サバがトロより高くなる日

著者 :
  • 講談社
3.24
  • (2)
  • (4)
  • (13)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 42
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498044

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 主な水産物の資源の状況や養殖の問題について幅広く取り上げており、漁業の全体の状況を把握することができた。

    ・過去50年間で主要な大型魚類の資源量が90%以上減少(マイヤーズ、2003年)
    ・主要な漁業資源の52%が生物学的に資源を維持できる限界、16%が過剰利用、8%が枯渇状態(FAO,2004年)
    ・中国の漁獲量報告が過大であるのは有名な事実であり、海域ごとのモデル解析によると世界の漁獲量は1988年から減少傾向にある(ダニエル・ポーリー)
    ・大西洋西部のクロマグロは、産卵能力がある親魚の数が1970年からの30年間で1/10に減少した(ICCAT)
    ・太平洋のクロマグロは、親魚の数がピーク時の1962年から1990年に1/7に減少した。
    ・ミナミマグロは1950年代以降、98%減少した(グリーンピース、1997年)
    ・日本は世界のウナギの80%以上を消費。99%が天然の稚魚を使った養殖。90%が輸入(2001年)
    ・シラスウナギの漁獲量は35年間で1/5以下、成魚の生産量は1/3以下に減少。
    ・ヨーロッパウナギの資源量は過去50年間に1/100近くに減少(オランダ政府)。中国の養殖はヨーロッパウナギのシラスウナギを使ったもの。
    ・日本の輸入サバの80%はノルウェー産(2002年)
    ・ニューファンドランド沖とラブラドル地方周辺海域のタラは過去30年間で97%減少した(カナダ政府、2003年)
    ・世界のイカの1/3近くを日本人が消費。
    ・日本海のヤリイカは1977年の最盛期から2003年には1/1000に減少した。
    ・2002年のワシントン条約で、ウバザメとジンベエザメが付属書IIに登録されることが可決され、2004年にはホオジロザメが追加された。国際取引には輸出国の許可書が必要。
    ・ヒラメ類のほぼ半分、ブリのほぼ3/4、タイの80%が養殖もの。
    ・クロマグロとミナミマグロの40%が畜養もの。
    ・地中海の畜養場では、クロマグロを1?成長させるために10〜25kgの餌を与えている。
    ・世界のエビの1/4を日本が消費。エビの90%が輸入品で、輸入食品の金額でトップ。
    ・1985〜95年の間に東南アジアで15万ヘクタールの養殖池が放棄された。
    ・エビ養殖はマングローブ林破壊の最大の原因で、38%が関連がある。
    ・エビの99%は発展途上国で生産されている。

  • [ 内容 ]
    日本は世界一の魚消費国。
    しかし生産量(漁獲+養殖)ではすでに世界第6位まで落ちている。
    乱獲が進み、養殖も環境破壊など問題山積。
    私たちはいつまで魚を食べ続けることができるのか。
    身近な話題でありながら、知られてこなかった現実を明らかにする。

    [ 目次 ]
    第1章 乱獲の実態(海から魚がいなくなる? マグロ ほか)
    第2章 養殖は漁業を救えるか(養殖の可能性と問題 オーストラリアでのマグロ畜養の成功 ほか)
    第3章 不当表示と代用品(貝の不当表示は当たり前? ウナギの偽装も多発 ほか)
    第4章 漁業の明日(持続可能な漁業をどうやって実現するか 地球温暖化が脅威に ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

著者プロフィール

井田徹治:共同通信社科学部編集委員。本社科学部記者、ワシントン支局特派員などを経て、2010年より現職。環境と開発、エネルギー問題をライフワークに、途上国の環境破壊の現場や、多くの国際会議も取材。著書に『生物多様性とはなにか』(2010年)など。

「2021年 『BIOCITY ビオシティ 88号 ガイアの危機と生命圏(BIO)デザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井田徹治の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×