密閉教室 (講談社文庫 の 7-1)

著者 :
  • 講談社
3.19
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本棚登録 : 950
感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061849907

感想・レビュー・書評

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  • 法月綸太郎デビュー作。30年近く前の青春ミステリ。
    さすがというか、本格ミステリとしての純度や面白さは強い。
    ただ、文章は取っつき辛いところがあり、もっとシャープなら傑作感があったのだが。
    また、人物たちのデッサンがラフ過ぎる。著者が設定したいのであろう人物イメージと言動がところどころ一致しないし、展開に合わせてキャラ代わりさせるのはちょっと難易度が高すぎた。
    3

  • 法月綸太郎は・・読んだことあったかな・・?

    デビュー作らしい
    学園ミステリ

    トリックに関してはう~んと思ったけど
    犯人が、二転三転して面白かった
    殺された子がかわいそう

  • 読了。凝ってますー時間かけてます感全開でした!

    綾辻の十字館といい、有栖川のマジックミラーといい、
    「○○月までに○○枚」っていう商業ベースでは
    生まれない贅沢さ。

  • ★2.5だな。
    最後のバタバタがバタバタ過ぎる。

  • ミステリを攻める上で避けては通れぬ内の一著者として、そのデビュー作から読んでみようとチョイスしました。
    まず、探偵役の高校生が刑事と手を組む流れ、手がかりの提示のされ方、切札の真実など、所々ご都合主義的な部分を感じました。もう少しさりげなくならないものかなぁとか。
    手がかりを多く提示する割りには推理でそれが一所に収束していかない感じもあります。仮説とその棄却の連続に混乱して真実が見えなくなってしまうのは、読んでて歯がゆいところです。
    しかし一方でその流れに慣れてくると、舞台である学校の雰囲気や、キャラクターの掛け合い、物語の盛り上がりなどに引き込まれるのも事実。特にエンディングには切れ味があり、こじれた推理をも忘れてしまう上手さがあるように思えます。
    今後、法月倫太郎シリーズに手を出すか、悩むなぁ

  • 法月綸太郎のデビュー作『密閉教室』を読了。

    タイトルから分かる通り、密室ものの密室ミステリ。しかしこの作品にはしてやられた。

    どんでん返しに次ぐどんでん返しで、全く真相が判らなかった。未だにこの作品を超えるどんでん返しの連発を見たことがない(と思う)。

    あるトリックでは、かなり時間を要するもので相当忙しかったのではと思ったりしたものだ。

    関係ないが、ハードボイルドを気取っている主人公の高校生にはけっこう感情移入できるものがあった(3年ほど経った今ではそうでもない)。オレも心のどこかで探偵よように事件を解決してみたいものである(これはある)。

  • 同人誌?気障な比喩言い回しで道化を増産してる

  • 「密閉教室」
    早朝の教室で、中町圭介は死んでいた。コピーの遺書が残り、窓もドアも閉ざしてある。しかも、教室にあるべきものすべてが消えていた。級友工藤順也がその死の謎に迫るとき、次々現れた驚愕すべき真相とは?


    新本格の創始者とも言える島田荘司氏の登場以降、本格派には、「1.トリック優先の創作姿勢+2.文章や登場人物などの未熟さ=故に、小説として未熟である」という批判が続きました(現在でもあるのだろうか)。


    そんな論拠が渦巻く中、新本格派に続いたのが法月綸太郎氏です。本作の初稿が書かれたのは、京都大学在学中とのことらしいから、随分若い頃に頭角を現したということ。こりゃ凄い。以降、彼は、綾辻行人氏、歌野昌午氏、我孫子武丸氏らと共に新本格推理小説を引っ張っていきます。


    本作「密閉教室」も多くの例に漏れず、批判派が喰いつく箇所があったようです。しかし、新保博久氏(「解説」担当)は、比較的好感を持ったよう。だからではありませんが、私も好感を持ちました。


    確かに、「登場人物の造型が甘い」と言われればそんな気もします。教師達は、それぞれ思惑があるはずが、全てネロ(新聞部顧問)一人に象徴されてしまっていて、それ以外の教師達が持つ個性や背景は覗けないし、ハードボイルド探偵である工藤を始めとする高校生達もやや現実離れ且つミステリアス


    (現実離れすぎるというのは、造型が甘いからこそ、ありえないことを含み過ぎている、ということなのでしょうか。私としては、小説“フィクション”なのだから、現実度はある程度持っていればいいし、「そこを批判するのは、しても最後の手段で、真っ先に鬼の首取ったごとく言うのは“WHY”だw」と思っています)


    でもあります。しかし、ハードボイルド気取りにしても、黒幕的高校生にしても、やたら哲学思想を養っている男子にしても、現実の高校生に内在するある種の個性や性格を誇張して、存在感を持たせているので、さほど「登場人物の造型の甘さ」を感じません。女子生徒2人は、重要な役割をしている割には、背景や人物像が見えな過ぎるけどw


    故に、“そんな気”止まり。そもそも甘い云々が出てくる領域とは、別の切り口な気がします。


    また、「トリック優先の創作姿勢」にはなんとも。私は、「トリックをふんだんに盛り込んだ処女作だな」と思いましたし、「推理小説には、トリックだな」と常々思っている人間なので、嬉しいことこの上なし。


    そもそも「トリックを優先し過ぎて、登場人物や文章が甘くなる」というのが、批判派の論理だろうから、肝は「文章や登場人物などの未熟さ」のはず。となると、この肝がしっかりしていれば、トリック優先云々は、問題にならないのだろうとも思っているわけでw


    ということで、総括すると楽しめました。最後の自分が自分に辟易するのは、良いです。


    ちなみに、法月氏は「クイーンの作風を継ぐ者がいないから仕方なく自分が書いている」と言ったこともあるほどのエラリー・クイーンマニア。故に、本作の次に発表された「雪密室」以降から、もう一人の法月氏が登場します。

  • アラを探し始めたらキリがないほど荒削りな処女作。でも面白かった!
    寄せては返す波のように解き明かされる謎の構成がよくできているし、なにより高校生という主人公達が良い。
    もちろん良く言われるようにキャラは被りまくりで、読んでいると誰が喋っているのか分からなくなりそうなのだけど、それをさっ引いても後に残る印象は爽やかだ(結末は後味悪い感じだけど)。
    いろいろと分からないこともあるのだけど、完全版が出ているようなのでそちらでフォローされていることを祈って古本屋を探すことにしよう。

    ところで本格といえば謎が積み重なって飽和状態になった所で、探偵が登場人物を一同に集め謎解きを大々的に披露するというのが定石なのだけど、これはちょっと変わった構成になっている。
    さっきも書いた通り、謎が一つ一つ解けていってそれが積み重なって結末に導かれるのだ。
    つまり読者は最後まで全体を見通すことができなくて、謎解きができない。
    最後の最後まで気が抜けないのだ。これは私の中で結構新しかった。こういう道筋もあるのねーといった感じ。
    最終局面でどんでん返しがいくつか用意されているのも、クライマックスにふさわしく美しい。

    なんとなく法月綸太郎が一番伸び伸び書いたのが、この作品なのじゃないかという印象を受けた。

    それから綾辻もそうだけど、「生理だから普通の精神状態じゃないのよ」というのは、止めて欲しい。

  • 法月ミステリの原点。たいへん読みやすい一作。

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著者プロフィール

1964年島根県松江市生まれ。京都大学法学部卒業。88年『密閉教室』でデビュー。02年「都市伝説パズル」で第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。05年『生首に聞いてみろ』が第5回本格ミステリ大賞を受賞し、「このミステリーがすごい! 2005年版」で国内編第1位に選ばれる。2013年『ノックス・マシン』が「このミステリーがすごい! 2014年版」「ミステリが読みたい! 2014年版」で国内編第1位に選ばれる。

「2023年 『赤い部屋異聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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