ついてくるもの (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061828384

作品紹介・あらすじ

高校二年生の私が、学校の帰り道に一瞬目にした、えも言われぬほど鮮やかな緋色。それは、廃屋の裏庭に置かれた雛飾りだった。どれも片目と片腕、片足が傷付けられていた人形たちの中で、一体だけ無傷だったお雛様を助けなければと思った私は…(「ついてくるもの」)。酸鼻を極める最新ホラー短篇集。表題作ほか6編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • ホラー短編集。

    内容に触れます。


    ・夢の家
    …飲み屋で知り合った男の話。パーティーで知り合ったストーカーめいた女が夢の中で家に誘う。いけないと思いつつ抗えず、毎夜家の中に足を踏み入れ、奥へと進んで行くが…

    ・ついてくるもの
    …学校の帰り道、夜逃げした家族の家の裏庭で見たものは、緋毛氈と奇怪なお雛様だった。唯一無傷なお姫様を持って帰ってから不幸が…
    ・ルームシェアの怪
    …そのシェアハウスには決まりがあった。必ず自分が出るときには代わりの人を連れてくると。
    先輩のかわりに入居した女性は、ある時から一人の入居女性と顔をみなくなり…気配はあるのに。

    ・祝儀絵
    …年の近い叔母からもらった、めでたい絵。しかし、それを飾ってから不可解なことが起きる。恋人以外の女が、婚約者と触れ回っているようで…その気配は恋人にも迫り…

    ・八幡薮知らず
    …小学生の恵太は転校先で決して入るなと言われる場所に行くはめになる。
    しかし、その時から不思議なメッセージが恵太のポストに届くようになり…

    ・裏の家の子供
    …裏の家に住む親子の出す騒音にがまんならずに家を訪れた女性が見たものは…
    ・椅人の如き座るもの
    …祖父江偲が取材で訪れた人型家具師の工房で人間消失事件が起こり…刀城先生登場。

    お話は、ほとんど語り手のホラーミステリー体験というか、読書遍歴というか、蘊蓄が導入からはいるので、それに興味が無ければ、ストーリーに入りづらいと思った
    お話は「八幡の薮知らず」が蘊蓄にも共感できたし、ストーリーも面白いと感じた。
    最後の話はオマケ?
    乱歩愛はわかったけど…
    通常のシリーズは好きです。

  • なんと!刀城言耶シリーズが掲載されてたとは!
    でも、この中の作品では1番微妙だった笑
    ゾクゾクとか一切ない、普通の謎解きみたいな。

    自分的怖い度ベスト3は、ルームシェアの怪・八幡藪知らず・ついてくるものかな。
    1番面白かったのは、表題のついてくるもの。

    三津田さんの本はやっぱりいいね!

  • 読んでる最中も、読み終わった後も、レビューを書いてる今も、思いは一つです。怖 す ぎ る か ら 今 日 は 絶 対 電 気 消 さ な い ‼︎‼︎

    タイトル通り、終始「何か」が「ついてくる」恐怖体験が収録された短編集です(最後の刀城探偵ものは除く)。
    「ついてくるもの」からどうにか逃れようと足掻く者、反対にこちらから近付いて正体を見極めようとする者……魔のものに魅入られた人々がそれに対して取るアクションは様々ですが、落着後も恐ろしい記憶となって生涯ついてくるんだと思うと恐ろしいなあ…。

    嬉しかったのは、冒頭の作品を読んで「なるほど今回はホラーONLYですね((((´・ω・`))))ぶるぶる」とミステリ的ハードルを下げておいて、以降の何作かにはミステリ的仕掛けが施されていたこと。意外なラストって、ミステリの専売特許じゃないんだなあ。

    そして、読んでる最中、本気でビビっていた私を現実世界に引き戻してくれたラストの刀城言耶シリーズ。奇妙な舞台設定に相応しい奇天烈なトリックに、やけにホッとしたのでありました。



    ◎夢の家…毎晩毎晩、男は奇妙な夢にうなされていた。別れた女性に、「うちにお寄りになって」と頻りに誘われ、断ろうとしても、夢を見る毎に少しずつ家の奥へと誘われてしまう。彼が女に導かれる夢の行き着く先とは…。

    ◎ついてくるもの…廃屋になった家の裏庭から、お雛様を拾ってきた少女を襲う怪異。様々な手を尽くして処分しようとしても、必ず彼女の元に戻ってくる雛人形の秘密とは?

    ◎ルームシェアの怪…肝試しの後、ルームシェアのメンバーの一人が突然不審な行動を取るようになった。人ならぬものの存在を感じて怯える女性が、最後に突きつけられた驚愕の事実!

    ◎祝儀絵…伯母から貰った一枚の夫婦の絵が、奇妙な事件の始まりだった。知人に自分の「婚約者」を名乗る女がいると聞き、見に覚えのない男は正体を突き止めようとするが…。

    ◎八幡の藪知らず…決して「むめ森」に入ってはならないーー大人達の警告を無視して禁じられた森へと入ってしまった少年達が遭遇した怪異。

    ◎椅人の如き座るもの…人体に見立てた家具を作る男の工房から、男と敵対する人物が忽然と姿を消した。周囲の目撃情報と、男の弟子の証言から、その人物は工房から出て行ったはずもなく、かといって男が彼に危害を加える時間もなかったという。非情な編集者と薄情な先輩に責め立てられ、探偵作家・刀城言耶が、渋々と彼の推理を披露する!

  • こここ怖かったよう!!あえて真夜中に読みました…「夢の家」、やっぱりこういうじわじわ追い詰められる系は怖い!本当に自分の夢に出ました。笑
    「ついてくるもの」「ルームシェアの怪」「祝儀絵」これらのラストが大好きです。こういう結末を期待して三津田ホラーを読んでます。
    そして最後に刀城言耶シリーズがきて大変ほっこりします(*´∀`*)事件は充分恐ろしいですが、クロさんや偲さんとのかけあいが楽しい。ぞわぞわ怖い話がいくつも続いたあとにこの漫才は、かなり救われた気分になれます。

  • ミステリー要素がほぼない形の純然たるホラー短編集。

    どの短編も外れがないというか、全部面白く読めたけど、
    一番面白かったのは、「八幡藪知らず」かな。

    入ってはいけない場所に子供が悪戯心を起こして入ってしまう
    ホラー読み物としても面白いし、
    本当は怖いし行きたくないけど、仲間はずれにされたり
    臆病ものと思われるのがいやで、なかなか行きたくないと言えず
    遊び仲間の性格の違いをうまく利用して
    なんとかそれを回避しようとしたりする
    子供の遊び仲間の間での微妙な力関係や駆け引きの描写が
    すごくよく描けていると思った。

    力が強くて声も大きい子どもや、頭のいい子、
    自分の意見をはっきり言える子、大将にひいこらする腰巾着、
    周りに流されてしまう子、といういろんな子供のタイプを
    書き分けて特徴付けできているので
    短い短編の中でもキャラクターが立って読みやすかった。

  • ホラーとミステリの短編集。まつわり付く怪異の描写がとにかく怖くて。これは、夜に読むのは要注意です。
    お気に入りは表題作「ついてくるもの」。怖い話が勢揃いのこの本の中で、文句なしに一番怖いのがこれ。 お雛様の正体がはっきりしないところがまた怖くて。まだ来歴なり由来なりが明かされた方がちょっとはましかもしれないんだけど。得体のしれないものほど怖いなあ。
    「椅人の如き座るもの」は刀城言耶シリーズ。ここでは阿武隈川も登場するので、ちょっと雰囲気が和んで一安心でした。

  • いまいちばん好きかもしれないミステリ作家。しかし怖い。いちど夜お風呂の中で読んで後悔した。表題の『ついてくるもの』と『祝儀絵』が特にぞくぞくする。これこそ、文字だからこそのイメージする怖さ。怖いのに読むのをやめられない。面白い。クセになる。でも短編だとやっぱりミステリ要素を入れるのは限界があるので、長編が読みたい。

  • 立ちくらみするほど怖い。生活に支障が出るほど怖い。

  • 人から聞いたという体裁で語られる怪異譚を集めた短編集。
    さすが三津田信三、現れる怪異のそれ自体は昔からあるベタなものだが恐怖を感じさせる味付けがうますぎる。「ついてくるもの」、「ルームシェアの怪」、「祝儀絵」等いい作品が目白押し。合理的な説明と不合理な現象が同居する独特の世界観がクセになる。
    ラストの「椅人の如き座るもの」は当作者の人気シリーズ・刀城言耶の短編だが本作のコンセプトとはまるっきり違っていて何故これを所収したのか疑問。

  • 本作は、必然的にノベルス版をチョイス。文庫版ではお気に入り刀城シリーズの短編が、他作品に入れ替えられているんだもの。なぜ?って感じ。確かに、通読してみた感想としては、同作だけが浮いている感じは否めず、収録作変更もむべなるかな、とは思ったんだけど。他の諸作品は、作者自身を聞き手とする、リアル怪談的小説集。そっちも嫌いじゃないから、本作も普通に楽しめたけど。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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