- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061385238
作品紹介・あらすじ
増税、原発、TPP…。この国には問題が山積みだ。評論家や専門家が多くの議論を重ねているが、なかなか答えは見えてこない。本書では産官学の立場を経験した哲学者が「日本の論点」をスッキリと整理。そもそもどこが争点なのか、古今東西の思想や哲学を参照しつつ、問題の本質に迫る。賛成派・反対派の考え方も踏まえた上で、ヘーゲルの弁証法を使って第三の道を探っていく。もはやこの国は待ったなしだ。ふだん国の問題について考えたことのない人ほど読む価値がある。「自分のこと」だけ考えていては幸せになれない時代だからだ。この国の問題をどこから考えればいいのか?どのように考えれば答えが見えるのか?この国の問題について考えるためのヒント集をあなたに。
感想・レビュー・書評
-
タイトルに惹かれ、即買いした本。
しかし、すこし期待外れ。
他の方も指摘しているかもしれないが、
つきつめ方があまいなと思う部分もあるし、
表記の仕方に誤解を生みそうなところがあって読む際に気をつけるべきかなと。
ただ、賛成論や反対論を整理したりはできるので、リラックスして読む本には最適かも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会が変わらないのは政治のせいだ、原発が無くならないのも、沖縄で基地問題が民意を反映できないのも、北朝鮮が毎日のようにミサイルをボンボン撃ってくるのも全て政治が悪い。本当だろうか。選挙によって議員や政党を選ぶ権利を有しながら、選挙にもいかない人たち。選挙に行かない多くの人たちは、口を揃えて「政治家には期待できないし、投票したい人も政党もいない」などと、いかにも考えた末の結論であるかのように振る舞っている。実態は面倒だとか、やる事があって忙しいから、事前に候補者や党の主張を熟読して比較したり自分の考え方に近いものを選ぶ、その行為すらも「面倒」なだけでなのではないかと思う。
斯くいう私も実は面倒には思ってる。そして政治への期待感も薄い。ただ後から自分が納得して文句を言えるように投票には行く。行かずとも幾らでも文句は言えるが、投票もしてないくせに何を言うか、という自身への批判を避ける為でもある。最近はインターネットで候補者の意見を読みながら、自分の考え方にどの程度一致しているかマッチ率を測るサイトもあるから、これは非常に便利だ。質問も端的に纏められて、大体どんな考えを持っているかは押さえられる。ただ可哀想なのは、誰もがそうした大きなテーマだけで政治家を目指すわけではなく、もっと身近なテーマや特定の人々に深く関わるような施策を考えてる人達が無視されがちになるということだろうか。
本書は哲学者でもある筆者が、我が国が抱える様々な問題点・疑問を哲学的アプローチで答えを探していこうとする内容だ。白黒はっきりさせるのではなく、「答えを探す」が正しい。例を挙げれば、脱原発議論も「無くす」「無くさない」の単純な結論では終わらない。「無くす」代わりのエネルギー確保や原発に携わってきた労働者の雇用など影響する課題までを踏まえて結論を導き出す必要がある。そうでないと容易にスポ根・根性論になってしまう。
世の中には原発だけでなく、地方自治や死刑制度、税と社会保障、同性婚など様々な課題が山積している。その一つ一つは政治家任せで決められるものではなく、国民一人一人が考えなければ、本当の解決の道は開かれない。熟議という言葉が出てくる。我々を市民と呼ぶのであれば、コミュニティの中の住民であり、自身の考えや主張をする古代ギリシアの全員参加型の政治社会から来た言葉だ。市民とは政治的共同体の一員を示す言葉だからこそ、我々自身が考えなければならない。国家は単なる手段である。国単位で議論しなければならないのは国防や外交など個人でやるには限界がある事を担うのであり、基本的には自分で考えるのが普通だ。
本書はそうした考える力になるよう哲学的なアプローチと法律の知識を身につけることを推奨する。幸い私も法学部出身だからある程度の知識と興味は残っている。本書も哲学の知識を求めるものではなくあくまで哲学的にアプローチするのを助けてくれる。個人がしっかり問題課題を深く考えて、どのようにしたら良いか常に考えを持っている状態が理想だ。そのためには世の中を知らなければならないし、他と比べてどうか、という判断基準は知識から来る。本を読むことでそうした基準を自分の中に作っていくことが重要だ。 -
哲学では、何も解決できない。日本人の不得意な議論が必要ということか。
-
産官学を経験した異色の哲学者が、現代日本が抱える12のアクチュアルな問題を取り上げ、対立する2つの論点に光を当て、哲学の知見をふまえて解答を出そうとする試み。文春の『日本の論点』を一人でやってみたような本。その意味では、宮台真司の『日本の難点』の類書でもある。
章立ては、以下のとおり。
第一章「どうなる民主主義!やっぱり気になる橋下徹」
第二章「どうなる安全保障!いつまでアメリカに守られるつもり?」
第三章「どうなる市場経済!格差や就職難は誰のせい?」
第四章「どうする税と社会保障!「弱者のための消費税増税」は正しい?」
第五章「どうする原発!停電は困る。でも放射能はもっと困る」
第六章「どうなるTPP!国内産業の保護かグローバル化か」
第七章「どうする政治制度!コロコロ変わる総理大臣」
第八章「どうなる道州制!都道府県はもういらない?」
第九章「どうなるネット時代の政治!インターネットで変わる世界」
第十章「どうする同性婚!結婚は多数決で決めるもの?」
第十一章「どうする裁判員制度と死刑!私たちが人の死を決めていいのか?」
第十二章「どうなる日本の教育!詰め込み教育か、ゆとり教育か」
本書の最大の美点は、わかりやすさ。
複雑な問題の枝葉末節をバサバサ切り落とし、論点を単純化し整理する手際が鮮やかだ。マイケル・サンデルをもっとわかりやすくした普及版といおうか、“政治哲学界の池上彰”といおうか。
……などというとホメているようには聞こえないかもしれないが、ホメ言葉として書いている。著者の知的咀嚼力は素晴らしい。
ただ、いかんせん、「わかりやすい」と「面白い」はイコールではない。
各章で導き出される結論の多くは優等生的で無難なものであり、私のようないい年したすれっからし読者には物足りない。薄味すぎて、ケレン味と毒気のスパイスが足りないのだ。
でもまあ、若者が世の中のことを少し真面目に考えるきっかけとして読むにはいい本だ。岩波ジュニア新書だったらちょうどよかった感じ。 -
少子高齢化、経済低迷、原発・教育・福祉・裁判問題に対して筆者の意見が述べられている訳ですが、読者に分かりやすいように、常に弁証法を用いて展開する点はとてもいいと思う。
-
見方が偏っているとか、背景知識が足りないとか色々な指摘があるようですが、個人的には現代の諸問題について賛否両論の見方と独自の見方を提示してくれていることに意味があるように思います。
読後、社会の問題に対し関心が高まったし、もっともっと視野を拡げていかねばならないと感じました。
とっかかりとして良い本です。 -
この国の問題について考えるためのヒント集
増税、原発、TPP……。この国には問題が山積みだ。評論家や専門家が多くの議論を重ねているが、なかなか答えは見えてこない。本書では産官学の立場を経験した哲学者が「日本の論点」をスッキリと整理。そもそもどこが争点なのか、古今東西の思想や哲学を参照しつつ、問題の本質に迫る。賛成派・反対派の考え方も踏まえた上で、ヘーゲルの弁証法を使って第三の道を探っていく。もはやこの国は待ったなしだ。ふだん国の問題について考えたことのない人ほど読む価値がある。「自分のこと」だけ考えていては幸せになれない時代だからだ。この国の問題をどこから考えればいいのか? どのように考えれば答えが見えるのか? この国の問題について考えるためのヒント集をあなたに。
■試し読みはこちらです。
http://ji-sedai.jp/book/publication/tetsugakudekaiketsu.html -
安全保障、原発、TPP、同性婚、死刑制度etc…。よくこんだけ広く日本の論点を拾ったなという感じでお得感はある本。賛成派と反対派の意見に言及し、そもそも論に遡り第三の道を探るという書き方で、読みやすい。「超入門」として重宝するはず。
-
消費税増税ではなく、高所得者から税金を集めよう、という意見にはあまり賛成できないな。努力してお金を稼ぐ意欲が失われてしまうという側面があるから。
-
哲学的思想の出番はほとんどない。
ただ哲学者である著者の考え方をつらつらと書いている感じ。