光の曼陀羅 日本文学論

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (626ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062145435

作品紹介・あらすじ

折口信夫『死者の書』を起点に浮かび上がるまったく新しい日本文学の系譜、"光の曼陀羅"。埴谷雄高、稲垣足穂、武田泰淳、江戸川乱歩、南方熊楠、そして中井英夫…。此処と彼方をつなぐ文学のもつ力の本質を明らかにする画期的な評論集。折口信夫新発見資料収録。

感想・レビュー・書評

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  • 文芸評論なんてほとんど読み通したことはないのに、本作は興奮しながら読んだ。埴谷雄高、稲垣足穂、折口信夫、敬愛する作家が一直線で結ばれ、いろいろと腑に落ちるところがあった。いずれの作家も、精神と身体を分離せず、2つの極限とし、どちらもおろそかにしなかった。いわば極大と極小の問題を同等に扱った。「優雅」という言葉は、はかれらのためにあるのだろう。

  • 新潮2009年3月号書評より

  • 折口信夫はむずかしい。飛ばしながら読む。

  • 1月28日の積読本に挙げていた本ですが、俄然にわかに読みたくなったので読んでいます。

    書店で何の予備知識もなく、偶然手に取るや否や、この本と私だけがまったく異空間に瞬間移動してしまったような感じで、音もしないし先っきまでいた周りの7、8人の人が消えてしまったようで、そして頁を開いた時に眼にした埴谷雄高『死霊』そして稲垣足穂『弥勒』それから武田泰淳『司馬遷』その次は江戸川乱歩『陰獣』やがて南方熊楠『曼陀羅書簡』ついに中井英夫『虚無へ供物』の中の一節が、取りとめなくオムニバス風に次から次へと、この本を持ったままの私が無理やり挿入されて行って、果ては折口信夫『死者の書』のシーンになって、急にボーと当たりがぼやけて来て、あっという間に、気がついたら元の書店でした。

    そう、柳田國男も宮本常一も南方熊楠も、全集かそれに近いものを所有して読んできましたが、ただ折口信夫だけをそれほど読んでいませんでした。

    しかも釈迢空名義の詩集は読んでいても、肝心の『死者の書』もチラッと読み流しただけで、まるで風説の男色を嫌っているかのように一作の著作もありません。

    ということで、本書を一目見て画期的な日本文学論だという予感がして震える手で購入したのに、如何せん前述のようにただ折口信夫だけを私が欠落させているが故に、読む資格がないと判断して書棚に仕舞っておいたのです。

    そして、資格を獲得するには、読むしかないということで中公文庫の折口信夫全集32巻を仕入れて、もっか読書中でした。

    でも、去る6月20日のNHK週刊ブックレビューに著者の安藤礼二が出演インタビューで出ていたのを見て、すぐにでも読みたくなりましたので読んでいます。

    この時に知りましたが、本書は第3回大江健三郎賞と第20回伊藤整(評論部門)文学賞の2つの賞を受賞したそうです。優れた論考をちゃんと評価してもらえて少し安堵しました。

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著者プロフィール

1967年東京生まれ。文芸評論家、多摩美術大学図書館情報センター長、美術学部教授。出版社勤務を経て、2002年「神々の闘争――折口信夫論」で群像新人文学賞評論部門優秀作、2006年『神々の闘争 折口信夫論』で芸術選奨新人賞を受賞。2009年『光の曼陀羅 日本文学論』で大江健三郎賞と伊藤整文学賞を受賞。2015年『折口信夫』でサントリー学芸賞と角川財団学芸賞を受賞。その他の著書に、『大拙』『熊楠 生命と霊性』『縄文論』など、翻訳書に井筒俊彦『言語と呪術』(監訳・解説、慶應義塾大学出版会)がある。

「2023年 『井筒俊彦 起源の哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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