知的複眼思考法

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062072281

感想・レビュー・書評

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  • 名著

  • 大学の教育社会学講座における演習のクラスを受けているようなテンポで、本書のページを捲ることができ、とても読みやすかった。習作としての論文を執筆する予定がある読者は、一読すべきである。特に、大学職員を含めた社会人にとっては、社会科学系の大学院に通う前に一読しておくことで、リサーチデザインや統計の学習の際、かなり有益となる。ロジックを作る際に求められる技術や視点が必要十分に解説されている。研究方法論や統計解析法のテキストでは、その性質上どうしても技術的な説明が中心となるが、本書では、それ以前に必要となる「問い」の立て方について、教育社会学の事例を元に詳細に解説されている。全般的に平易に書かれているが、その内容は極めて本質的である。ちなみに大経コース関係者は、前期の統計の授業で扱う内容に、本書との親和性があることを感じるだろう。クラスで高根(1979)の『創造の方法学』が参考文献に挙げられることも理解できよう。

    以下のキーワードに関心を持ったら、通読することを強く勧める。
    創造性、オリジナリティ、問い、因果関係、疑似相関、ビッグワード、マジックワード、概念、論文指導

  • 知的にものごとを考えるための常識にとらわれた単眼思考をしていてはいつまでたっても「自分の頭で考える」ことはできない。気鋭の教育学者が知の現場から導き出した、複眼思考の実践的ノウハウを紹介する。

  • 【考える読書 4つのヒント】p117-120
    ①論争を読む: ひとつの事件やことがらをめぐって、複数の論者が論戦を戦わせているもの。
    ②先を読む読書 cf. 詰め将棋
    ③古い文書の活用
    ④書評のすすめ

    《第4章 複眼思考を身につける》p269
    ①ものごとの多面性をとらえるための「関係論的なものの見かた」
    ②意外性を見つけるための「パラドクスの発見」
    ③ものごとの前提を疑うための「メタを問うものの見かた」

    【ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の主張の要約】p309
    禁欲的な生活を求めるカルヴィニズムの教えに導かれて、勤勉さを旨とする節度ある「合理的な」生活態度が形成された。その結果、やみくもにお金儲けを目指すのではなく、計画的・合理的に会社の経営を行おうとする精神的な基盤が作られた。そうした禁欲的で合理的な勤勉が、近代の資本主義誕生の重要な条件であった。
    ⇒「意図せざる結果」の発見 p311

  • 考え方の方法論について述べられている。
    ものごとを素直に受け止めないなどをすることで、他の見方ができるようになるというもの。
    大学生に問題を出して、翌週に答案用紙にA~Dを書いて返すと、成績のことと言っていないのに学生は一喜一憂する。

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]141.5/73 [資料番号]0097107431  [請求記号]141.5/73/A [資料番号]2000110485

  • 良書だけど実践には時間がかかるかも。内容はわかりやすい。一つの情報や問題を様々な視点で見てみることは情報社会においてとっても大切。読むことで情報の見方が変わるかも。

  • 常にある問題を考えるときには疑問を持ち、「なぜ」を繰り返し投げかけ、情報を鵜呑みにせず、多角的な角度・マクロ、ミクロで観察し、自分の意見も持つこと。

  • 思考力、判断力を鍛えるにはステレオタイプの単眼思考を避け、複眼思考を身につける。

    複眼思考を身につけるには?

    情報を正確に読み取り、論理をきちんと組み立てる。

    1章、批判的読書の効用。
    2章、文章を書くことで論理的表現を身につける。
    3章、考える筋道としての問い「なぜ」。
    4章、物事の二面性、多面性を捉えるための方法。

    要再読。

  • ★少し古い本(第一刷1996年9月25日)だったが、例示されるデータ以外、ことにメソッドは非常に基本的かつ重要なことを取り上げて紹介してくれている。現在、論壇で、社会批評で活躍されている方々は、この基本的な思考法
    で情報の収集、解析、論評を行っている様に思える。私にとってこの本での最大の価値は、第三章の「問いの立てかたと展開のしかた」中でも、3.概念レベルで考える。という内容。「概念」という言葉を普段使ってはいるが、あらためてその意味と働きについて例示をもって解説してくれているところだった。タルコット・パーソンズの「新しい概念は、それまで暗闇の中で見えなかったことがらに光りをあてて、その存在を示すサーチライト」という言葉は、漠然とした「概念」という言葉に決定的な働きを示してくれた。そして、抽象度をあげて問題を見直すことの意味を新たな視点で考える様になった。

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著者プロフィール

オックスフォード大学教授

「2023年 『新・教育の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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