宮本武蔵(八) (吉川英治歴史時代文庫)

著者 :
  • 講談社
3.87
  • (82)
  • (71)
  • (110)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 725
感想 : 55
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061965218

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 行方の知らないあの人この人、蔭からおいで祭りや祭り、船島の決斗ぞいつぞいな。もはや馴染みに近い感覚すら持つサブストーリーの主人公たちが覚り、寄り添い武蔵を見送る時点で既に物語は大団円を迎えていると思う。
    あ、やっぱり櫂なんだとか、鉢巻なんだとか。それは一つの物語を区切るアイコンでしかなかった。
    愚堂和尚いみじくも記すところ、元来仏法無多子 喫飯喫茶又着衣。
    宮本武蔵 全八巻了

  • 己が主体であり、影法師が対象であるように、

    己の心が主体であり、現世日常への感覚は対象なのだ。

    現世日常の憂い・煩悩に煩わされ、己の心を取り乱しながら生きる人間のなんと多いことよ、

    という教訓を僧侶は無言で武蔵に悟らしめた。

  • やっと全巻読了!

  • 宮本武蔵という人物を中心に据えた人間形成,鍛錬の物語です.
    幼馴染みの又八が心の弱さを,佐々木小次郎が強さと傲慢を,武蔵が高潔を,それぞれ担当しているように見えます.
    その他にも,色々な登場人物が人間の色々な性質を担当していて,作品世界が一つの人間の心の中で起こる鬩ぎ合いと重なって見えました.
    一気に読むよりも,毎日少しずつ読むことで,毎日読者自身を叱咤激励できる作品であると感じました.

  • 剣豪という言葉からイメージしていた武蔵と違い、思慮深さ、人間性、武士道を追求する姿勢は興味深い。一通り読み終わってみると、吉川英治の他の小説を読み終わった時と同じく、史実が知りたくなってしまう。史実がこの通りであって欲しいと思ってしまうあたり、小説に魅入られた証拠だと思う。

  • 戦前の新聞連載小説.
    水村美苗さんが「手紙,栞を添えて」の中で「宮本武蔵は,私にとっては実に懐かしい本なのです.なにしろハイスクール時代,年に一度は儀式のように読み返したのです.」と書いているのを読んで以来,いつか読もうと思っていた.
    これだけの長い物語が,少しも流れが滞らず,最後の船島での試合にまで導かれるのには驚くばかり.読むのが遅い私でもそれほど時間をかけずに読み終えた.
    しかし,この本を読んで私が興味を持った人物は,宮本武蔵ではなく,本阿弥光悦や沢庵和尚だから,私はこの本のよい読者ではないのだろう.

  • 遂に最終巻、又八、もばばもお通も、色々な人々が巌流島の戦いに向かって収束してゆく。「小次郎の信じていたのは、技や力の剣であり、武蔵の信じていたものは精神の剣であった。それだけの差でしかなかった。」

  • 長々、と八巻目。
    本巻は、いよいよその展開が、速度を上げる。
    正直に言うと、登場人物の名前とか、、だいぶ追いついて無い@@


    行き着くところは、やはり巌流島。
    諸説あるも、吉川英治で描かれるのは、努力人間 対 天才。
    結末は、果たして。


    個人的には、吉川宮本武蔵は、前半がハラハラドキドキしたなぁ。
    さて。本当の武蔵を知るべく、五輪書を手に取ってみようかなぁ。

  • 宿命の二人・武蔵と小次郎は遂に船島にての決戦に臨む。今まで出会った人の恩を受け、そこにいる二人。再び彼らに会うのはいずれか―。

    武蔵と小次郎の果し合いで幕を閉じます。試合に出る前の、お通との別れが特に心にきました。その後故郷に戻り、二人して幸せに暮らしたことでしょう。
    又八が父親として還俗していくのも良かったです。今までさんざん不甲斐ないところばっか見ていたので(笑)、感激もひとしおでした。

    長編ですが新聞小説なのでさくさく読めます。お勧めします。

全55件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉川英治の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×