面白い!と思ったのは、三雲岳斗さんの『二つの鍵』と朝松健さんの『東山殿御庭』。
それぞれが、かの有名な人物を探偵役に据えています。
『二つの鍵』は、レオナルド・ダ・ヴィンチ。『東山殿御庭』は、一休さん(でもこちらは、厳密には一休さんは探偵役というよりは導き役)。
この二作は、面白かったです。
探偵役を聞いただけで、ワクワクする。ストーリーもミステリーとして完成度高い(と思う)。
『東山殿御庭』は、よく使われる二重構造になっていますが、それでも使い古された感じはしません。『陰陽師』が好きな方は、きっと好きになるお話。
あと田中啓文さんの『子は鎹』は、ミステリーというよりは人情話です。でもものすごくよかった。落語のお話です。
それから推理ものとして面白かったのは、石持浅海さんの『貧者の軍隊』。題材も面白かったけど、内容もなかなかでした。この話に出てくる探偵役のシリーズ読みたい。
大御所の法月さんと柄刀さんの作品はさすがの安定感です。
安心して読めるとはこのことだと思いました。特に法月さん。面白かった!
惜しいと思ったのは、北原尚彦さんの『愛書家倶楽部』と蒼井上鷹さんの『大松鮨の奇妙な客』かなあ…。
この二作は、ラストさえもっとこうならこうだったのにーー!と思わず唸ってしまう惜しさ。
もちろん、個々人の趣味なので、読む人が読めば最高の作品なのだとは思います。
でも私としては、ラストにもう一ひねり欲しかったな〜という感じです。特に『大松鮨の奇妙な客』は、途中まではすごくよかったのに…!ラストでずっこけました。え…これで終わり?と……
思わせぶりな探偵役まで出したわけだから、どんでん返しを期待したのに!