- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062092593
作品紹介・あらすじ
遺体は何かを語りかけてきた…520人、全遺体の身元確認までの127日を最前線で捜査にあたった責任者が切々と語る!人間の極限の悲しみの記録。
感想・レビュー・書評
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事故が起き、誰かが亡くなれば、その遺体を、現場から拾い上げ、検死し、身元を割り出す。
行ってくれる誰かがいるから、家族の元に帰れるんですよね。
愛する人のどんな姿の亡骸だとしても、頬を寄せて涙するというエピソードには、人の愛情の深さを感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今年はなぜか日航機墜落事故の事が気になり、この本を読みました。当時は子ども心に「大変な事故だなぁ」くらいにしか思いませんでしたが、遺体の収容、ご遺族への対応、決して新聞やテレビでは報道されない事がリアルに書かれています。血が苦手な人は読めないと思いますが、戦後にこういう状態にさらされた人たちがいた事を知る事が出来ました。
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どうしても読みたかった本ですが、家に置いておくには、私には重すぎる、と思ってレンタル。
日航機123便の墜落事故の時に、身元確認作業を行っていた警察官が、当時の様子を描いている。歯、指、かけらひとつでも探そうとする人たち。包帯などで遺体をきれいに直そうとする看護師さん、運ばれた遺体が子供だと涙する医者…。当時の事故現場の生々しさや凄惨さをセンセーショナルに書きたてる雑誌も当時はあったらしいけれど、この本にはただただ「死者を丁寧に扱い、家に帰してあげようとする奮闘」だけが描かれている。
また、外国人の方で被害にあった方は、遺体は荼毘にふしてかまわないと言ったという宗教観の違いや、遺族の怒りと憤り、日航の社員の苦しさなど、丁寧に丁寧に描かれたドキュメンタリ。
日本人が災害現場の救助に行くと、その遺体への敬意の持ち方や丁寧さに、その国の人たちが感動するという話を聞きますが、この本を読むと本当にそれを実感します。すごい精神性だし、美しいと思います。 -
今だからこそ多くの人に読んでほしい本です。読んでいてかなり精神的に辛くなる描写も多いですが、覚悟を持って読んでほしい。私は昼間じゃないと読めなかったです。
2024年1月2日。JALの追突事故が起き、奇跡的に全員が脱出できたというニュース。その時「御巣鷹山」を教訓に客室乗務員たちは日々訓練をしてきたという話を聞きました。
(JAL)日航機墜落事故は、今でもたまに話題になるくらい有名な事件で、坂本九や向田邦子が犠牲になったり、明石家さんまが搭乗を見送って事故を免れたなど、他にも著名人が多く乗り合わせていた便でした。
本書では墜落現場から運ばれてくる遺体の身元を確認し、遺族に返すという絶対に取り違えは許されない任務の現場指揮官が、出動命令された時点から引き渡し終えるまでの127日間を記録したものです。
真夏の体育館での検視作業。聞いただけで過酷さが想像できます。しかも五体揃っておらず指紋や歯の治療履歴などをもとにあくまで正確に身元を割り出さなければならないのに、どんどん遺体は傷んでいく....。時間との戦いのなか、著者で身元確認班長である飯塚氏も苦しみながらも遺体や家族と真摯に向き合い現場を指揮していました。
身元確認班の隊員だけでなく日赤の看護師や歯科医師たちのエピソードも交えながら淡々と現場の状況を描いていますが、特に子供の遺体を検視するという描写は本当に読んでいて辛かったです。
>日頃から教育、訓練された組織は強い。
過酷な現場で作業するためには訓練が必要。プラス経験をもとに現場で機転を効かすプロたちの活動に本当に頭が下がる思いで読みました。それとともに、今まさに北陸で活動しているプロたち、東日本大震災を含む災害で大勢の遺体を確認したであろう人たちにも思いを馳せました。
一般人である私はこの現場では何もできないという無力感を感じつつ、じゃあ何ができるか。「避難訓練や備蓄など災害に備えること」「現場のプロたちの邪魔しないこと」
特に今SNSでは議論の枠を超えた現場への意見や中傷、いたずらが溢れていますが、まじで黙って避難訓練しとけと思います。 -
なぜかこの事故が気になって。
もう35年以上も前のことなのに。
筆者は群馬県警の警察官の方で、ご遺体の身元確認をご担当された方です。
作家やジャーナリストではありません。プロの文章ではない分、先走る感情や現場の臨場感がとてもリアルに感じました。
当時のニュース報道、テレビ、新聞等あらゆるメディア、度を越した写真週刊誌、
今では考えられない、航空機墜落事故の生存者による記者会見。
「怖いです。怖かったです。思いださせないでください、もう。思いだしたくない恐怖です。」
生存者の1人、JALのCAさんの言葉です。
そして、医師、看護師、警察、自衛官の皆さん。
みなさん、ご遺族を前に
坂本九さんの歌のように
上(天井)を向いていらっしゃいました。
涙がこぼれないように。
航空機の墜落事故の遺体の様子が克明に書かれ、胸が詰まります。
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御巣鷹山の尾根に日航機が墜落してからもうすぐ13年がたつ。事故から127日かかった520人全遺体の確認作業。当時、身元確認班長として最前線の捜査にあたった著者が切々と語る、人間の極限の悲しみの記録。
(1998年)
— 目次 —
第1章 出動命令
第2章 大量遺体
第3章 最初の遺体確認
第4章 悲しみの体育館
第5章 看護婦たちの胸の内
第6章 指紋、歯が語る
第7章 身を粉にした医師の仕事ぶり
第8章 遺体の引き取り
第9章 過酷な任務
第10章 極限の日々
第11章 最後の最後まで -
ページをめくる手が止まらない、緊張感と臨場感に溢れる1冊。遺体の生なましい描写もあるが、それ以上に法医、看護師、県警の真摯な仕事ぶりに心打たれる。
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Amazonマケプレで単行本を買って読んだ。2021年現在、36年前の事故で自分はまだ生まれていない。数年ごとにTVで御巣鷹山追悼の番組があったりするので、事故の存在は知っていたが、その実態を知ったのは本書を読んでからだ。
著者は当時、刑事官で事故発生後は身元確認班長として100名以上の部下を指揮して現場の第一線で奮闘した元、警察組織の飯塚訓氏で、ジャーナリストによる第三者的な考察ではなく、本当にその事故の時、その現場で対応した者にしか理解し得ない生々しすぎる記述が本書の特徴だと思う。
身元確認という仕事もあって、舞台のメインは藤岡市民体育館である。検視(本書では「検屍」)や遺族対策班とも密接な関わりがあるので記述があるが、御巣鷹山に離散した遺体を回収し、藤岡市まで輸送してくるところは本書には記述がない。事故の凄惨を物語るように、後部の客席以外は五肢揃った遺体ではなく、且つ墜落後の火災による損傷も激しいので、御巣鷹山での仕事も想像を絶するものがあったのだろうと思う。
警察だけではなく、地元医師会、歯科医師、日赤看護士、日航職員、地域ボランティアと様々な人が不眠不休で協力し、事故対応に追われた。直接的な過労死者が出なかったことが唯一の救いだろう。 -
時系列も事実と私見も何もかもゴッチャになっており極めて読みづらい。
凄惨な現場とご遺体の詳細な描写など、筆者が書きたいであろう部分だけが先走ってる感。章タイトルと内容がそもそも合っていない。本当に編集の手が入っているのだろうか?
言ってしまえば、感想などで取り上げられる部分は、かろうじて「読める部分」だということ。ショッキングな描写で釣っている感も否めない。
日航ジャンボの事件を知りたいなら他の作品をお勧めします。プロの作品脚色はあるけれどもやっぱりすごいなと思った。 -
あの日、長野にいて墜落の音を聞きました。飛行機事故の悲惨さを、少しでも理解するのに役立つと思う本。現場で遺体確認捜査の責任者として働いた方の回顧録。過酷な任務にあたってくださった方々に頭が下がる思いです。