本を読む本 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061592995

感想・レビュー・書評

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  • 邦題の「本を読む本」というタイトルは、内容からすると、少し詩的がすぎるかな。
    原題の「HOW TO READ A BOOK」の方が、中身を端的に表現している気がします。
    主にノン・フィクションや教養書を読むときの手順や方法について解説した本。

    読書の仕方を、低い方から順に、「初級読書」、「点検読書」、「分析読書」、「シントピカル読書」という四つのレベルに分けて、段々と高レベルになれるように、それぞれのレベルの読書方法について解説しています。
    論文を書くような研究職の方や学生さんは一度眼を通すと、膨大な参考資料を手際よく読みこなし、理解し、整理するためのヒントがあるのではないかと思います。

    読書といえば小説がメインの私には、全てが役に立つとかすぐ応用できる、というわけではなかったけど、仕事に必要な知識を得るための参考書を読むときに応用したいです。
    特に、精読の前に、序文や目次、帯の内容をざっと読んで著者の論点や外枠を把握しておく「点検読書」は、実践しやすそうなので、試してみます。

    第十三章では、少しですが、小説等の読み方についても論じられています。「小説は一気に読むもの」だそうで…。
    これがなかなか時間がとれなくて難しいのよね…とは思いましたが、物語の美の世界に浸るには一気に読んでしまう方がいいというのはたしかなので、まとまった読書の時間を確保しようと改めて思いました。

  • 読むことによって知識を得、理解を深め、すぐれた読書家になりたいと思う人のための本。著者は「積極性の高い読書」ほど、よい読書だと言う。そのためのノウハウが書かれている。1940年に刊行された本であるものの、今にも通ずる普遍的な内容が多く含まれています。ただし、序章の概論までは頭に入ってくるが、あえて難しく書かれているような印象があり、意外と難解な本であった。

  • ◆どうして読もうと思ったのか?
    本との向き合う姿勢を改めようと思ったから。
    今の自分が学べる部分は、一体どこにあるのかを知りたくなった。

    ◆どんな本なのか?
    「読む力」を身に付ける方法が書かれた本。
    この本を読めば、格段に普段の読書が濃くなります。

    絶対に、何度も読むべき本だと思いました。
    それは、1度では全てを理解することはできなかったからです。
    たった265ページに、「読む力」の全てが詰まっています。

  • 読んだ感想としては,学問としての読者のあり方を具体例を添えて,手取り足取り教えてくれているが,なにぶん古い本であるから,少し時代錯誤と言いますか,今の時代の最適方法では無いと思う部分もある.
     ただ,途中の「文学の読みかた」という章は,難しいことでは無いが,普段人が小説や,戯曲を読む際に,なんとなくしか理解していないプロセスなどを克明に述べて解説している点は良いと思う.
     総合的に,指南書としての価値もあるが,この読み方を鵜呑みにせずとも,自分の読み方を客観的に見る機会を与え,今後の自分の読書のあり方を考えることに役に立つと思った.

  • 読書には技術があることが分かる。読書の目的は知識?理解?読書にレベルが示されている。第4レベル、シントピカル読書までは到達できそうに無いと思う。レベル3、分析読書について、感覚として分かっている(気がする)のだが、文字での解説は、とても難しいと思った。
    読書論の本。指南書、書評の本、ブックナビ。まさに、本を読む本は多数あるが、本書で解説されていることと、同じ内容。(もちろんことばは違って書いてあるが)であることが多い。本書が引用、思想の発信の原点に当たるのか?または、もっと古くから、方法は存在したのか?著者は百科ブリタニカの編集にかかわる人のようなので、知識の体系には、慣れているのだろう。積み重ねも上手だ。

    小説、作品の好き嫌いを言う前に、読者はまず、作品を誠実に味わうよう努力すること。

    批評、はじめのうちはどうしても、自分の好みが中心になる。その作品が好きか、嫌いか、そして、それは何故かを述べるだけだが、それだけでは批評として十分ではない。本当の批評の勤めを全うするには、自分の好みや見方を離れて、その本から自分の得た感動の原因となっているものを、客観的に述べることである。その本のどこが良くて、どこが良くないのかを、具体的に論じ、また、その理由を述べなくてはならない。

    文学作品に潜む、芸術的価値

  • とても有意義な本だった。確かに「本を読む技術」というのは、誰かに教わったことがない。だから、この本で「技術」として述べられていることは、今まででてきているものもあるかもしれないし、できていないかもしれない。できていることも、いつもやっているとは限らない。そもそも、そういうことを意識して読んだことがなかった。だから、本を読むにもやはり技術があり、その技術を使って本を精読することの大事さを気づかせてくれたという点で、とても有意義だった。
    ただ、この本は、どんな本にも読む技術が必要とは言っておらず、一番最後の章に書かれていたように、「精神を啓発する本」に出会った時に、この本に書かれている技術を駆使して読みこむべきであるとしている。これにも共感できた。とにかく冊数をこなすということでただ上っ面をなめればよいという読書もどうかと思うし、かと言って、本の軽重を無視してとにかく精読しなければならないというのもどうかと思うし、自分が本から何を得たいのかによって、有効に読み分けられるように、一層意識していきたいと思う。

  • 最近衝動的に本を買ったり、微妙な本を買ってしまったりするようになってきたので、今持っている本を大切にしようと、ひとつひとつの本から得られるものを得ていきたいと思って、本のの読み方の本を読んでみた。
    目的を持って本を読むと眠気に負けない。メモったりマークしたり。
    学校では、先生が教えてくれること、テストが問題として出してくれることを、自分で自分に行うというような感じ。それを、どのような順序で、どのように行えばいいのか。
    著者に歩み寄りつつ自分の言葉で理解する。
    書き方は読み方。
    何をもって本を選べばよいかということも書かれていたので、今後に活かしていきます。

  • 良書。

    (本文より)
    世の中には「拾い読み」にも値しない本が多いし、さっさと読み通す方がよい本がかなりある。優れた読者になるためには、本にせよ、論文にせよ、無差別に読んでいたのではいけない。楽に読める本ばかり読んでいたのでは、読者として成長しないだろう。自分の力以上の難解な本に取り組まねばならない。こういう本こそ読者の心を広く豊かにしてくれるのである。心が豊かにならなければ学んだとは言えない。

    脱「スピリチュアル本、自己啓発本」をしてから早1年。そうゆうものに貴重な時間とお金をかけてしまっていた以前の自分に読ませてあげたい名著。

  • 1940年に米国で発表された、読書術の古典である。1978年に日本語訳され、1997年文庫化された。
    勝間和代のベストセラー『効率が10倍アップする 新・知的生産術~自分をグーグル化する方法』(2007年)に取り上げられて、改めて注目された。
    本書で述べられている読書法は、読書のレベルを以下の4段階に分類し、徐々に高度化していくべきというもので、それぞれの段階における方法論が細かく述べられている。
    ◆「初級読書」・・・読み書きのまったくできない子供が初歩の読み書きの技術を習得するためのもの。
    ◆「点検読書」・・・一定の時間内に割り当てられた分量を読むためのもの。
    ◆「分析読書」・・・時間の制約なく、徹底的に読むためのもの。
    ◆「シントピカル読書」・・・1冊だけではなく、一つの主題について何冊もの本を相互に関連づけて読むためのもの。
    そして最後の「読書と精神の成長」の章では、「楽に読める本ばかり読んでいたのでは、読者として成長しないだろう。自分の力以上の難解な本に取り組まねばならない。こういう本こそ読者の心を広く豊かにしてくれるのである」、「すぐれた本には賢くなった読者をさらに向上させるだけのものがあるから、おそらく読者は一生のあいだ、その本を読むことによって成長していくことになるだろう」、「積極的な読書は、それ自体価値あるものであり、・・・すぐれた読書とは、われわれを励まし、どこまでも成長させてくれるものなのである」と述べ、「いまたったひとり無人島に流されることになって、もっていきたい本を十冊選べと言われたら、いったい何を選ぶだろうか」と問うている。
    「本棚を見ればその人がわかる」とはよく言われることであるが、無人島に持って行く10冊を意識しながらする読書というのも、また楽しそうである。
    (2006年1月了)

  • 改めて読書が好きな自分が、知行合一、学びを明日からの行動に繋げようとして読んだ1冊。とてもとても耳に痛い本だった。本は買うが積読してしまう人、量は読んでいるのに知恵になっていない人、本に対し全て鵜呑みにしてしまう・批評家になってしまう人にお勧めの1冊。

    【スキーを学ぶこと】
    スキーを習うことは大人にとって極めて屈辱的な経験である。すべての動作を1つのまとまりあるものとしてするためには、1つ1つの動作はすべて忘れてしまわなくてはならない。しかし、それらが別々の動作であることを忘れるためには、まずそれらの動作を別々に習わなければならない。
    →誰しも、何事にも、「初めて」はある。そしてその時にある程度「恥ずかしい」思いをするのは常。心配しなくても、みんなも同様の経験を経ているから大丈夫!

    【分析読書】
    ・まずいま読んでいるのがどんな種類の本か知らなければならない
    ・その本の統一を、2~3行で表してみること
    ・その本の主な部分を述べ、それらの部分がどのように順序良く統一性をもって配列されて全体を構成しているか知る
    ・著者の言わんとすることが理解できたつもりでも、その文をそのまま繰り返すことしかできなければ不合格である。言葉の表面だけを見て、本当の意味を掴んでいないと、同じ命題が別の言葉で表現されたとき、まったく別の命題だと思ってしまうからである。
    →これこそ、読書の型にしたい。※詳しくはスタッフブログにまとめてある。

    【批評】
    ・批評の務めを果たして初めて、積極的読書は完了する。「どんなにいい本でも、必ず欠点がある」
    ・批評の第一原則は、「まず、この本が分かった」と、ある程度言えること。その上で、「賛成」「反対」「判断保留」の態度を明らかにする。
    ・反論は筋道をたててすること、ケンカ腰はよくない。目的はいたずらに論争することではなく、知識を得るためにある。
    ・反論は解消できるものだと考えること。理性がある人間なら、必ず歩み寄ることができる
    ・反論には4パターンあり、①知識が不足している、②知識に誤りがある、③論理性に欠け、論証に説得力がない、④分析が不完全。これができない限り読者には反論する資格はない。
    →むやみやたらに鵜呑みにすること、また評論家になることは避ける。読書は儲けるために出版されているものも勿論あるけれど、それ以上に私たちの行動・気持ちが変わるのを心待ちにしている。そのためには、その誠意に答える読書であれ。

    【分析読書②】
    ・何についての本か見分ける
    ・内容を解釈する
    ・知識は伝達されたか?
    ・批判をする 
    →以上が「理想」。理想的な読書に近づくには、たくさんの本を上っ面だけかじるのではなく、一冊でも、以上述べた規則を守ってよく読むことが大切。熟読するに値する本も数多くあるが、それにもまして点検読書に留めるべきものの方がずっと多い。

    【再読によって分かる、本の価値】
    二流の本は再開した時、奇妙にいろあせてみえるものである。それは、読者の方がいつの間にか成長し、本の背丈を追い越してしまうからである。優れた本の場合、再開した時、本もまた読者とともに成長したように見えるものだ。
    →「名著」と呼ばれる、長年人の目に耐えてきたものに多い。自分の成長を感じる本と共に「読書生活」を贈っていきたいもの。

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