この国を作り変えよう 日本を再生させる10の提言 (講談社BIZ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062150521

感想・レビュー・書評

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  • 著者が好き

  •  感動した。涙が出そうだ。<b>全ての日本人が読むべき本だと言いたい。</b>

     著者紹介
     松本 大氏   :東大法→ソロモン→GS→数十億の報酬を捨て、起業→マネックス(講演で2回ほど話を聞いたことがある、とても聡明な方だと感じた。)
     冨山 和彦氏 :東大法、司法試験合格、スタンフォードMBA→BCG→CDI設立→産業再生機構→経営共創基盤設立
     と表面的なところだけ見ても、華々しい。といっても恐らくこれは当時のエリートコースではないはず。当時は、東大法なら官僚か司法に行く人間が多かったと思う。著者のアウトローな一面を感じる。

     僕は、2つの点で感動した。1つ目はその内容のすばらしさ。2つ目はお二人のような、華々しい経歴で、もう守りに入ってもいいような方が、この国の既得権益層に対してものを申すという、恐らくは立場上言いにくいことを言う勇気に。若手の政治家や官僚だってきっとこう思っている人は多いはず。

     全部を理解できたわけではないが、共感した箇所をいくつか引用しながら、感じたことを書いていきたい。(<i>引用は斜体</i>)

     <i>『構造改革で規制を緩和すれば、旧来の社会の仕組みの中で既得権を得ていた人たちは、その既得権を手放さなければなりません。彼らはそれが嫌なのです。せっかく手にした利益をにぎったままなんとか逃げ切りを図りたいという人たちが、自分たちの牙城に侵攻してくる可能性の出てきた新興勢力を牽制するために品格という言葉を使っている、それが、いまの品格ブームの正体だと私は見ています』</i>
     まったくその通りだと思う。新興勢力を叩き潰すのではなく、次の世代が進んでいけるように道を整備し、空けてあげるべきだろう。新興勢力が荒削りであるならそれを大人らしく諭してあげるべきだろう、それが品格ある大人の振る舞いではないだろうか。既得権益にしがみつく姿に品格なんて微塵も感じられない。
     これは外資に対してもそう。外資はハゲタカ、買収されるのはイヤなんて議論が幼稚すぎる。そんなこと言うなら、日本のグローバルカンパニーはどうなるの?現地の企業を買収したりするじゃん。その土地で雇用を生み出し、利益を上げてくれるなら、社会貢献してくれるなら、誰がトップだって構わない。

     <i>『上が詰まっているので、日本の場合は準教授を探すと、意外に優秀な人に当たります。』</i>
     同感。といっても自分の研究科の狭い範囲だけだが。準教授や助教の方が、指導も熱心だし、新しい研究にトライしていると感じる。教授が名誉職みたいになっているのが問題なんだろうなと思う。教授も研究成果が出なかったら降格とかすればいいのに。優秀だから教授になれたと自負するのなら有期雇用でも良いと思う。なんで助教、準教授だけ任期制なの?

     <i>『団塊の世代の人には申し訳ないのですが、若者よりも団塊の世代のほうが、個としては絶対に脆弱です。彼らの成功体験というのは、いってみれば組織に埋没することでうまくいくモデルを通じてのものだったのです。逆に、自立力を鍛える機会というのはあまりなかったのでしょう。』</i>
     こんなこと、息子ほどの年齢の僕が言ったら烈火の如く怒り狂うだろうが、残念ながらそうだと思う。組織の中って従順であれば、結構何も考える必要ないと思う。当時はそれで上手くいっていたのだから、そうなるのは当たり前というば当たり前。

     <i>『日本の人口はインフラの整備された都市部に集中させ、地方は自然に戻せばいいのです。いまそこに住んでいる人の不便や不都合だけをセンチメンタルに取り上げて報道するだけでは、地方の問題は解決しません。』</i>
     同感、これは一つのタブーなのかも。僕の故郷も相当な田舎で人口もどんどん減っている。申し訳ないが、自分の生まれ育った土地に固執する少数の人のためにいろんな公共サービスを平等に提供するのは非効率だ。こんなこと政治家は口が裂けても言えないんだろうな。だって票が減るから。昔これを親に言ったら、めちゃくちゃ怒られた、人として間違っているみたいな感じで。じゃあ、この過疎ってる不便な土地に若者を縛り付けるのか?田舎は良いみたいな幻想があるけど、田舎って実は給料安いのに、食品とか東京より高いし、車とか必要だしと結構お金かかる。特に僕のところなんかは、ガソリンも高いし、そのせいで色々と輸送費分割高になっているし。そこで地域のために働けというの?

     まだまだたくさんあるけど、というか全ページについて感想を書けるくらい、でもとりあえずこれぐらいで。とにかくこの本は、今の既得権益層が如何にこの国をダメにしているか、それを真正面から堂々と言っている。なんと希望に満ちた本だろうか。<b>一人でも多くの人がこの本を手に取ることを願う。</b>それにしても表紙の写真、松本氏、目が怖すぎる。逆に冨山氏は、なんかクリッとして可愛らしい。

     駆け足で読んだので、また読み直そう。何度も読み直そう。

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著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤(IGPI)グループ会長
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。2020年10月より現職。日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長、パナソニック社外取締役、経済同友会政策審議委員会委員長。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、国土交通省インフラメンテナンス国民会議議長、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)、『コロナショック・サバイバル』『コーポレート・トランスフォーメーション』(いずれも文藝春秋)などがある。

「2022年 『両利きの経営(増補改訂版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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