ダーク

著者 :
  • 講談社
3.28
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感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (519ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062115803

作品紹介・あらすじ

40歳になったら死のうと思っている。お前に何が起きた。お前は何をしに来た。型に流し込まれたばかりのコンクリートが次第に固まるように、私の決意も日に日に水分や気泡が抜け、硬化していく。死ぬと決めてからの私は、気持ちが楽になった。壮大なるミロの物語、MIRO's EXPERIENCE最新作!

感想・レビュー・書評

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  • ハチャメチャだ。

    殺人、ドラッグ、セックス、レイプ、
    妊娠、逃亡…。

    すべての闇を背負ったような…。

    この人生、これこそが、ミロなのだろうか。

    ここまで来ると、新宿二丁目にくすぶっていた頃の、
    ミロが懐かしい。

    あの頃のミロは、ミロではないのか。

    ミロシリーズの完結だということなのだが、
    まあ、もういいや、という想いと、
    まだまだ、見ていたいという想いが、
    ゴチャゴチャと…。

  • <生きることのハード・ボイルド>
     
     私立探偵村野ミロのシリーズ。今のところ、一番新しい話。

     シリーズ中でも少し異作ではないか。
     「40歳になったら死のうと思っている。」という出だしから、ミロは「生きる」方を向いていない。
     そのままの状態で、自分の義父を殺してしまうのだが、その殺人から、ミロの「生きる」姿勢が出てきて、逃げるということを決めてからは、いつものミロに戻っている。

     そして、レイプされ、その時できた子どもを産み、育てようというところで、今回のお話は終わっている。

     そうやって、ミロだけ見ていると、けっこう面白いのだが、他の登場人物が魅力的ではない。突っ込んで描かれていないし、顔が見えてこない。

     また、これは前作を読まないとわからない部分があり、この続きもまた、同様であるようなので、その意味でもいままでのように1作ずつ完結のシリーズではなくなっているようだ。 

    2004-03-28 / 小川三郎

  • 探偵村野ミロシリーズと認識して読んでいたこれまでを打ち壊すように荒ぶるミロ。そんな奴じゃなかかっただろうと思いつつ、何度も作者が決めた事だからと妙な納得をしながら完結。この本を借りたすぐ近くの刑務所が出てきた時は軽く鳥肌。

  • 書いているうちに主人公、登場人物が勝手に動き出すと作家はよく言う。

    半信半疑に思っていた。作家だもの、文責ってものがあるだろう。統御できるでしょ、作家の分身ではないか、頭の中で作り出したのだろう?

    だが、私のへたな文章でも書いているうちに、最初の意図と異なる文意になっていく経験をする。あれれ、こんな風に言うつもりはなかったのに!と。

    パタンと閉じる、そこで読み終わったすぐの感想…、面白かったか、よかったか、感動したか、打ちのめされたか、暗い気分になったか、まずいものを読んだと思ったか、それはないよと叫んだか。

    みんな当たっている。が、一番印象深いのは主人公、登場人物が勝手に踊りだしたのではないかだ。作家自身も手を焼いたのでは?作家が書くのをやめられなくて、読者が読むのをやめらない、になれば成功ということ。

    場面を追って、話のすじは面白い。しかし、暗い部分が暴れている。どうしようもなく深くなっていく人間の絆の闇。ハードボイルドはかっこいいばかりではない。引きずっているものを切り捨てる苦しみをも醸す、冷ややかに。それは見苦しいとも言える現実なのだ。

    探偵村野ミロの行く末を知りたい、桐野夏生さんのファンなら一読の価値ありの本。

  • 村野ミロシリーズ、最後まで読みましたが、全然すっきりしませんでした。
    ミロの学生時代の親友を殺した男、成瀬を警察に売ったのはミロなのに、刑務所内で自殺したことを知らされなかっただけで、怒りに駆られ義理の父である村野を殺す。

    夫が自殺して心に傷を負ったと言いながら刹那的に男と寝るミロが、親友を殺した男をそうと知らず情を交わしたと言え、その死を知らさなかった義父に殺意を抱くほどに執着するのだろうか。
    いや仮に執着したとして、結局ミロが最後の男と決めたのは彼ではない。

    なんだろうこの一貫性のなさは。
    常に周囲に怒りを抱えているようなミロだが、今作に関して言えば、出来事の全てはミロが蒔いた種だ。
    刹那的、発作的、衝動的なミロの行動に、嫌悪感を感じざるを得ない。

    他の人物も、たった6年ですっかり老いてしまった村野、村野を「パパリン」と呼んでいたミロと同じ年の盲目の愛人久恵の、ヤクザにも負けないしたたかさ、昔と変わらず冷徹だが切れ味が鈍った鄭など、誰にも魅力を感じられない。
    しかし一番ショックだったのは友部の変容だ。
    多少自分勝手でも、ストイックでスタイリッシュでスマートだった友部が、今回一番ゲスだった。
    かつてミロと親友だったはずなのに、たった30万円でミロを売る。
    殺す手伝いをする。
    もうがっかりすぎて、夢に出そうだ。

    正直韓国の部分は長すぎて、ミロのシリーズに必要だったのかもわからない。
    シリーズのこの先がないことが、私にとっての救いである。

  • トモさんファンなので甘い評価です
    20170707読破

  • うわーなげえ、いやーいつ終わるんだろう、と思うのだが、後半のクライマックスに入ると、文字を読んでるだけなのに心臓がドキドキしてきたりして、ハマってる感があった。

  • ミロシリーズ完結編。ハードボイルドっぽく今まで彩ってきた登場人物たちが全て別人格になってしまったのかと思うくらい、人間の汚い、けれども分かってしまう「人間臭さ」が前面に出た作品になっている。これはこれでありかな?くらいの感想だがすこし寂しい部分もある。

  • 韓国の学生運動時の描写や、スピードでキメまくって行うセックスの描写が印象的。
    えげつないミロが最後に選んだ生き方が人間的で意外だった。
    我が街、博多の一部が登場するが、その風景がリアルなのでそこも楽しめたかな。

  • 北森鴻のタカラヅカ的格好良さの女たちよりずっとリアルに格好良い・・・と言ってしまうと世の殿方の幻想を壊してしまうのでしょうか・・・
    図太くたくましく生きる続編を期待したい。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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