酒池肉林: 中国の贅沢三昧 (講談社現代新書 1139)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061491397

感想・レビュー・書評

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  •  どうにも、うまくいかなかった感じがある。<br>
     中国の昔の偉い人が、えらい贅沢をしていたという話はよく聞く。で、その話以上の何かをこの本から得るのは難しい。amazonの「出版社からのレビュー」を読めば十分かもしれない。<br>
     本書に対する不満として、まず資料の扱いに疑問がある。たとえば小説からそのまま引用して「こんな贅沢をしていたんですよ」と語るところもあるが、それは少しばかり雑ではないか。事実と虚構の検証はしてほしい。おそらく著者は「一般向きの本」ということで、有名なエピソードを、細かな事実検証抜きで書くスタイルをとったのだろう。けれど、じゃあ嘘もありで面白おかしく書いているかというと、そうでもない。贅沢の描写にいたると妙にストイックな記述になってしまうのだ。びっくりするほどの贅沢は本書には見あたらなかった。たいてい「でっかいものをたくさん作りました!」式の凡庸な贅沢である。<br>
     そして不満をもう一つ。皇帝が贅沢をした理由を「父親殺し」などと安易に精神分析の用語を使って語ってしまうのも、ちょっと抵抗がある。だってそんなの分からないじゃない。ただお金使いたかっただけかもしれないじゃない。<br>
     というわけで、なにか中途半端な一冊なのだ。読み物としても、専門書としても物足りない。たとえるなら、テレビで「中国の酒池肉林」番組に出てきたコメンテーターのような、そんな印象を拭いきれない。(けー)

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著者プロフィール

中国文学者。国際日本文化研究センター名誉教授。07 年「トリックスター群像」で第10 回桑原武夫学芸賞受賞。主な著書に個人全訳「三国志演義」( 全4巻)「世説新語」( 全5巻)「水滸伝」( 全5巻) など。20 年5 月逝去。

「2021年 『史記・三国志英雄列伝 戦いでたどる勇者たちの歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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