コロボックル物語(1) だれも知らない小さな国 (児童文学創作シリーズ)

著者 :
  • 講談社
4.17
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本棚登録 : 794
感想 : 139
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061190757

作品紹介・あらすじ

小学校3年生のときだった。もちの木をさがしにいったぼくは、こんもりした小山や杉林にかこまれた、三角形の平地をみつけた。小さないずみがわき、まっかなつばきの花のさく、どこかふしぎな感じのする場所だった。──そして、とうとうぼくは見た。小川に流れていく赤いくつの中で、虫のようなものが動いているのを。小指ほどしかない小さな人たちが、手をふっているのを!

感想・レビュー・書評

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  • もちの木を探して迷い込んだ、小さな泉のある小山。
    三角平地。
    この、素敵な場所を、仲間に伝えることなくひとり好きな本を抱えて過ごすことにしたぼく。(まずはここに共感)
    トマトのおばあさんから聞いた、この小山に伝わる古いはなし…
    ある日出会った小さな女の子、片っぽうのくつ。
    初めての こぼしさまとの出会い。

    このあとぼくは引っ越してしまい、次第にこの小山のことを忘れてゆく。
    そして戦争が始まる。僕は中学生になり、工場で働かされ、父親は海に沈んだ。

    _毎日が苦しいことばかりなのに、同時に底抜けに楽しかった。_

    子ども時代の戦争体験をこんな風に描いてしまう…でもこれって今の時代の報道だけで戦争を知る私たちとどこか通ずるというか、子どもらしくて、正直な描写に驚きました。

    戦後、焼け野原の中で、この小山を思い出す感覚もなんだか素敵だった。そうしてお話しがぐっと進んでゆきます。

    こぼしさまを世間から守る事を考えはじめるぼくと、ぼくを試す小人たち。
    小人といえば、コオロギのような動きの描写があり、小屋に何百という小人たちが集まった時は、私はぞっとしましたww
    あっという間に主人公が大人になっている所も新鮮。そしてこの後あの小さな女の子と再会するのですが、
    ぼくはなかなかその事に気づかなくて、読者はイライラしちゃうんですよね。
    でも、この後すべてはいい感じに回収されてゆく…。

    幼稚園の先生になった女の子、おチビさんとの過ごし方が良かったですね。
    ぼく、セイタカさんは、女の子の扱いがとても紳士的なのです。この昭和のど真ん中に、こんな素敵な男の子を描いているってすごいよね、という話しにもなりました。
    当時としては進歩的だったのでは?
    そして今となってはおかげで長く愛される物語になっているのかなと感じました。

    この、あっという間に主人公が成長している感じがYA文学として通じそうだなと思わせました。

    小山の地主だった峰のおやじさんや、男勝りな幼稚園の園長先生など、魅力的な脇の人物も良かった。

  • 子どもの頃、お気に入りの場所だった鬼門山。
    何度も足を運ぶうちに、小人を見かける。
    いつかこの山を買って自分のものにして小人たちの国を守りたいと思う。
    もう一人、小人の存在を信じていたおちび先生と僕「せいたかさん」は、小人コロボックルたちと力と知恵をあわせて問題に立ち向かい、乗り越えることができた。
    そしてついに、鬼門山を買い取って「コロボックル山」とすることができた。爽やかな場面で終わる。
    小さな善意がいっぱいつまっていて、気持ちよく読むことができた。小人の存在というのが、とてもワクワクさせてくれる。それにも増して、おちび先生の存在や、道路工事を計画変更にもっていくための作戦などが読者の心を掴むと思う。

  • 子どもの頃夢中になって読んだ本
    今読んでも充分面白い
    古本屋かえりみちにて購入

  • ちいさなひとのころぼっくるが、どこかにいるのかもしれないとおもった。

    • daigohyakushimaさん
      コロボックルをしんじるひとだけがみえるのかな?
      コロボックルをしんじるひとだけがみえるのかな?
      2019/01/09
  • ある、男の子が小さな人(小人)を見つけて友達になってい行く話しです。夢を広げてくれる物語でした。読んでいない方は是非読んでください。

  • 小学高学年の時に読んだコロボックル物語シリーズ。
    久しぶりに再読しました。
    これはシリーズ最初の①番目で、主人公セイタカさんが初めてコロボックルに出会うお話です。
    セイタカさんが、子供の頃に見つけた小さな小山が舞台です。そして一瞬みた小人さんに驚きながらも受け入れます。
    こんもりとした杉林に囲まれた、小さな泉、小川のある秘密の場所…。そんな場所には本当に何か?がいるかもしれないなぁなんて思ってしまいます。素直に読み進められる文章と、村上勉さんの挿絵に癒されました。長年愛され続けていることに納得の一冊です。

    

  • 全編がファンタジーなのかと思っていたがそうではなかった。
    物語は戦後から戦前に遡り、あまり明るくない時代から始まる。
    子供の頃にこぼしさまの話を聞き、こぼしさまは必ずいると強く信じやがて見つける。
    そして協力し合いついには彼らが安心して暮らせる小さな国を作った話。
    ファンタジーとリアルが混ざり合った、夢のようでもあり勇気を持って現実に向かって行こうと言われているようにも感じられる作品。
    ちょっとファンタジック過ぎるかなと思う箇所もあるけれど。
    子供から大人までが読んで何を感じるかだと思う。

  •  最近他界された佐藤さとるさんの処女作である(たぶん)。
     めぐり合わせのためか私は佐藤さんの物語を読んだことがないか、読んでいてもそのお名前を意識することはなかった。
     今回このような機会があって、また数多くある作品の中でこれを勧める声を見かけて、手に取ってみた。

     良質の、などと言うとどうしても陳腐な表現になってしまうけれど、いつも前向きな主人公の、少し不思議な出会いの物語である。
     冒頭に舞台となる場所の地図があって、これがまた素晴らしい。丁寧な描写とあわせて地図を眺め、かつて自分も楽しんだような「冒険」を思い出させてくれる。
     当時の当人達にとってはなんでもない日常が、時の流れ以上に遠い昔の遠い世界のように感じる。

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著者プロフィール

1928年、神奈川県横須賀市に生まれる。1959年、『だれも知らない小さな国』を出版し、毎日出版文化賞、国際アンデルセン賞国内賞他を受賞。コロボックルシリーズをはじめ、『かえるのアパート』、『おばあさんのひこうき』などの名作を次々に発表。日本の児童文学の代表的作家の一人。

「2009年 『もうひとつのコロボックル物語 ヒノキノヒコのかくれ家 人形のすきな男の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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