- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061470514
感想・レビュー・書評
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ヤンソンの島での生活を投影したような、シリーズには類をみないほどの荒涼さと厳しさと、さみしさ、こどく、家族それぞれが、あの灯台の島では浮き彫りになって、うみうま、モランとの和解、ムーミン谷へのあこがれにつながる、おとなの読みもの、
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灯台の鍵が岩すきまにあったとあり、どうしてそんなところに?と思いました。
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青い鳥文庫は、大人になって読むと、平仮名が多く疲れます。
講談社文庫で読んだ方がいいです。 -
すばらしい
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「ムーミン谷の彗星」のような冒険物語なのですが、こちらは敵であり親友でもある"ムーミンパパ"と"海"を大々的に取り扱った物語。一方では孤島で住む事になった一家の暗い精神面が色濃く表現されていたように思います。
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今までとは一転して暗い雰囲気の作品。
読者を不安にさせ、イライラさせられる不気味な作品を書けるのもヤンソンさんの実力かなぁ。
自在の書き方でどんな作品でも作ることのできる作者の実力と、
その実力をもってかかれたこの作品に脱帽でした。
ぶっちゃけ怖ぇえええ。 -
これは児童文学ではない。
冒頭の文章がすごい。
「ムーミンパパはしょんぼりと庭を歩きまわっていました。なにをしていいかわからなかったのです。なにしろしなければならないことは、自分かほかのものがもうすっかりやってしまったように思えたもの。」
絶望から始まる児童文学はいままでみたことない。
そして内容が私の年くらいで哲学的な考えが好きな人じゃないと受け入れられない暗さ。
もはやこれは哲学書だ。
ムーミンママが狂ってトリップしてしまった時は悲しくて読むのを休んだ。
人が普段の生活からかけ離れた場所に来た場合の極限状態が描かれた一冊。
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パパが可愛かった。
家族のみんなに頼ってほしくて仕方がない。
自分はムーミン谷のやさしい生活でぬるくなっている、とどこかで感じている。
からだの奥でうずまく自由への叫びを無視できなくなって、ついに自分だけの灯台のある島へ移住することを決める。
ママが素敵。
パパがママやムーミンにどう振舞ってほしいのかちゃんとわかっている。
強引さもわがままもまあるく受け止めて、しっくりとその望みのなかに収まる。
けれどそこにはママなりの独立のようなものが芯にあって、自由だ。(途中少しもやもやするけど)
自分も自由でありながら、たいせつなひとをも一番自由にしてあげられる。素敵だなあと思う。
船で島へついたときにママが荷物を運び出そうとするとパパが「ママはそこへ座ってただ安心していなさい。そんなことはわしが全部やるんだから」と言った。
しびれる男気でもあり、可愛い自分勝手でもある。
ママはすとんと、ただ座って世話を焼かれることを了承する。
ムーミンがちょっぴりだけ大人になる話でもあった。
ムーミン一家にひそかについてきてしまったモランにひとり気づき、夜中そっとベッドを抜け出してランプを片手に灯台の階段を降りてゆくシーンがとてもいい。
自分が近づいてゆく秘密とか闇のようなものや、まるい壁に踊るように伸び縮みする影を恐れていたのに、その美しさに気づいて感情すべてが逆転する瞬間。
それは身に覚えがある気がした。
死ななくてもいくらでも生まれ変わることができると知る。
夜の海辺でムーミンは輝く憧れにも日陰の存在にも、同時に対峙する。
ムーミンに出てくる登場人物はみんな自分の人生を生きていると思う。
そしてそれをみんながお互いに認めている。(積極的にしろ消極的にしろ)
ちゃんと距離を置いて、そのひとがそのひとらしくいることを尊重し、任せている。
自分の居場所が自分の身の丈に合っているのかということがわからずにいつももぞもぞしているような私にとってはとても気持ちがいい。
ときどきとても辛辣すぎてざっくりやられてしまいそうなセリフもあったりするのだけれど…。
ミィはなんて完成されているんだろうと思う。
残酷さも身勝手さも、すべて自分の責任のなかにおいて処理しているからすごい。
ムーミンの話もそうだけれど、やはりトーベ・ヤンソンの描く景色や意思のようなものがとても好き。 -
2008/02/12