検屍官 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061850699

作品紹介・あらすじ

襲われた女性たちは皆、残虐な姿で辱められ、締め殺されていた。バージニアの州都リッチモンドに荒れ狂った連続殺人に、全市が震え上がっていた。犯人検挙どころか、警察は振回されっ放しなのだ。最新の技術を駆使して捜査に加わっている美人検屍官ケイにも魔の手が-。MWA処女作大賞受賞の傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • リッチモンドで発生する、女性を狙った連続猟奇殺人事件の捜査にあたる、検屍官ケイ・スカーベッター。
    科学捜査です犯人を絞り出そうとするが、検査情報を入れたコンピュータに何者かが侵入したり、科学捜査よりも、勘や事実から捜査を進める刑事との確執があったりと、捜査に関わる人々の人間模様も描かれている。

    主人公が、なんだか常にイライラしているのが、今ひとつ好みに合わなかった。
    あくまでも個人の感想ですが…

  •  このところ読み始めたいわゆる3F小説、これもそのひとつ。検屍官ケイ・スカーペッタが主人公。検屍(視)官というのは殺人現場には必ず出張ってくる人だが、それが警察小説の主役になることは珍しい。直接の捜査権はないのかもしれないが、それをいえばリンカーン・ライムにしたって同じことだからいいのだろう。キンジー・ミルホーンではあまり感じなかったが、こちらは女性であるがための偏見や不利がところどころに出てくるあたりが3Fたる所以だろうか。そんななかで当のケイは嫌っているが、相棒?のマリーノ部長刑事がなかなかいい味を出していて、こちらを主役にしてもいいくらい。事件は若い女性の連続猟奇殺人で、周辺の関係者が怪しげだと疑われる。検屍官らしく化学的な手がかりから真犯人が割れるのだが、意外というか普通というかでちょっと拍子抜け。事件の凶悪性が生かされてなく、ストーリーはいまひとつだが、これも次作に期待だな。

  • 指揮官がいない、個人プレーの集合体。
    みんな見てる方向が違って、求めているものも違う。
    絡みあいながらそれぞれの結末に行きつくのだけれど…指揮官ほしいよね、まともな指揮官。

  • やっぱダメ

  • 2029.6.17読了

  • ケイ・スカーペッタ検屍官シリーズ1作目読了! 購入してかなり寝かしてようやく読めた〜 これは必ず傑作本だと、におわす本はもったいなくて後回しにする癖があり気づいたらシリーズがたくさんでて本棚に収まってます。
    いや〜最期はかなりドキドキ!みんな怪しくなるし! ケイも魅力あるし! 評判通りの1冊!

    カバー装丁は辰巳四郎さん!辰巳さんの装丁本は好きでたくさんお世話になりました。新本格ミステリーでは辰巳四郎さんはかかせなかったな〜

    さぁ、2作目を間があかないうちに手をださないと〜

    ぜひ〜

  • 四作目「真犯人」を先に読んでしまったが、このデビュー作は新人にしてミステリー賞4部門制覇という傑作。新人らしからぬ伏線回収や専門知識披瀝など読み所満載。本書は1999年39刷版ですが、P234には明らかな校正ミスがあります。「敬虔なパブテスト」→「バプテスト」、探してみてください。

  • 女性達が殺されていく連続殺人事件。検屍官のケイ・スカーペッタは手がかりを得るべく彼女達を解剖していく。特殊なレーザーを当てるとキラキラ光る物質が被害女性達に付着しているところまではわかるがその物質が何か、どこで手に入るかまではわからずノロノロと捜査は難航。そんな中でまた新たなる被害者が。

    秘匿してるはずの情報が記者に漏れ、スケープゴートとしてその責任を取らされそうになるスカーペッタ。政治的な思惑も絡まり焦燥感にかられる...。少しずつ場が動いてからの大博打、そしてクライマックス、なかなかじっくりと楽しめました。

    殺害の描写は過激なので想像力が豊かすぎる人にはきついかもしれない。

  • 世界的ベストセラー作家が1990年に発表したデビュー作。今では30作以上の作品が翻訳され、固定ファンをしっかりと掴んでいるようだ。女性検屍官を主人公とするコーンウェルの代表的シリーズ、という前知識だけはあった。以下は本作のみを読んだ上での取り留めのない〝感想〟に過ぎない。他の作品がどのようなものかを把握していないため、誤読/曲解があるかもしれない。

    一読しての印象は、意外と実直な筆致で、ヒロインに派手さもなく地味目。肝心のストーリーは、起伏が乏しく、エピソード類が弱い。出版当時、注目されていたDNA鑑定などの科学的捜査や、作者が得意とするコンピューター関連の用語などを事細かく盛り込んでいるのだが、結局メインプロットに絡むことはない。構成は緻密さに欠け、全体的に散漫。検屍官として鋭い分析をする訳でもなく、殺人者に繋がる手掛かりの発見は、思い付き程度。さらに、処女作にしてミステリの〝基本原則〟を堂々と破っている(実際、これが〝真犯人〟かと驚いた)のは潔いが、さっぱり効果を得ていない。そもそも、ほぼ単独且つ動的に検屍官が事件を解決する設定に無理があるのだが、次作からはどう着想しているのだろうか。

    核となる連続殺人の真相を追う過程がなかなか進展しないため、主人公のメンタル面に興味が移り、本筋が霞んでいく。彼女は様々な悩みを抱えている。それまでは男の牙城であった仕事に対して上司や刑事から受ける性差別、報道機関へのリークを先入観のみで疑われるという焦燥。そして、関係を深めた検事の男が、実は殺人者かも知れないという疑惑。〝女性〟としての立ち位置が、常に物語の軸となっている。
    コラムニスト香山二三郎は「本シリーズの人気は〝四F現象〟(主人公はもとより、作家も訳者も読者も皆、女性=FEMALE)と連動している」と述べているが、多分その通りなのだろう。ターゲットを絞り、ニーズに応える。大半を占めると思しき女性読者に対し〝理想〟となるような生き方/ライフスタイルを提示し、ヒロインへの強い共感を得る。これは、いわゆる〝ハーレクイン〟界隈に通じるものだが、基調となるミステリ/サスペンスまで〝甘い〟のでは元も子もない。離婚して、現在は〝ハンサムなエリート検事〟と恋愛関係にあるというのも、定型に倣っているとはいえ新鮮味が無い。
    ハードボイルドの分野では1980年代にサラ・パレツキーやスー・グラフトンらによる〝女探偵〟のムーブメントもあったが、いわばマチズモの対立軸として強調したタフネスと、本シリーズの主人公のスタンスは違う。要は、等身大で生きる現代の女性が、さまざまな差別、ジレンマをどう乗り越えていくを、よりリアルに描いているということか。ミステリというよりも、昨今定着したジェンダーの視点から読み解くことも可能だが、あれこれと考察できるほど、本作は深くない。

    コーンウェル自身の解説を読むと、出版に漕ぎ着けるまで相当苦労したようだ。MWA新人賞受賞などにより一気に注目を浴び、以降は安定した息の長いシリーズ化に成功している。
    初めて手にした海外ミステリが本作というケースも多いだろう。高評価を与える読者もいるだろう。けれども、有名な賞をとっている作品がこの程度なら、海外ミステリなんてつまらない、と落胆する読み手もいるだろう。つまりは、読み手の経験と相性次第なのだが、本当に面白い〝ミステリ〟とはこれではないと私なら助言するだろう。無論、世間一般で売れている〝読み物〟に触れたいならば、この限りではないが。本作は、コーンウェル最上の作品ではないかもしれず、どこかで〝大化け〟しているかもしれない。ただ、もういいかな、というのが私の結論となる。

  • 遅ればせながらやっと読んだパトリシア・コーンウェル。
    いわゆる女性が主人公のハードミステリーの女王の位なんだろうね。
    シリーズ第何弾目か、年の暮れに「神の手」が出たよね。

    いや、私はドロシー・L・セイヤーズのピーター卿シリーズの5編から登場するハリエット・ヴェインが著者の輪郭とあいまって元祖だと思っていたのだが…。(私はこのシリーズが好きでいとしいのだ 笑)

    知的で勇敢な女性が男社会といわれる場で活躍する、物語では当たり前の姿も実世界では大変なエネルギーを要するのだと理解させるストーリー展開は得難い。

    自立した女とことさらに言われない世の中に、いつなるのだろうかと暗澹たる思い駕するのは私だけではないと思う。

    人間として働き、社会を担い、かつ子供を生み育て、料理、洗濯、掃除、家の管理をしてなお、男と伍してはならないと誰が決めたのか!!

    けして被害妄想ではない、経験的見聞的実感である。
    と、まなじりを決するのはここまで(おさえて、おさえて、近日いろいろあったので 苦笑)


    前置きが長くなったが、やはり面白い、サスペンスがある。夢中で読んだ。

    周りのキャラクターもくっきりしていて、向後どんな展開か思いを馳せ、わくわくさせる要素が大である。主人公が離婚暦のある40歳で美人というのも憎い。

    バージニア州都リッチモンドの情景が興趣をそそる。何気ない描写がいい。

    ここに描かれている事件そのもはアメリカ社会といわず現代の日本でも絶えることなく、ひいては世界的に人類の続く限り存在する悪で、根絶が不可能なのだろうと暗澹とすることにもなる。深く考えたら怖いことだ。

    言わずもがなだけれど、桐野夏生の「ミロシリーズ」を思い浮かべ、まったく切り口がちがうのだけれど後発ということで影響されたのだなと思う。

    このぶんではシリーズにはまりそうである。

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著者プロフィール

マイアミ生まれ。警察記者、検屍局のコンピューター・アナリストを経て、1990年『検屍官』で小説デビュー。MWA・CWA最優秀処女長編賞を受賞して、一躍人気作家に。ケイ・スカーペッタが主人公の検屍官シリーズは、1990年代ミステリー界最大のベストセラー作品となった。他に、『スズメバチの巣』『サザンクロス』『女性署長ハマー』、『捜査官ガラーノ』シリーズなど。

「2015年 『標的(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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