青春漂流 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061842236

感想・レビュー・書評

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  • 僕が大学時代に読んだ本の中ではかなり印象に残っているものです。作家・立花隆氏が年齢も職業も種々な11人の若者たちと夜を徹して語り合った人間ドキュメントです。取り上げられている人物が誰もみな鮮烈でした。

    本書をはじめて読んだのは、確か大学時代のことで、ここに取り上げられている11人のうち、一番有名な方は現在ソムリエとして数々の栄冠に輝いている田崎真也氏でありますが、そのほかの10人や、何よりも彼らを取材している立花隆氏も、現在のエスタブリッシュメントになる前のギラギラした時期で、それがあいまって、今読んでも非常に「熱い」本だなぁと、これを読みながら改めてそう感じました。

    田崎氏のほかにも、それぞれ活躍している人間の「その後」はインターネットなどで名前を検索していただければわかりますが、その中でも森安常義氏のことはこれを読んだあとでも気になっていて、検索をかけると現在は独立して精肉店を営んでいるそうで、氏のたどった波乱万丈の青春を思うと、とても感慨深いものがありました。本書に取り上げられている方の人生をたどっていると、かなりの割合で一度は「落伍」した経験があったり、大きな挫折があったりと、本当にドラマチックで、そこから自分の道を見つけるや否や、圧倒的な独学や努力を重ねてその職業でひとかどの存在になっていく…。そのプロセスは本当に勇気付けられました。

    思えば自分にも大学に入学したはいいけれど、何も目標を見出せずに、周りはやれ教職試験だ就職だ、公務員試験だと(僕が行った大学は地方公務員や教員を輩出することで有名であった)勉強にいそしむその傍らで本書をむさぼり読んでいたことを思い出し、それからはずいぶん遠いところまできて、今はいったいどこにいるのかなぁと、そんなことを考えながらこの文章をしたためておりました。ただ、彼らのようにどんな状況になっても「何か」を探し続ける。その努力だけはしてきたつもりだと、現在は胸を張ってそういうことができます。

  • むかし読んだが、30代の吉野金次さんが載っているのでまた読み返したくなった本。今はそれぞれの道でトップとなったひとたちの、25年前まだ自分の道を漂流している頃のインタビュー集。立花隆の文章の魅力を知るにも良い一冊。

  • 24/8

  • 一心に自分の道を突き進んだ若者達の紹介である。
    自分がここまで真剣に生きているか考えさせられる。(HPの日記より)
    ※2001.12.25横浜市のO氏からプレゼント
     2002.2.4読書開始
     2002.2.16読了
     2007.8.19売却済み

  • 当時の若者たちの、果敢な挑戦を取材したもの。
    立花隆の文章がとても読みやすく、生き生きと
    イメージが立ち上がってくる。

    有名ソムリエの田崎真也さんを始めとして、
    自分が強烈に惹きつけられたことに対して
    貧乏も厭わず突き進んで、最高レベルの技術を
    習得する様がかっこいい。

  • もっと早くこの本を読んでおけば、私の生き方は変わっただろうか。わたしにとって空白の時代はあったのだろうか。平凡な生き方に流されていただけである。この中に、書かれているようなストイックな生き方にあこがれていたが、実行する勇気もなく歳をとってしまった。今よりは、あの頃の方がもっと自由であったような気がする。自分というものが分からなかった。今も分らない。

    ○「恥なしの青春、失敗なしの青春など、青春の名に値しない」
    ○自分の生き方を模索している間が青春なのである。それは人によって短くもあれば、長くもある。はじめから老成してしまっていて、青春など全く持たない人も、必ずしも珍しくはない。
    ○人生論は、もっぱら喫茶店やバーの椅子の上で語られるものと思っている人がいる。自分の人生とは無関係の論であると思っている人がいる。しかし、ほんとうの人生論は語るべき対象というよりは、実践すべき対象なのだ。
    ○人間性が発揮できる生活をしたいというのにつきる。生活上の安楽なんかいらない。最低限度、飢え死にしないですめばいいんじゃないか。
    ○誰かに強いられてするのではなくて、自由に自分の発意でする労働、何らかの欲求を抑圧しながらする労働ではなく、欲求を満足させるための労働、自分の能力を発見できることに喜びを感じられる労働、そういう遊びか労働かわからないような自由な労働の中にユートピアがあるというんです。  
    ○一人立ちしてわかったのは、人間が会社みたいな組織によりかからずにメシを食っていくのがいかに大変かということです。
    ○妥協を排した人生は楽ではない。楽ではないが、楽しみは多いと
    ○お金があれば一銭でも多くフィルムや機材につぎこみたいのでその他の面では可能なかぎり倹約するんです。
    ○フレームの形がきれいにきまり、それに合わせて自転車全体の姿がきれいにきまる。
    ○ランボワジ
    ○とにかくことばがわからないでしょう。なぜ怒られてるのかもよくわからない。わからないからまた同じ失敗をする。それで〝あいつはバカだ〟といわれる。ことばが通じないから、向うは手を取って教える。こちらも見よう見まねでやる。しかし、どんな技術でも、ことばなしでは正確なところが通じないんですね。
    ○料理というのは芸術なんだと思いました
    ○たいていの料理人が、料理を覚えるというのは、伝統的なレパートリーの作り方を一つ一つ覚えていくことだと思っている。だけど、ほんとの料理は、そういう方程式を覚えていけばできるというものではないんです。最後はその人の感性なんです。感性による創作なんです。
    ○単なる経営的成功が目的なら、あまりに高級な店より、少し大衆的な店のほうが儲かる。しかしベルナールは、料理の質を落すことに断固反対した。
    ○青春は誰にとっても「謎の空白時代」としてある。
    ○自分の人生を自分以外の何ものかに賭けてしまう人がどれほど多いことか。
    ○青春とは、やがて来たるべき「船出」へ向けての準備がととのえられる「謎の空白時代」なのだ。

  • 面白かったです

  • 評論家の立花隆氏が、様々な(当時)新しい分野のフロンティアとして試行錯誤しながら奮闘する人々を取材する。この本は1985年に出版されたのでもう35年前のインタビューだ。その後彼らの多くはまさにその分野での第一人者となっているか。ソムリエの田崎氏、料理人の斎藤氏や猿回しの村崎氏は、私ですら知っている有名人である。彼らが駆け出しのころに、どんな失敗・苦労をしてきたか、どうして前例がほとんどない分野に挑戦しようと思ったのか、が書かれている。
    彼らは当時22歳~36歳である。彼らに共通するのは、学校や会社で落ちこぼれだったりし、その後興味が持てる(情熱をもって努力するに値する)分野を見出し、才能を発揮していくところである。その分野に踏み出してからも、相手にされなかったり、投げ出したくなるような苦労は続く。
    猿まわしの村崎氏や、鷹匠の松原氏の章が面白かった。猿の調教の仕方や、鷹をどう慣らしてしつけていくのか、など初めて知った。ソムリエの田崎氏も、今は面白いオジサンになっているが、若いころフランスへ飛んで、ワイナリーを歩いて訪ねたとあり、感心した。やはり若さのエネルギーは無限大なのだ。

  • 就活中の大学4年生の時にこの本に出会いました。
    特に何かやりたい事がない人、やることが明確にある人
    それぞれ読んだ時に心の内側に熱いモノを感じ、何か行動をしたくなるそんな素晴らしい本だと思います。

  • あと10年早く読んでいれば、なにかしらの運命が変わっていたであろう。
    冒頭に書いている通り、ふと我が人生を振り返れば、青春時代などとうの昔に通り過ぎていた。

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著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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