人類進化の700万年 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
3.52
  • (11)
  • (42)
  • (51)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 358
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498051

作品紹介・あらすじ

四万〜三万年前のヨーロッパ。ネアンデルタール人と現生人類のクロマニョン人が共存していたらしい。両者の交流を示唆する痕跡が、フランスなどに残されていた。知能に勝るクロマニョン人が作った石器と同じくらい工夫を凝らした石器(石刃)が、ネアンデルタール人の三万数千年前の化石とともに見つかっている。最新の研究で明らかになってきた私たちのルーツの新常識。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • MM10a

  • 人類の進化について、著者によって少しずつ違う説明になっている部分があり、わからないことがたくさんある分野なのだなと思った。

    その中でも共通している内容はおおよそ共通認識となっていると考えて捉えた。

    700万年前から人類が進化して現代人になっていることを考えるとほんとうに感慨深い。

    新しく印象に残ったことは、他の人科のオラウータンやゴリラ、チンパンジーと違って、ヒトは一夫一妻になって、犬歯が退化したという説。
    アラブ諸国で一夫多妻制をしていているという反論に対しても、現実には一夫多妻は富裕層のみで多くの人は一夫一妻であることを考えると、本能的には一夫一妻はヒトの本能なのだそうだ。



    また、本書を通して、改めて適者生存が進化の本質なのだと感じた.

  • 「人類進化」そのものに興味がなくても読んでみてほしい一冊。(実際、自分も課題のため)
    社会の中で生活していると、国家や人種など、当然として存在している考え方から抜け出すのは、なかなか難しい。
    しかし本書を読んで、また違う視点を得たような気がする。

  • 易しい表現で、各章に『この章であつかう主な年代』が書いてあり頭を整理しながら読むことができた。

  • 人類700万年の進化の歴史の解説書であるが、この分野は一つの化石からすべての仮説がひっくり返ってしまう不安定さを内包するがゆえに、この本に書かれていることのどこまでが真実なのやら。とはいうものの、読んでいてアキが来ない。「直立二足歩行する動物は人類のみである(飛ぶように進化しなかった生物が爬虫類のみであることを考えるとこれはかなり稀有なこと)が、なぜ人類がそのような進化を遂げたのか」なんていうことに対する仮説が、10や20あること事態、この分野が本当に科学なのかどうか、それすら怪しい。怪しいから面白い。

  • 人類はどこから来たのか?今のところ現生人類(ホモ・サピエンス)の歴史は700万となっているらしい。そんなことどうやって分かるのか?何を持って700万年なのか?化石って何?というような素朴な疑問に答えを用意してくれているのが本書。

    著者は京大理学部卒の読売新聞記者だが、アウストラロピテクスだとか専門用語が多くて人類学は苦手だったという。そんな著者が、専門家に取材しながら最新の人類学を理解し、執筆当時(2005年)、何がどこまで分かっているのかということを分かりやすくまとめてくれています。専門家じゃなくて記者さんが理解した内容を分かりやすく紹介してあるので、一般読者にとってはとても読みやすい。どれが旧人でどれが原人だとかという”分類”なんていうものは、人類学という学問の世界の人情が絡んでいたりするという解説も面白い。

    人類史自体の本筋とはとりあえず関係ない年代測定だとか、研究手法に関する説明も終盤にまとめられていて理解が進みます。進化というものが何に導かれるのかということも考えさせられる。何か目的をもって人類が進化してきたように語られるけど、環境の変化によって生き残ってきた種がたまたま我々ということかもしれない。進化というよりむしろ退化してかもしれないというのも面白い。現生人類の起源がアフリカの一人の女性だ、というのは聞いたことがったけど、それがどのような研究で証明されたのかも分かりやすく説明されていて勉強になった。

  • 片山一道の『骨が語る日本人の歴史』が縄文人と弥生人の交錯に焦点を当てたのに対し、本書ではネアンデルタール人とクロマニヨン人の交錯を中心に、類猿人から現代人までの人の歴史を語る。著者は新聞記者であることから、読みやすい。もっとも評価すべきは、わからない点はわからない、結論が出ていないものは明確にそれを指摘している点だろう。本書は専門書への叩き台としての価値もある。

  • 2005年発行なので、少し古いが学者さんではなく、読売新聞の記者上がりの方が説明しているので分かりやすい。

    1〜3章で、類人猿から新人までのアフリカで生まれたヒトが世界に拡散していく様子を説明している。

    4章では日本列島のヒトの問題、5章では年代測定法の功績と限界、6章では遺伝子から考えることができることを紹介している。

    古さなどは問題はあるが、人類学全体を掴むには悪くない本だと思う。

  • 人類進化の歴史を、研究者ではなく、サイエンスライターがまとめた本。

    なんというか、公平感がって、読みやすかった。

    有力者誕生のメカニズムとして「宴会説」なるものがしょうかいされてるが、一見おかしみがあるが、よく考えるとそうかも?とおもわせる。

    チンパンジーと人間では染色体の本数が違う(チンパンジーのとある2本の遺伝子がつながって、人間では1本になっている遺伝子がある)
    普通に考えると、こういう遺伝子変形って生殖不能だと思うけど、どうやって進化するんだっけ?
    「大学生物学の教科書」に書いてあったかなぁ?

    ちなみにボクは手斧と犬が現生人類を無敵にした説かな?

  • この書籍は、出版される年まで判る「人類史」です。
    前半で大まかな人類史を。後半では人類行動史や仲間の区別など開設されています。

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

神戸大学名誉教授

「2023年 『入門刑事手続法〔第9版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三井誠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×