八ヶ岳倶楽部2 それからの森

著者 :
  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062156141

感想・レビュー・書評

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  • ご存知、俳優であり、日本野鳥の会の会長もつとめている柳生博氏。
    氏による『森と暮らす、森に学ぶ』に続く第2弾。前作では、主として八ヶ岳に移り住むことを決心し、八ヶ岳に居をかまえ、生活をしていくまでの経緯や林を本来のあるべき姿に戻していくまでの過程などが紹介されている。
    本書は、その続編として書き綴られており、その後、八ヶ岳倶楽部を設立し、現在に至るまでの状況、林の生長の状況、また八ヶ岳で育ち、今や氏を大きく支える重要な存在になっているご子息やお孫さん達、八ヶ岳倶楽部を支えるスタッフ、そして今後の八ヶ岳生活について綴られている。
    前作同様、「あとがき」はお孫さんが執筆担当、というのも、何だかほんわかと温かな気持ちさせられます。

  • ウッドデッキへの情熱だけ拝領

  • すごく癒される本でありました。
    そう、人がいたわりを持って育んだ
    「森」だからたくさんの生物が心地よく暮らしています。
    こういうのは人工林にはないもの。
    なぜならば、画一化されているから。

    そして「エコ」についても
    部分的に警鐘を促しています。
    そう、商業としての「エコ」にね。
    ただし、環境保全のためのそれは
    批判はしていません。

    しかし、前の作品とは
    ずいぶん変わりましたね。
    もちろんあとがきもです。
    最後のある場所に注目。
    「あれ?」と思うはずです。

  •  強く主張するわけでもなく、都会的生活を否定するわけでもなく、ただただ自然の中の暮らしの素晴らしさを語っている。自然との共生。憧れる人が多く、柳生さんの著書に感銘を受けて八ヶ岳倶楽部を訪ねる方々がとても沢山いるそうだ。年配の方がほとんどかと思ったら、若い方も多く、特に都会生活で落ち込んだり、傷ついた若者がスタッフとして働きたいとやってくることも多いそうだ。それに、芸術家の方々や工芸作家の方々。作品を展示するスペースを貸してほしいとやってきたそうだ。少しだけ作品の写真があったが、とても魅力的な作品が多く、見てみたい、手に入れたいという気持ちが湧くほどだった。柳生さんもそんな素晴らしさを感じたなら、場所を提供し、やがては専用のギャラリーにしていったとのことだった。そんなこんなの?がりで多くの作家と知り合うことができたそうだ。森に暮らしはじめたら、新たな人との出会いがあった。人が密集している都会では近所付き合いが希薄なのに、人口の少ない、それも森の生活なのに多くの人々とめぐり合うという不思議。自然との共存、共生が、人の共感を得て人を呼び、人との結びつきを強くする。生きるということの原点を振り返る。もう一度考え直す。やがては、生きる力が強くなる。そういうことかもしれないと感じた。ただし、自然は厳しい。当然、重労働も強いられる。雪も降る。寒くても、雪かきをしなければならない。だから、安易な気持ちで憧れを実現しようとするのは危険だ。柳生さんもそのあたりのことはくれぐれも慎重にと書いていた。柳生さんの場合は、俳優という仕事がら都心の家もあり、いわば二重生活だからうまくいっているところもあるのかもしれない。知名度の高い俳優であることにより、金銭面、認知度など、すべてが良い方向に導いてくれたのか。奥様の理解が得られたのも幸運で、その奥様に熱意を持って取り組める仕事を提供できたのは最高のプレゼントになったのではないだろうか。さらに、園芸家となった息子さんが一緒に居てくれていることも、大きな成功要因のひとつだろう。一般人はなかなか真似できないだろうが、理想と思える羨ましい生活の一形態ではある。

  • 八ヶ岳の荒れ果てた人工林に手を入れ、雑木林に作りかえてきた著者。それだけでもすごいと思うが、始めたのが今から20年以上も前であること、その土地に本来生えている樹種だけを選んだことなどを考えると、これはたいへんな見識であると言わざるを得ない。これはその活動を紹介した作品の続編である。当の八ヶ岳倶楽部で買って、サインも入れてもらってきた。
    雑木林を支えるのは、八ヶ岳倶楽部のスタッフたちだ。彼らは「環境とは、自然とは」という話し方はしない。ただ、目の前の雑木林にめぐり来る季節のこと、生きもののこと、植物のことを話すだけである…というくだりに、思わずひざを打ってしまった。いや、本当に打ったわけではないのだが、この一文のためだけでも本書を買った甲斐がある。子どもが環境だ、エコだ、と口にするときに感じる違和感の正体がわかって、目の覚めるようなキモチだ。「環境」に限らず、子どもの周りには概念的な言葉があふれている。アニメソング(←学校で習ってくる。そのこと自体ガッカリ)に、勇気・友情・正義と言った言葉があふれていることを、以前からとてもイヤだなあと思っていたのだ。もっとも、概念的な言葉があふれているのは子どもの周りだけではない。人はつい、わかったつもりでいることをもっともらしく話してしまう。自分が実感として知っていることだけを、地に足のついた言葉で語る、もしくは行動であらわすということの大切さをしみじみと感じた。

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著者プロフィール

1937年1月7日、茨城県生まれ。2004年に日本野鳥の会会長に就任。八ヶ岳でギャラリー&レストラン「八ヶ岳倶楽部」を経営。敷地内には多様な広葉樹が茂り、広大な雑木林を形成している。俳優としてテレビドラマ『飛び出せ!青春』『われら青春!』『やすらぎの刻~道』、映画『ミンボーの女』『静かな生活』など出演多数。そのほか『100万円クイズハンター』での司会や、『生き物地球紀行』のナレーションでもマルチに活躍した。2022年4月16日に老衰で死亡。享年85。



「2022年 『森に暮らし、鳥になった人。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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