テネシーワルツ (講談社文庫 は 26-2)

著者 : 林真理子

• 講談社 (1988年5月1日発売)

感想・レビュー・書評

[kxxmさんの感想 · 2014年12月30日]

　戦後すぐ『テネシーワルツ』を歌ったスターの女と、主人公の女がひょんなことから異父姉妹とわかり、家族を捨ててスターの女の生活にのめりこんでいく女の話。

　ずっと本心の嫉妬を隠しつつ、自分の見栄のためにスターサチのお金を盗んで知り合いに投資し、裏切り続ける
戦後の空気感を直接は知らないが、林真理子だって知らないと思うけど、なんかきっとこうだったんだろうな、ってリアルに感じるのが林真理子のすごいとこ。

あと相変わらず女の本音がこわい
「私が殺したいのはサチの身体などでは決してなく、サチの心なのです。あの女が苦しみもだえ今までどれほど自分が分不相応な幸福を味わっていたかを思い知ればそれでいいのです」
こえー！
そして、最後にたどりついた結論がすごい
サチが晩年風呂場で孤独死をしたというニュースをきいて
「私はあれほど急ぐことはなかったのです。
私が必死にならなくても、人はゆっくりとだんだん不幸になっていくものなのです。私が何一つ手を貸さなくてもよかったのです。サチがあのまま生きていったとしても、五十を迎えた頃には、さまざまなことを知っていたに違いないのです。あの子だけが生きているのが楽しくて仕方がないと、どうして思ったりしたのでしょうか。人が生まれてから死ぬまでの間には、生きることが苦にならないような時期がちゃんと用意されているのです。それは後から続く何十年という歳月の穴埋めです。私がサチと出会ったのは、サチが神からもらったその輝くような時間の最中だったにすぎません。私はそれが終わる時期を、ほんの少し早めただけだったのです」

こえー

[adlibさんの感想 · 2014年12月10日]

　
──　林 真理子《テネシーワルツ 198505‥ 講談社 19880515 講談社文庫》
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4061842153
　
♀林 真理子　　作家 19540401 山梨 ／199902‥（44）高齢出産／籍＝東郷
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%CE%D3+%BF%BF%CD%FD%BB%D2
♀葉山 サチ（仮名）籍＝江利 チエミ／♀向井 とき（仮名）籍＝吉田 よし子
http://blog.goo.ne.jp/queenlisa/e/a049f2fb1d3d200bee51b61df38592a7
　
<PRE>
　初代“三人娘”歌手・女優
　
♀美空 ひばり　歌手 19370529 横浜 東京 19890624　52 ／籍＝加藤 和枝／19890706 国民栄誉賞
♀雪村 いづみ　歌手 19370320 東京　　　　　　　　　 ／籍＝朝比奈 知子／朝比奈マリアの母
　
♀江利 チエミ　歌手 19370111 東京　　　19820213　45 ／籍＝久保 智惠美 [A]
──　《テネシーワルツ 19520123 キング》「日本語と英語のチャンポン」スタイル
──　《恐怖の空中殺人 19561226 東映東京》競演／19590216-1971 高倉 健の妻
──　中村 メイコ・詞／神津 善行・曲《新妻に捧げる歌 19630310 キングCL-101》
／1962 妊娠中毒症中絶／1968 ポリープ声帯手術／19700121 世田谷の自宅全焼
／1972 日本航空351便ハイジャック事件
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20051012　三人三様 ～ 三人娘と三羽烏 ～
　
♀Page, Patti　19271108 America 20130101　85 ／籍＝Clara Ann Fowler
……　パティ・ペイジ《The Tennessee Waltz 1948 America 1956 州歌》他
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2346161.html（No.1 20060818 05:37）
　誰もが聞いて、誰もが忘れない、誰もが知るべき５人の声。
　
……　「報徳寺」の少女の石像に「テネシー・ワルツ」の音符が刻まれ、
命日には今も、沢山の知人やファンからの花束が届けられます。その中
に必ず、一束のお線香があります。贈り主は「小田剛一」。
http://www.1242.com/surprise/nikki2/main.php?did=1786
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20110216
　三十回忌の傘寿 ～ 不器用な男の晩年 ～
　
　久保家の人々
　
　久保 益雄　　実父 19‥‥‥ 福岡 19‥‥‥　？ ／楽団長／独学ミュージシャン
　吉田 □□　　異父 19‥‥‥ 愛知 19‥‥‥　？ ／劇団座長／よし子の父
♀谷崎 歳子　　母　 19‥‥‥ 福岡 195106‥　？ ／東京少女歌劇女優／チエミ＆Ｙ子の母
http://blog.goo.ne.jp/udebu60827/e/12c3ac49e81ee91b365f01074c684213
　
♀吉田 よし子　義姉 1927‥‥ 愛知 ／久保 益雄＆歳子の子／194611‥ 仕立屋と結婚
／195307‥ チエミが異父妹と知る／チエミの離婚工作／懲役３年の実刑判決
　久保 □□　　甥　 19‥‥‥ ‥‥ 19‥‥‥　？ ／電車事故死
　
　久保 □□　　長兄 19‥‥‥ ‥‥ 19‥‥‥　？ ／
　久保 □□　　次兄 19‥‥‥ ‥‥ 19‥‥‥　？ ／
　久保 □□　　三兄 19‥‥‥ ‥‥　　　　　　　／
　
　高倉 健の恋人？
　
♀倍賞 千恵子　女優・歌手 19410629 東京 ／ [AB] 籍＝小六 禮次郎の妻～《下町の太陽 1963 松竹》
♀児島 美ゆき　女優・歌手 19520323 東京 ／ [O] 154cm, 43kg～《ハレンチ学園 1970 日活》
♀石野 真子　　女優・歌手 19610131 兵庫 ／ [A] 156cm／1981-1983 長渕 剛 1990-1996 広岡 瞬と離婚
</PRE>
　
……　高倉さんが友人と猟に出かけようとした際のエピソード。高倉さ
んは朝３時過ぎに家を出ようとしたところ、起き出してきた江利さんに
「私、この後、どうしたらいいの…」と言われたらしく、この江利さん
の言葉で、高倉さんは「俺には結婚生活は無理だ」と思ったという。
（略）結婚15年目の1971年に離婚。江利さんの親族によるトラブルが原
因と報じられたが（略）「世間では、借金だとかいろいろなことを言わ
れているが、夫という役を演じるのは無理だと思ったんじゃないかな」
──　板東 英二《大谷ノブ彦 キキマス！ 20141209 ニッポン放送》
http://www.rbbtoday.com/article/2014/12/09/126325.html
　
　山口 敏太郎「１１月１０日は、ドラキュラの誕生日だった」
　Stoker, Bram　作家 18471108 Ireland 19120422　64 ／怪奇小説～《吸血鬼ドラキュラ伯爵》
　Drăculea, Vlad III 14311110 Turco　 14761219　35 ／通称“ドラキュラ公”
──　《上沼・高田のクギズケ! 20141210 15:58-16:53 TBS》
https://twitter.com/awalibrary/status/534597528612651008
　
https://twitter.com/awalibrary/status/542583983351930880
　
（20141210）
　

[くろねこ・ぷぅさんの感想 · 2014年11月26日]

実名こそ使ってないがスターの遍歴を異父姉の視点から描き出している。姉妹でも別々の人間。相手の人間性を自分の観念で決めつけることの恐ろしさ。独白の形がなおさらそれが強調されている。 80年代にメディアに露出していた「林真理子」は感じられず、淡々と流れるストーリー展開はやっぱりうまい。本物の作家だなぁと思う。 テネシーワルツは恋人を友人が奪う詩。この歌を歌う本人の人生を物語ってるみたい。

[kei_mさんの感想 · 2014年1月20日]

1985年の作品。
江利チエミの異父姉を主人公としたモデル小説。
付き人、女中として江利チエミの傍にいて信頼を得ながら、億単位の横領をした主人公の嫉妬心・心の葛藤が淡々と描かれている。
江利チエミも夫である高倉健とのこともほとんど知らなかったが、とても面白ろかった。
(図書館)

[okomojiさんの感想 · 2012年12月20日]

普段は表に見せない人間の黒いドロドロとしたものを見た気がした。きれいな面、決してきれいとは言えない面、人に見せる顔と人には見せない顔、両方あって人間だと感じた一冊。

[ackyさんの感想 · 2010年8月25日]

妹の才能に対する妬みと憎しみの描写が生々しい。
自分が憎しみを抱いていると実感する場面がまた恐ろしい。

[wabisabikoさんの感想 · 2010年8月18日]

サチが結婚前に付き合っていたドラマーと、その彼を奪った宝塚女優って誰なんだろう。

[ありさんの感想 · 2009年8月25日]

異母姉妹の葛藤を描いた名作。
美しく賢い姉の前に突然現れた
平凡な顔立ちで無思慮な妹。
だが妹は歌の才能でスターだった。
そんな妹への嫉妬の感情が実に生々しい。
この作者は姉妹もいないのによくもここまで姉妹の
葛藤をかけたなと思う。
女が持つ嫉妬と愚かさを余すことなく書いた名作。

著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん！』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。