- Amazon.co.jp ・本 (519ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062115803
作品紹介・あらすじ
40歳になったら死のうと思っている。お前に何が起きた。お前は何をしに来た。型に流し込まれたばかりのコンクリートが次第に固まるように、私の決意も日に日に水分や気泡が抜け、硬化していく。死ぬと決めてからの私は、気持ちが楽になった。壮大なるミロの物語、MIRO's EXPERIENCE最新作!
感想・レビュー・書評
-
ハチャメチャだ。
殺人、ドラッグ、セックス、レイプ、
妊娠、逃亡…。
すべての闇を背負ったような…。
この人生、これこそが、ミロなのだろうか。
ここまで来ると、新宿二丁目にくすぶっていた頃の、
ミロが懐かしい。
あの頃のミロは、ミロではないのか。
ミロシリーズの完結だということなのだが、
まあ、もういいや、という想いと、
まだまだ、見ていたいという想いが、
ゴチャゴチャと…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<生きることのハード・ボイルド>
私立探偵村野ミロのシリーズ。今のところ、一番新しい話。
シリーズ中でも少し異作ではないか。
「40歳になったら死のうと思っている。」という出だしから、ミロは「生きる」方を向いていない。
そのままの状態で、自分の義父を殺してしまうのだが、その殺人から、ミロの「生きる」姿勢が出てきて、逃げるということを決めてからは、いつものミロに戻っている。
そして、レイプされ、その時できた子どもを産み、育てようというところで、今回のお話は終わっている。
そうやって、ミロだけ見ていると、けっこう面白いのだが、他の登場人物が魅力的ではない。突っ込んで描かれていないし、顔が見えてこない。
また、これは前作を読まないとわからない部分があり、この続きもまた、同様であるようなので、その意味でもいままでのように1作ずつ完結のシリーズではなくなっているようだ。
2004-03-28 / 小川三郎 -
探偵村野ミロシリーズと認識して読んでいたこれまでを打ち壊すように荒ぶるミロ。そんな奴じゃなかかっただろうと思いつつ、何度も作者が決めた事だからと妙な納得をしながら完結。この本を借りたすぐ近くの刑務所が出てきた時は軽く鳥肌。
-
書いているうちに主人公、登場人物が勝手に動き出すと作家はよく言う。
半信半疑に思っていた。作家だもの、文責ってものがあるだろう。統御できるでしょ、作家の分身ではないか、頭の中で作り出したのだろう?
だが、私のへたな文章でも書いているうちに、最初の意図と異なる文意になっていく経験をする。あれれ、こんな風に言うつもりはなかったのに!と。
パタンと閉じる、そこで読み終わったすぐの感想…、面白かったか、よかったか、感動したか、打ちのめされたか、暗い気分になったか、まずいものを読んだと思ったか、それはないよと叫んだか。
みんな当たっている。が、一番印象深いのは主人公、登場人物が勝手に踊りだしたのではないかだ。作家自身も手を焼いたのでは?作家が書くのをやめられなくて、読者が読むのをやめらない、になれば成功ということ。
場面を追って、話のすじは面白い。しかし、暗い部分が暴れている。どうしようもなく深くなっていく人間の絆の闇。ハードボイルドはかっこいいばかりではない。引きずっているものを切り捨てる苦しみをも醸す、冷ややかに。それは見苦しいとも言える現実なのだ。
探偵村野ミロの行く末を知りたい、桐野夏生さんのファンなら一読の価値ありの本。 -
トモさんファンなので甘い評価です
20170707読破 -
うわーなげえ、いやーいつ終わるんだろう、と思うのだが、後半のクライマックスに入ると、文字を読んでるだけなのに心臓がドキドキしてきたりして、ハマってる感があった。
-
ミロシリーズ完結編。ハードボイルドっぽく今まで彩ってきた登場人物たちが全て別人格になってしまったのかと思うくらい、人間の汚い、けれども分かってしまう「人間臭さ」が前面に出た作品になっている。これはこれでありかな?くらいの感想だがすこし寂しい部分もある。
-
韓国の学生運動時の描写や、スピードでキメまくって行うセックスの描写が印象的。
えげつないミロが最後に選んだ生き方が人間的で意外だった。
我が街、博多の一部が登場するが、その風景がリアルなのでそこも楽しめたかな。