- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061828001
作品紹介・あらすじ
少女はあくまで、ひとりの少女に過ぎなかった…、妖怪じみているとか、怪物じみているとか、そんな風には思えなかった。-西尾維新、原点回帰にして新境地の作品。
感想・レビュー・書評
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何とも奇妙な題材。読み終えるまでこれは小説なのかそれともノンフィクションと疑い続け、尚且つ途中で止める訳にもいかず、一気に読み終えてしまいました。
何とも奇妙な・・・詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「今日、絶望の中にいても明日、その物語が読めるのなら」
おやおや、これはまぁ見事に西尾版「スロウハイツの神様」(著:辻村深月)ですね。西尾さんが解説をしてましたが、まさかご自身も同じテーマで書くとは想像していませんでした。
この本はきっと賛否両論でしょう。「物語」がその人にとって、どういうものかによってまるで色を変える。まさに玉虫色な作品。
例え世界が変わらなくとも、ただの文字の配列に過ぎない「物語」が誰かの、自分の景色を少しでも変える、その体験が深ければ深いほど打ち抜かれると思います。
もしこの作品に感動なさった方はぜひ「スロウハイツの神様」も読んでみて下さい。
逆もまたしかりです。-
確かに西尾版『スロウハイツの神様』かもしれません!ひねくれている設定やキャラ付けはまるで違うけれどw確かに西尾版『スロウハイツの神様』かもしれません!ひねくれている設定やキャラ付けはまるで違うけれどw2012/04/11
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西尾維新は初めて読みました。ライトノベルは読んだことがないのですが、そのジャンルに当てはまる作品ではないかと思います(自分のなかでは)。
見知らぬ少女に主人公が軟禁される話です。
全体の印象としては、だいぶ古いですが『本当は怖いグリム童話』のような感覚がうまれました。ひどく現実味を帯びたファンタジーというか。
読了からレビュー完了までわりと間が空きました。何を書けばいいのかわからなかったのです。
ところが作者自身が、「悪いがこの本に粗筋なんてない。これは小説ではないからだ。だから起承転結やサプライズ、気の利いた落ちを求められても、きっとその期待には応えられない」と先回りして裏表紙に記しています。
ずるい。この言葉をどこまで字義通りに捉えていいのかもわからないですし、この時点で実は作者の手のひらに佇んでいる気もします。
「わかりにくかった」と言った時点で読者の不戦敗、あるいは「わかりにくさをわざわざ指摘するのは西尾作品では野暮」みたいな風潮を勝手に感じています。ひしひしと。他の作品を読んでいないのでわからないですが。
(いじゅ) -
まさかのリアル系イヤミスということで、新境地には違いないけどこれのどこが原点回帰なのだろうと思いながら読んでいましたが、最後の最後で納得しました。これは確かに原点回帰。西尾維新がこれまでの作品に込めてきた想いと根底に流れるテーマを見詰め直し、メタ的な試みによってその丈を真正面から描き切った作品です。あれだけ過酷な現実を突きつけても、それでもなおハッピーエンドで〆てみせる。現時点での作家・西尾維新の集大成であると同時に、ここまでの作家生活に一区切りを付けて新たなる一歩を踏み出すための再スタート地点だともいえるでしょう。維新ファンであればあるほど込み上げてくるものも大きいハズです。必読。
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読み始めてからの前説が長くて、早く本題に入ってほしいと思いながら読み進めました。
主人公の大学生と小学生の少女の関係性が独特で、終盤で一気に今までの事象がつながって面白かったです。 -
小学生に監禁されたい!
という欲望が溢れ出ている作品
僕ならそんなことになったらきっと手練手管を駆使して失敗して
少女に殺されるだろう。
これはそんな手練手管を駆使した末にどうなったのか口にできない有様を迎える
作家の卵の話です。 -
買ってからずっと本棚の肥やしになっていましたが、ようやく読了。『物語』シリーズなどで有名な西尾維新さんですが、読むのはこれが初めてです。
不思議な少女と特殊な状況で出会い監禁される大学生の話。「不思議な」というのは語弊がありますね。「不自然な」という方が描写としては正しいでしょうか。
この二人は非常に似ていますね。そして語り口が30歳になった”僕”が10年前のトラウマを思い出しながら書いているというスタイルなものですから若さというものも考えさせられます。
肝心の話はこの本の場合すべてをスポイルしてしまうことになるのでここで書くのはためらわれます。素直な感想としては前半で脱落しそうになりました・・・回りくどい言い回しと”僕”に対するイライラ。
後半になっていくにつれて少女の謎を追って読み勧める意欲が湧いてきましたが、大学生という若さを見せつけられる描写で当時の自分を思い出してしまい苦しいですね。
当時の僕が少女に対して未熟を感じるように今の私の年齢からすると大学生は未熟でなくても不十分なんですよね。そしてさらに年を得た自分からみると今の自分も未熟で不十分なんでしょう。
その不十分さをその時は理解できていない。現実世界でもそうです。この少女と似た境遇の少年少女は世に溢れているのかもしれません。でも社会は子どもが嫌いです。子どもは社会で育てるなんて今や綺麗事の中でしかありえません。
NIMBYでしたか。必要性は認めるが私(たち)の居住する地域以外でやってくれと。今の世の中はこういった考えに支配されています。自分たちの権利を主張することを覚えた日本人は、バランス感覚を失っています。
このバランス感覚こそが今の世の中に足りないものではないでしょうか。様々な問題のなかに潜む根本的な問題を解決しなくてはならず、対処療法のみでは限界があります。
後半は本の内容とはまったく関係なくなってしまいった感が強いですが・・・これで感想とさせていただきたい。 -
好みが分かれる作品かもしれません。
自分は面白かったです。
面白かった、と言い切るのもなんだか違う気はしますが。
日常の中に淡々と滑り込んでくる、日常から少しずれた異質な、それでいて全くありえない、理解できないとも言い切れない恐ろしい出来事が
気持ち悪くずっと背中をカッターで引っかかれているような気持ち悪さです。
先生らしい筆致に引き込まれましたし、もしかして私小説なのかな?と一瞬思ってしまう書き草も面白く
一気に読んでしまいました。
文章が回りくどいとか、意味がわからない、気持ち悪いのでつまらない、という感想を持つ人がいるのも分かる内容です。
ラストが不要という意見も頷けるものがあります。
確かに蛇足というか、そこまでの奇妙な気持ち悪さが台無しになる気もしましたが
これがあるからこそ日常に戻ってこられたような
それだけではないような、不思議な読後感でした。