武器としての交渉思考 (星海社新書)

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  • 星海社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385153

感想・レビュー・書評

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  • 客を儲けさせろ。「(自分たちが)面白いことをやっていれば、お金はあとからついてくる」ではなく、「客が儲かれば、お金はあとからついてくる」と考えるべき。」
    マッキンゼーでは、「Client interest first, money follows」


    「いまのところ、どんな高性能のコンピュータでも代替できない仕事があります。それこそが交渉です。」とな。 2012年6月に出版された本だが、2020年にはIBMによってディベートが出来るコンピュータが出て来ていたし、23年はChatGPTが盛り上がっていて、どうなんだろうと思ったけど、それでもコンピューターでは出来ないと考えていた理由として、「なぜならば交渉には「ロマン」と「ソロバン」という2つの側面があるからです。」と。。。 

  • 交渉の現場で使用される実践的な戦術がまとめられている。著者である瀧本先生が大学で行っている授業をベースにしている、大学生向けの書であるが、社会人が読むにも充分の内容。自分自身、交渉の上で使用するものもあり、納得感がある。
    息子向けに買ってはみたものの、読んでいる形跡がないので、もったいなくて読んだら、めちゃおもろかった。

  •  瀧本さんという著者は、以前より気にはなっていて、昨年のゴールデンウィーク時にFacebookにて、「7日間ブックカバーチャレンジ」で友人が複数の本を紹介してくれていた時も気になっていた。 ビジネス本の平積みに瀧本さんの本はよく置かれていた。 そして昨年には「2020年6月30日またここで会おう」が平積みになっていたのを覚えている。

     東大や京大の学生さんにアツイ講義を行う、そんな方の著書なんだな、「君にともだちはいらない」など、メッセージの強い本を書く方だな(ちょっとここまで強いメッセージだと僕は合わないかもしれないな、でも)、どっかの乱読タイミングでまた読もう、と思っていた。 先日、また丸善に行った際に、オトナ買いする機会あり、「あぁそうだ、瀧本さんの本、読んでみよう」と手に取った本。 

     恥ずかしながら初めて瀧本さんという方を知り、昨年の「7日間ブックカバーチャレンジ」を見直したり、当時のいくつかの記事を読んだりしている。 相当すごい方(圧倒的な天才)だったんだな、と思う。 改めてご冥福をお祈りしたい。  せっかくのご縁なので、また次回に瀧本さんのほかの本、複数読んでみたいと思う。

     本の内容としては学生向けに行った「交渉の授業」を一冊に凝縮したもの。「この閉塞した日本の状況を一緒に変えていきましょう。」とあり、若い方々に考え方という武器を与えて、社会を世界を変えていこうとされていたんだな、と伝わりました。

     まったくまとまりないですが、以下、自分が気になった箇所の抜粋です。
    ===========
    ・P93 「客が儲かれば、お金はあとからついてくる」
     と考えるべきなのです。
     このことをマッキンゼーでは
    「Client interst first, money follows」
     と言います。

    ・P106 そこで本書では、「すごく合理的に物事を判断する人を相手とする交渉」と、「まったく合理的でない人を相手とする交渉」の2つに分けて考えていきたいと思います。
     なぜ相手を分けて考える必要があるかというと、交渉では意思決定権を持つ相手と自分とが合意することが必要不可欠なので、相手がどういう考え方をするか知らないと、そもそも交渉が成り立たないからです。

    ・P193 相手側が何かしらの条件を提示してきたときには、それにアンカリングされないように「この条件の設定自体に何かおかしいところがあるのではないか?」と常に疑ってかからなければいけません。

    ・P221 こういった交渉では、相手の希望する条件をできるかぎり汲んであげながら、こちらの希望する条件を実現するためにはどうすればいいか、柔軟な発想をすることが求められます。
     そのためには、争点をすべて洗い出し、それぞれの重要度を決めて、相手にとって重要な争点と、自分にとって重要な争点を結び付けてみる。
     そしてそのうえで、「自分にとって重要度は低いが、相手にとっては高い争点」を譲歩したり、逆に「自分にとって重要度は高いが、相手にとっては低い争点」を譲歩してもらえるよう提案したりすることで、お互いにとっての目的を達成できる道を探ってみることが必要なのです。

    ・P265 向こうの言っていることがどんなにむちゃくちゃな論理に見えても、「その背後にはそれなりの理由があるはずだ」と信じて、とりあえず相手の話をちゃんとぜんぶ聞く。
     そうしないと相手はますます意固地になり、交渉どころか取り付く島もない、ということになりかねません。

    ・P315 みなさんのなかにも、「どうにかして日本の未来を良くしたい」と考える、志を持った人がいることでしょう。
     そう思うみなさんが、もし本気で世の中を変える力を身につけたいと思うならば、まず言葉を磨くことです。
    ===========

  • 交渉の入門講座みたいな。
    沈黙を恐れない、勝ち負けではない 等、色々と勉強になった。バトナ アンカリングも使える。
    自分が交渉でやられてしまっていたテクニックにも気付かされて、あーやられたー!!!といまさら悔しくなったり(笑)

  •  当たり前といえば、当たり前のことを再確認できた一冊。すばらしい本ということではないが、普段忘れていることを思い出させてくれる。そういう意味で、瀧本氏の本は内容が特に優れているとは感じないが、読んでしまう。
     この本では、タイトルにもあるように「交渉」に関して、交渉におけるポイントを分かりやすく整理していた。
    その中で、特に大切だと感じた点は、
    ・相手の立場に立って、相手にとってメリットがあるように交渉する。相手に欲しい、ええやんと思わせる。(自己主張に訴えても無意味、交渉は勝ち負けではない)
    ・複数の選択肢を持ち、パトナを持つ。パトナにより、交渉を優位に進められる。
    *パトナとは、交渉相手に自分には他のよい選択肢があるので、それ以上でないと合意しないという宣言ができる他の選択肢。
    →コモディティ化を避ける。
    ・自分の足を動かす。→情報の獲得。信頼の構築。
    ・相手の求めるものをしっかり分析し、ゾーパ(合意できる範囲)の存在を確認する。
    ・相手をしっかり見極める。合理的か、非合理的か?何を重視するのかを分析する。

     ここで、再確認させられたことは、自分より相手を考えて行動することの重要性である。交渉は自分本位ではない、相手の分析がかなり重要である。それをふまえて、自分のメリットを相手にどう自分のメリットを伝えるかである。
    考えれば、当たり前だが、意外と忘れていることである。相手を知り、戦略を立てるのがポイント。

  • * そのベンチャーが世に送り出そうとしている商品やサービスが下記の2視点になら出資可能性
    - いつか多くの人に必要とされる日が来る(長期的なロマン)
    - 事業がスタートしてきちんとビジネスとして回っていくか(短期的なそろばん)
    * すごく合理的に判断する人を相手とする交渉と,全く合理的でない人を相手にする交渉と分けて考える
    * 一番大事なのは相手の利害に焦点を当てること
    * バトナ(Best Alternative of a Negotiated Agreement)の頭文字.相手の提案に合意する以外の選択肢の中で一番よいもの
    * 借り手にとって5月,6月が家賃交渉に向いているのはその交渉が合意できなかったときに家主の失うものが他の時期より格段に大きいから
    * 合意できる範囲をゾーパ(Zone of Possible Agreement)という
    * アンカリング 最初の定時条件によって相手の認識をコントロールすること
    * 間違いの責任問題からその後の対策の中身についての交渉へと話をスライドさせる
    * 交渉においてまず考えるのは
    - 争点を洗い出す
    - それぞれの重要度を決める
    * 非合理な主張をする人は6種類
    - 価値理解と共感を求める人
    - ラポールを重視する人
    - 自律的決定にこだわる人
    - 重要感を重んじる人
    - ランク主義者な人
    - 動物的な反応をする人
    * ラポールを重視する人には
    - 相手に好意を伝える
    - スモールギフトを贈る
    - 相手との共通項を見つける
    - 相手と同じ話し方・振る舞いをする
    - 共同作業を行う
    * 自律的決定にこだわる人
    - 相手が自分で判断・決定するための材料を提供することに徹する
    * 重要感を重んじる人
    - 本心で,丁寧に,敬意をもって相手に接する
    - 反応速度を速めることであなたを大切にしていることを伝える
    * ランク主義者の人
    - メンバーに高いランクの人を引き入れる
    * とにかく自分のことではなく,相手を分析することが,合理的・非合理的な交渉を問わず,きわめて重要
    * 複数のメンバーが参加する交渉では下記を事前に確認
    - アウトプット
    - ドレスコード
    - NGワード
    * 交渉が複雑であればあるほど,どういう条件なら合意できるかのラインを明確にし,それ以下なら物別れに終わっても仕方ないことをメンバー間で共有しておくことが必須
    * 交渉時の服装はかなり重要
    * 掲げているビジョンが社会にとって大きな意義であれば,そしてそのビジョンを実行できるだけの力を持っていることを証明できれば,実績がなくても人を動かすことができる
    * Do your homework. 自分で考える
    * あらゆる組織,集団,社会で大きな偏角を成し遂げることができるのは,その組織の古いしがらみやルールにとらわれていない人だけ

  • 交渉な仕方が知的に纏められた良書。
    このような人に重要は交渉の場面でコンサル頂きたい。

  • 3.3

  • 改めて意識しておきたい事
    ・人を動かすためには相手の具体的メリットを提示する事が有効
    ・自分の事情を訴えるよりも相手の主張を聞く
    ・パイを奪い合うのではなく、パイの前提を見直すか、パイを大きく出来ないかを考える
    ・バトナとは、交渉相手と合意する以外で最もいい選択肢で、これを持つ事で不合理な合意を避ける。
    ・ゾーパは、合意できる範囲
    ・交渉は最初のアンカリングが重要
    ・無条件の合意はしない

  • いわれてみれば当たり前のことしか書いていなかったように思う。

著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者。1972年生まれ。麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用。専攻は民法。任期終了後は学界に残らず、マッキンゼーへ入社。3年で独立し、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家として極めて初期段階の企業を15年以上にわたって支援し続ける。京都大学では教育、研究、産官学連携活動に従事。「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。

「2022年 『瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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