モダンタイムス (Morning NOVELS)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 8416
感想 : 1070
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  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062150736

作品紹介・あらすじ

漫画週刊誌「モーニング」で連載された伊坂作品最長1200枚。

感想・レビュー・書評

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  • キャラが立ってるのは良いよね、やっぱり。今回はカミさんがね。名前は渋いけど、考え方も行動もなかなか素晴らしく、惚れた、というのは嘘かもしれんけど、まぁ他人事ならね。
    そして猛さんといい。この暴力コンビは際立ってるし、大体においてこの作者の話はけっこう暴力というか残虐さが目立ってるような気もするけど語り口がなんかそれをオブラートで包むというかスルッと読めるしやっぱ良いんだけど、今回はシステムがどうとか、説教臭いというかぼくらの七日間戦争かっていう青臭さが鼻につくというかうざい感じもありつつも最終的にはそれも含めて楽しんだかいな。

  • さすがとしか言いようがない。主人公の処遇が良いとはお世辞にも言えないため、主人公に感情移入するタイプの読み手はしんどくなるかもしれない。私は主人公に感情移入しがちなので心を休め休め読んだが、つらくても読むのをやめようとは思わなかった。

    それだけ読者を引き込む作品の力が凄まじかった。

    閉塞的な現代社会に生きる我々はシステムに守られているが、システムに守られ、順応している間、システムを意識するようなことはあまりないと思う。しかし、いちどシステムに違和感を持ち、世界にとっての異分子になってしまった瞬間、世界は我々に容赦なく牙をむくだろう。現実において声を上げぬ市民でいることの危機感をひしひしと感じさせられた。
    読後から5年経つが非常に記憶に残っている作品。

  • そのうち読もうと思っていたものをたまたま図書館で見つけたので読んだ。
    「魔王」を読んでから、干支が一周するくらい間が空いているので、前作のことは断片的にしか覚えてなかったけどちゃんと楽しめた。
    分厚い本だったけど、漫画を読むくらいスラスラ読めるので、休日に一気に読み進めつつ、平日もちょろちょろ読んで、10日くらいで読め終えたと思う。
    モーニングで連載していたということで、モーニング作家の花沢健吾の挿絵がついていた。花沢健吾自体は「ボーイズ・オン・ザ・ラン」も「アイアムアヒーロー」も好きなのだが、この作品を読むに当たっては不要だったように思う。こちらとの解釈違いも多かったので。小説の人物や景色って読者が勝手に補完しながら読んでいる部分が多いので、絵や映像に表そうとするとどうしてもずれちゃうよね。

  • 国家の裏側に積極的に巻き込まれてゆく主人公、渡辺拓海の話。

    仕組み化が推奨されている時代に、「そうなっているから」で済ませてしまうことの是非を考えさせられる小説だった。
    これはフィクションではあるが、国家や会社などあらゆる組織において似た趣旨のことは起こり得ると感じた。

    時折り引用される“名言”にハッとさせられることが多かった。
    また奥さんの佳代子、後輩社員の大石、作家の井坂好太郎などキャラクター1人1人が魅力的に映った。

  • ダークな世界観の今作においても、伊坂幸太郎氏独特のユーモアを感じられました。
    “人生は要約できない”、良い言葉だと思います。経歴だけからは読み解けない、自分らしさを大事にしていきたいですね。

  • 事実は一つだが真実は人の数だけある。
    実際に小説の中のようなことが行われていると考えてもあながち間違いではないと思う。
    自分の人生、大きな目的のために生きることはできないが小さな目的のために行動しようと思った。

  • またまたゴールデンタイムラバー的な、政府から監視され、追い込まれる一般市民の話。
    主人公の奥さんのキャラクターと、井坂の特徴的なキャラがお洒落で愉快。
    下巻も凄く楽しみ。
    逃避行よりも謎を追うのは心にゆとりが持てて気持ちはキープできてる。
    あと、暗殺者は本当に好きだなこの作者。
    セリフの一捻りしてるところも格好から、こういう言葉使い出来るようになりたい。

    下巻
    主人公は恐妻家の渡辺拓海。
    名前が思い出せないので検索した。
    俺は登場人物を忘れるのか覚えないのか、とにかく抜けるから困る。
    奥さんは佳代子。

    まさかの魔王繋がりでビビった。
    サンデーのあの作品読んでて良かった反面、なにも知らないで読むのも良かったかもしれない。
    スターシステムなのかもしれないけど、コレはいい具合に繋がっててよい。
    嫁さんが凄くいいキャラしてた。
    全体の集合意識的なものにより抗えない感じは変わらないけども、我々の人生は大きな出来事には思ったよりも意味がなく、日々の小さな積み重ねが意義有ることなのは頷けた。
    主人公の能力が腹話術なのはワロタ。
    主人公の意識がリアルから逸脱して描写されるところはいつ覚醒するんだ!ってかんじでしつこかった。いい意味で。

    勇気は持ってるか?という問いに頷く事は普通の人には出来ないが、実は持ってるか、その状況に出くわしたら持たざる得ないのだろうな、と思った。

    井坂はなかなかユニークだけど、死んでから美化され過ぎいや、もともと良い奴だったのだろう。作者は名前考えるの面倒ということで命名したらしいが、恥ずかしくないんだろーか?

  • 魔王のつづき?

  • この作品が刊行されたころはスマホもまだなくそれほどネット社会の問題が浮き彫りにされていなかったと思う。テーマはネットにおける監視社会。ディストピア的な雰囲気はあるけれど、コミカルな会話など読んでいて楽しい。あいかわらず伊坂さんの作品はエンタメ性に優れていると思う。

  • 自宅のマンションで浮気を疑われて拷問を受けそうになるところから始まる。
    それを発端に主人公渡辺の周りで不可解で不気味なことばかり起きる。

    「魔王」から50年後の物語。
    「魔王」を読んでいたので、その中でモヤモヤしていた「お金の使い方」だけは、解決した。
    今回もいろいろ謎が散りばめられていて、読みながらハラハラドキドキしっぱなし。
    夜に1人で読んでいたら怖いくらいだった。
    不可解な事件の原因は一応解明するものの、「そういうもの」として謎のままの事も。

    例えば桜井ゆかりの行動や妻が本当はいったい何者なのか?

    結局前作の主人公の最期については想像はできるものの、解明はしなかった。

    そして、前作では不思議な力の呼称について明言していなかったけれど、今回は「超能力」とはっきり言っちゃってる。
    言っちゃってるけど、それでもまだ「信じられるほうを信じればいい」って、「信じるか信じないかはあなた次第です」というスタンスなのが面白かった。

    本作の中でクセのある井坂好太郎という作家がでてくる。
    あとがきで作者も言っているけれど、「名前を考えるのが面倒だった」という理由でこの名前。
    理由が面白すぎて、もっと活躍して欲しかった。

    本作は前作の50年後なので、時系列的に「魔王」以外の他の作品との繋がりはないんじゃないかなぁと思う。

    作中に何度も登場する「幻魔対策」。私も子供頃に見た。なんだか怖くて忘れられない名作。

    全体としてもう少し謎解きがあって欲しかったけれど、それでも十分に面白い!

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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