日本文化私観 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061590489

作品紹介・あらすじ

伊勢神宮や桂離宮などに日本美の極致を見たタウトは、建築家としての鋭い直観と透徹した哲学的瞑想とにより、神道や絵画、彫刻や工芸、建築など、日本の芸術と文化を更に深く見つめた。彼の透徹した眼識力と歴史認識は、日本人が忘却している日本の伝統的精神の復活をうながさずにはおかず、日本人と日本文化に寄せる真情は、読む人の心にせまる。名著『ニッポン』と並ぶ必読のタウトの日本文化論。

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740023

  • 本書も今回日本文化論を読むということで読んだわけだが,もちろん本書の存在はよく知っていた。特に,西川長夫『地球時代の民族=文化理論』で,本書と同名のエッセイでタウト批判を繰り広げた坂口安吾について詳しく論じられていたので,そのうち読まなくてはと思っていた。

    原本序(黒田 清)
    訳者の詞(森 儁郎)
    床の間とその裏側
    あきらめ
    メランコリイ
    芸術
    神道―単純性のもつ豊富性

    絵画
    彫刻
    工芸
    芸術稼業
    建築
    第三日本
    解説(佐渡谷重信)

    正直,読み終わってから随分経ってしまい,本書の内容はあまり頭に残っていない。西川の著書で理解している限りでは,タウトは数ヶ月の日本滞在で,日本文化の本質を発見した。むしろ,文明開化に沸き立って日本古来のものを蔑ろにして西洋文明を積極的に取り込もうとしてきた日本が,日本文化の良さに気づかされるのが本書を含むタウトによる発見だという。タウト自身も本書のなかで,日本人は独自の豊かな感性を持っているのに,西洋文化の真似事に興じていてもったいない,といった趣旨の内容を書いている。
    しかし,他の外国人が書いた日本論・日本人論・日本文化論のように腹立たしい気持ちにはならなかった(腹立たしい気持ちになること自体が,自らに日本人アイデンティティのある証拠であり,また日本なるものの実体をどこかで認めているということだが)。少なくともこれだけのページ数を費やして論じているわけだから,その詳細な記述には屈服せざるを得ない。そして,日本に関する事柄の知識の量はとてもかなわない。まあ,そこが本書の影響力の強さなのであろう。

  • 読みやすい一冊だった。

    坂口安吾の「日本文化私観」は、このブルーノ•タウトの本著を土台にしている。
    タウトは、建築や絵画など芸術面や、その精神の命脈となった神道についても述べている。

    こうした一冊が出版されるようになったということ自体、日本には大きな意味があると思う。

    タウトは、日本的なるものが公共の、いわば利益を求めた商売の管理下に晒され、その価値を蔑ろにしていることを嘆いている。
    また、西洋文化の咀嚼もないまま混入されていくことで壊れつつある日本にも。

    ただ、タウトは単に日本文化をもっと愛せよと言いたいだけが主ではない。
    第三日本の末尾にあるように、西洋の動的文化に正しく進むことを指摘している。

    しかし我々は継ぐことを忘れ、進むことを躊躇う。

    安吾は、古代文化は生活によって生まれ、それを忘れても今の生活は今の日本人が間違いなく営んでいくとある。

    仏像や寺社が破壊され尽くしても、何ら生活に影響はないと。
    日本的なるものは、発見せずとも我々に流れているのだと。

    やや強引な解釈であったなら謝りたい、が、是非両方を読んで欲しい。
    我々は継ぐことを放棄しつつある。
    タウトは現代の日本を訪れてくれるだろうか。
    ふと『たまきはる』という、平安末期に書かれた日記を思い出した。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4061590480
    ── ブルーノ・タウト/森 儁郎・訳《日本文化私観 19921005 講談社学術文庫》
     
    ── タウト/森 儁郎・訳《日本文化私観 1940-1947 明治書房 1969‥‥ 宝文館出版》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4004000106
    ── タウト/篠田 英雄・訳《日本美の再発見 19390628-19620220 岩波新書》
     
     Taut, Bruno Julius Florian 建築 18800504 Germany Turco 19381224 58 /
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19920505 五月五日の再発見
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%BF%A5%A6%A5%C8
     
    …… ブルーノ・タウトは、前進座の創立三周年記念新橋演舞場公演を
    観て「私の知る限りでは、日本の伝統演劇と同時にすぐれた国外の舞台
    の根本的な研究から出発して、発展の道程を進まんとあらゆる努力と試
    みをしめしている唯一の劇団」であり、「この一座は砂漠におけるまこ
    とに数少ないオアシスのひとつ」である(日本文化私観)と述べている。
     
    …… 1933年5月、日本を訪れ、そのまま亡命した。来日の翌日、桂離
    宮へ案内された。桂離宮を世界に広めた最初の建築家であった。当初は
    京都大丸当主の下村正太郎邸に滞在し、まもなく仙台の商工省工芸指導
    所(現在の産業技術総合研究所の前身の1つ)に着任。その後は井上
    房一郎の招きにより、高崎に移り、約2年間を高崎で過ごした。群馬県
    工業試験場高崎分場に着任し、家具、竹、和紙、漆器など日本の素材を
    生かし、モダンな作品を発表。1935年に東京・銀座に開店した「ミラテ
    ス」で販売を始めた。(Wikipedia)
     
    (20130915)
     

  • 2010/06/05

    日本という国、日本固有の文化。
    これを知らずして、なんぞグローバリゼーションを語りうるのか。
    タウトの警句は現代にあっても鋭い。
    もう少し日本の文化、芸術に親しみ、そして学びたいものだと切に思う。

  • 原本序 黒田清
    訳者の詞 森携郎
    床の間とその裏側
    あきらめ
    メランコリイ
    芸術
    神道―単純性の持つ豊富性

    絵画
    彫刻
    工芸
    芸術稼業
    建築
    第三日本
    解説 佐渡谷重信
    (目次より)

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著者プロフィール

ブルーノ・タウト(1880-1938):ドイツの建築家、都市計画家/日本で刊行中の主著に『日本美の再発見』岩波新書、『忘れられた日本』中公文庫、『日本雑記』中公クラシックス、『ニッポン』『日本文化私観』講談社学術文庫、『建築とは何か(正・続)』SD選書など。

「2015年 『タウト建築論講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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