- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061595804
作品紹介・あらすじ
1984年、出雲の弥生中期の遺跡神庭荒神谷から大量の青銅器が発掘され、世間の耳目を聳動させた。銅剣三五八本、銅鐸六個、銅矛一六本、初の同時出土。古代の出雲には、どのような勢力が存在したのか。大和や吉備との関係は、どのようなものであったのか。考古学上の新発見と数多くの論考・新説を検討し直し、著者独自の視点から、鮮明な古代出雲像を提示する。
感想・レビュー・書評
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率直に言うと「結局何を言いたかったのかよくわからなかった」です。自分の意見よりも他人や通説(?)などの内容やら研究方法やらに対する批判等が中心になってしまっていて、その印象しかほぼありませんでした。
また著者本人もあとがきで言ってますが「拙著参照」の部分が非常に多いと感じました。つまりこの本は著者が以前書いた本なり論文なりを全く呼んだことがない人間にしてみれば、説明不足感も否めません。
私が素人+この人と考え方が違う(『古事記』や『日本書紀』などについて)のでなおそう感じるのかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/19064 -
大和朝廷に帰属するようになる前の古代出雲のあり方について、文献学的な考察と考古学的な知見とを丁寧に検討し、様々な説を批判・検討した上で、その多層的なテキストと出土した遺跡とを踏まえて自説を展開する。
その姿勢は素人にも分かりやすい。
単純化して分かりやすく、というのではない。むしろ輻輳し、多層化している中から「現実」の可能性を拾っていく手捌き自体をクリアに示してくれている所が、分かりやすい。反論に対する再反論も、自説の変更点や修正も、根拠に触れた上で論じてくれている。
最初に読む出雲本として、適しているのではないか。
人によってはその丁寧な参照が煩わしいという印象を抱くかもしれない。
しかし、単純に記紀の神話を重ねて出雲を理解するような早わかりではないからこそ、安心して入っていけるのではないか、と個人的には思った。
当然様々な学説が展開されている領域だろうし、むしろその息吹の一端を垣間見ることが出来るという点で、読んで良かったと思う。 -
古代出雲
門脇禎次
講談社学術文庫
ISBN4-06-159580-6
2003年1月10日第一刷発行
学術文庫版へのまえがき
序章 荒神谷以後
1 古代出雲をなぜ再論したくなったか
賑わう古代出雲論
執筆の動機
2 荒神谷遺跡の大発見とわたくし
初耳は出雲で
荒神谷遺跡をめぐる初のシンポに参加
新聞・テレビでの小論と荒神谷再訪
『調査概報』の入手と田中義昭氏の論
Ⅰ章 原イツモ国 荒神谷遺跡をめぐって
1 出雲平野の村むら
考古学の成果に学ぶ
弥生時代の景観と集落
農業共同体の形成
2 首長(=王)の出現
西谷墳墓群
首長の支配領域
〔付論〕加茂岩倉遺跡、随想三題
――「出雲」の地名、銅鐸の絵、神話とのかかわり――
補説――「原イツモ国」の語について
Ⅱ章 原イツモ国の行方
1 原イツモ国と『記』『紀』の記事
原イツモ国は「葦原中つ国」のことか?
崇神紀・垂仁紀の記事
崇神紀六〇年条の内容
崇神紀六〇年条にみえる「出雲臣」
2 出雲フルネ
出雲振根と神戸臣古祢は別人
振根(フルネ)らの名
飯入根は出雲東部(意宇)の首長か?
出雲振根のつかさどった神宝
3 原イツモ国の終焉
出雲平野の村むらの動向
原イツモ国の分解
出雲東部(意宇)の村むら
Ⅲ章 イツモ王国
1 出雲の古墳文化
古墳の出現
フルネ(振根)滅亡後の出雲西部
2 新設とその問題点
古墳文化についての"新説"
考古学者の論法
3 イツモ国の形成
王の系譜
王の官人群
王への貢納体制
オウの王の支配領域
建国神話
Ⅳ章 イツモ国の変質
1 出雲に迫るヤマト勢力
『出雲国風土記』の二つの史料
日置伴部らの「政」――出雲西部の部民制
日置部とカンド氏
2 イツモ国王から出雲国造へ
国造制のとらえ方
出雲国造神賀詞から
〔付論〕大三輪の神なびと出雲の神々――出雲国造神賀詞をめぐって――
オウの王は何故、出雲(臣)氏と称したか
3 出雲国造と部民制
出雲の額田部と額田部臣
出雲の語部と二系の編成
出雲に玉作部なし
Ⅴ章 出雲と律令制
1 国造支配の変化
「評」制と餐
国造の地位と変化
2 出雲と出雲観の変化
出雲守忌部宿祢子首
出雲関係史料の形成
3 民衆の貢進物
貢進物の変化
さまざまにたてられる課題
あとがき
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061595804