グランド・フィナーレ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 808
感想 : 159
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062127936

感想・レビュー・書評

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  • 雰囲気が合わない。
    ピストルズといい、何というか口調が気に入らないというか、違和感を感じるというか。文章の調子自体は良いのだが。
    情けないことにすっと読めない漢字が多かったことが原因かもしれない。

  • ずうっと、阿部和重という作家は、「あべかずえ」であり女性だとばかり思っていた。…しかし、「あべかずしげ」の方がどう考えても一般的であろうし、男性作家であった。

    作者の性別はどうであれ―作品はとても前衛的とでも言おうか、いわゆる家族小説とはまったく違う。著者は異質の中から普通を描こうとしているようだ。

    沢見の登場は、最初は離婚に追い込まれた亭主が娘に会いたいという話なのかと思っていたけれども、話が展開する程に沢見の異常さ・狂気さが際立っていく。

  • 請求記号・913.6/Ab 資料ID・100042472
    2004年芥川賞受賞

  • なんというか不思議な行間で物語が進んでいく印象だった(文章によりいわゆる行間が埋まらず、叙事的に展開していく)。しかし高橋源一郎の解説を読んで納得させられた。人間らしくない主人公だからこそ、一番もっともらしい。

  • 芥川賞受賞作ということで手にしました。
    安部和重はデビュー当時から知っていました。いくつかの作品は読んだようなのですが、あまり覚えていないのは肌に合わなかったからかも。
    さて「グランド・フィナーレ」は、冒頭から悪夢というか幻覚を喚起される記述が続きます。しかしそのイメージがどこかで見た映像と直ぐに結びつき、脳内をかき回されるような快感に結びつきません。硬質な文体にかろうじて情念が押さえ込まれているといった風でもなく、同時多発テロやチェチェンをめぐる国家テロ、アフリカの大虐殺や少年兵の悲劇といった世界についても語られるのですが、それがロリコン主人公の過去の未成年レイプや語られなかった娘への欲情といったものを覆い隠すベールのような役割を果たしているのだとしたら、その平板さもまた仕掛けといえばそうなのだろう。が、しかし、どうもどちらの側もスカスカ感を否めない。それよりも短編「馬小屋の乙女」の全体を貫く不穏な空気、トーンには感心しました。目から鼻へと一気に抜けていく心地よさ、ラストの一点に向かって収斂していく手際が素晴らしい。
    この本の作品の中で何回も言及されている神町を舞台とした長編を次は読んでみたいですね。

  • 記念すべき芥川賞受賞作。
    父親としての愛情に満ちながらも、
    児童ポルノに手を染め、その矛盾に揺れながらも
    どうにかして、明日への道を見つけようとしていく主人公。
    情けなく、けど必死。

  • これ、買ったけど一度図書館で借りた本やった\^O^/

    ロリコンのおっさんの孤独?を描いた本。
    なんでlこのテーマなんだろう??

    切なさ・むなしさが伝わってきます。

    最後、少女たちとのふれあいが良かった。
    切ないけど。

  • 文体が長ったらしくて読み辛いかと思いましたが…

    読んでみたら結構好きな世界でした。

    作者の他の本も読んでみたい。

  • 帯「文学が、ようやく阿部和重に追いついた。」
    ロリコンばんざーい。

  • 「文学がようやく阿部和重に追いついた」という帯のコピーは明らかに誇張だと思います。

    しかし、全体的に「普通に面白かった」作品です。「普通に面白かった」という表現への考察はこの際置いといていただきたい。逆に、そうとしか表現できないくらい、読後感として何も残っていない、でもそこそこ面白かったことは覚えている、という作品です。

    物語の主題であるロリータコンプレックスへの現代病的アプローチや、タイトルに込められた隠喩的なものは面白く、主人公の心理描写も、なかなか危ういところで語り手としての均衡を保っています。また、随所に主人公を否定するキャラクタを出すことで、その異常性を際だたせてもいます。

    それなりに練られたキャラクタと構成なのに……やはり「薄っぺらい」物語と思ってしまいました。

    恐らく、後半途中からのラストへ向かっていく部分が、それまでの重層的な展開に比べると若干陳腐に見えてしまうからかもしれません。3分の2までは良かったのに、と思うと残念です。

    でも、あまり気にしなければさらっと読める作品ですので、オススメはできます、はい。

    (2006年読了)

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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