新・異色時代短篇傑作大全

著者 : 津本陽

• 講談社 (1995年5月1日発売)

感想・レビュー・書評

[tanaka9999さんの感想 · 2023年6月10日]

1995年発行、講談社の単行本。12編。宮城谷昌光『指』。「玉人」などで既読。歴史の薄い事実の中から色気のある話を創る。この作者は全体に短編の方が歴史の雰囲気があって好きです。高橋直樹『亀田大隅』戦国の荒くれ武者を描いた話だが、この手の話は私の好みではない。清水義範『天正鉄仮面』どこまで史実に準拠しているのかわからないが、娯楽的歴史小説として非常に面白い。そう解釈するか、と感じる。『潔癖』『李賀夭折』『指』と3編も中国物があるのも面白いかな。「異色」とタイトルについてるだけのことがあるかもしれない。

掲載作：『睡り猫』津本陽、『黄梅』安西篤子、『千里の馬』池宮彰一郎、『潔癖』井上祐美子、『百年の嘘』大久保智弘、『天正鉄仮面』清水義範、『亀田大隅』高橋直樹、『妖剣「心の一法」』羽山信樹、『桂籠』火坂雅志、『李賀夭折』真樹操、『指』宮城谷昌光、『瘤取り作兵衛』宮本昌孝、解説：「解説」縄田一男、他：著者紹介、

初出誌：津本「季刊ピープル」'94年新秋号、安西「問題小説」'94年4月号、池宮「季刊歴史ピープル」'95年新春号、井上「季刊歴史ピープル」'95年陽春号、大久保「小説現代」'95年3月号、清水「季刊歴史ピープル」'94年新秋号、高橋「季刊歴史ピープル」'95年陽春号、羽山「別冊歴史読本/時代小説」'94年冬号、火坂「季刊歴史ピープル」'95年新春号、真樹「季刊歴史ピープル」'95年新秋号、宮城谷「週刊小説」'95年1月6日号、宮本「季刊歴史ピープル」'95年新春号、

著者プロフィール

1929年和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。78年に『深重の海』で直木賞受賞。その後、織田信長を描いた『下天は夢か』がベストセラーになる。95年『夢のまた夢』で吉川英治文学賞、2005年菊池寛賞受賞。1997年に紫綬褒章を、2003年には旭日小綬章を受章。剣道三段、抜刀道五段で武術全般に造詣深く、剣豪小説をはじめとして多くの武道小説を執筆。2018年5月26日逝去。著書に『明治撃剣会』『柳生兵庫助』『薩南示現流』『雑賀六字の城』『修羅の剣』『大わらんじの男』『龍馬』など多数。

「2022年 『深淵の色は　佐川幸義伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」