腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062129985

感想・レビュー・書評

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  • ブラックすぎる。文体も入り込みにくい感じでした。

  • 期待値が高すぎたのかもしれないけど
    どうしようってぐらいおもしろくなくて
    ページ数が少ないので頑張って読んでみたんだけど

    舞台とか映画はおもしろいんだろうか

  • ほんたにちゃん恐るべし

  • 映画も見た。
    面白かった。
    兄嫁のエピソード泣けたし笑えた。

  • お姉ちゃんは最高におもしろいよ。
    まさにそれ。
    妹も兄の嫁も最高におもしろい。

  • 自意識とか才能とか。

  • 最近注目している作家、本谷有希子。
    劇作家だが最新刊は芥川候補にもなった。

    本屋に行って一際ドロドロとした表紙、奇抜なタイトルを見て目が釘付けに。
    一瞬「エヴァンゲリオン初号機出動」に見えたほど!(それはどうだろうか)
    いつもなら冒頭だけはチェックしてから買うのだが、この本は中も開かずすぐさまレジへと駆け出した。

    三島由紀夫賞最終候補作品として話題になった作品。
    やはり劇作家だけあり、小説としての読ませ方ではないように感じる。
    舞台を小説という紙だけの空間に替えて奮闘しているが、時折覗く戯曲としての面白みみたいなものが隠しきれて居ない感じで技巧などはさほど、といった感じ。

    あらすじは「お姉ちゃんは最高におもしろいよ」と叫んで14歳の妹がしでかした恐怖の事件を軸に、自分は特別だと信じて疑わず、妹を憎み、兄をも思い通りに動かす姉、澄伽が帰ってきたことにより、再び少しずつ均衡が崩れていく、みたいな。
    他にも登場人物として兄の嫁として嫁いできた地味で垢抜けない幸薄女、待子もいる。

    まずキャラクターの設定が面白い。
    澄伽など生き生きしていて、やはり生きて動いている舞台を見たいと思うほど。
    しつこいくらいの濃ゆい情景描写は人によっては苦手な方もいるだろうが、私はそういったのが非常に好みなので読んでいて楽しかった。
    いい本を読んだな、というよりかは「楽しかった」という、アトラクションを満喫したような充足感。

    そして最後はジェットコースターに乗っているような疾走感!
    そして止まった後のあのボーッと半分魂飛んじゃったみたいな、ちょっと3歳くらい老けた気がする……みたいな気持ちが巻末の余白ページに集約されている気がして、少し笑った。
    まあ勝手な思い込みですが。


    それよりも言っていいだろうか。
    大声を出してもよかろうか。

    「お前の内面にある卑劣さなんかこんなもんじゃないだろう!! もっとあるなら出してくれ!文体なんか気にすんな!もっと滑稽な人間の姿を面白おかしく詰ってくれ!!」

    ハアハアハアハア……もう、そんな感じ。言い切った。

    意図しない所で風に運ばれてくるみたいにドロリとした何かが鼻先を擽る気がするんですが、「小説」として話を纏めなければいけないというルールに嵌ってしまった感じでまるで狭い箱の中でツイスターゲームをやってる感じがあった。(わけわからん)

    あと一つ。
    14歳の女の子、清深たんの狂気をもっと期待してた。
    もっともっと暴れてくれて良かったな、と。

    実際に舞台で公開されたシナリオは本書とは全然違ったものみたいですね。
    是非そちらが見たい! 再演を心から希望しています。

  • とにかく人物が強烈で、自分さえ持て余す彼女らがお互いにぶつかり合う、その関係の描写には途轍もない迫力がある。

  • 真実とは己の弱さに気付くことだと本谷有希子は語りかける。久しぶりにこんなにインパクトのある小説を読んだ。読後感は、はっきり申し上げて最悪である。

    とにかく悲惨なまでに不幸なのだ。舞台は鄙びた田舎。女優としての才能のなさに気付かずに、己を特別な人間だと疑わず東京へ出奔した長女「澄伽」。そんな姉をネタにして嘲笑する漫画を隠れて描き、投稿しそれがバレて姉の逆鱗に触れて以来、姉の影にひたすら怯えて暮らす妹「清深」。長女「澄伽」と孤児院出身の妻との板挟みに苦悩し続ける長男「宍道」。自分の人生には何ひとつとしていいことがないということだけを確信しているその妻「待子」。

    両親の事故死によって、東京から澄伽が帰ってきたそのときから、4人の運命が一挙に走り出す。4人がこれまで薄ぼんやりと漠然と感じていたものに直面し、ずっと耐えてきたことから耐えられなくなり、それぞれが暴発する。漠然と感じていたもの。それこそ、真実である。人間の弱さ、馬鹿馬鹿しさ、である。澄伽が発狂して、藁人形に釘を打ち込むラストシーンなど、もはやクレイジーを通り越して絶望ただ一色である。

    姉が妹の入浴中に熱湯を注ぎ込み、さらには気絶するまで妹に熱湯を飲ませるシーンや、兄が妻を言葉で体で暴力虐待するシーンなど、生々しい描写もさることながら、とにかく4人の登場人物は、悉く不幸で悲惨で最悪であるといってよい。しかし、それぞれの不幸は、実は真実から目を背けていたところに端を発していて、それ故、兄弟愛・姉妹愛だとか夫婦愛だとかいったものから限りなく遠いところに4人は立っておったのである。

    弱さゆえ、人は人を愛し、人に愛される。真実から目を逸らせて生きている腑抜けどもよ、逃げるな、そこから始めなければ本当の愛には辿り着けない。読後感は最悪だが、小説としては最高級品。

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著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本谷有希子の作品

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