ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062157612

作品紹介・あらすじ

"30歳"という岐路の年齢に立つ、かつて幼馴染だった二人の女性。都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。あの"殺人事件"が起こるまでは…。辻村深月が29歳の"いま"だからこそ描く、感動の長編書き下ろし作品。

感想・レビュー・書評

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  • 387ページ
    1600円
    4月7日〜4月8日

    読み始めは、謎が多すぎてなかなか進まなかった。チエミがなぜ母を殺したのか、みずほは何を抱えているのか、輪郭がつかめた頃からサクサク進んだ。社会の中で女性が生きる難しさやしたたかさがうまく描かれていた。タイトルの『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』の意味を考えながら読み、最後にわかった時に、これをタイトルする私には考えもつかないセンスに感心した。

  • さすが辻村深月さん。…湊かなえさんのような作風にも思えた。どちらにしろ、すごい話だった。

    読むきっかけはNHKでのドラマ化が流れた話を聞いたこと。辻村さんの本はすごく好きなので、その守りたかった原作の世界観をしりたかった。
    NHKが、どんな風に変えたのかわからない。でも、原作の中で変えて良いところは何一つなかった。それを必死に守ってくれた辻村さんに読者として感謝したい。

    母と娘はすごく複雑だ。
    娘は母にあまりにも影響を強く受け過ぎてしまうし、母は娘をあまりにも同一視し過ぎてしまうように思える。母と娘の話であり、女友達の関係の話でもあった
    全く毛色の違う格差があるかのような親友。全く毛色の違う親子関係。
    なぜ母を殺したのは私じゃなくて彼女なの?なぜ殺されたのは私の母じゃなくて彼女の母なの?
    完璧なみずほには暗い子ども時代の母にまつわる記憶が付き纏う。

    題名の意味。そこに気づいたのは、ずっとチエミ親子に憧れていたみずほだからこそだったんだな。

    見下して良いと勘違いされてしまう人、時々いる。みんなが当たり前のようにその人を蔑ろにしたり見下している。
    でも、そんなチエミをみずほは好きで、チエミもみずほが好きだったんだな。

    翠ちゃんがいて、本当に良かった。

  • 歪んだ親子関係。結婚観。女性同士の微妙な関係。女性の自立。
    最後はなんとなく分かったけど、人との繋がり、関係がどう収まっていくのか気になった。共感は出来ないけど、心理描写が細かく、あぁなるほどなって感じ。

    みずほは、なんだかんだ頭がよくて、幼少期の出来事は可哀想だけど恵まれてる。それでいて劣等感を感じたり、無意識に人を上から見てたり。

    唐突に出てきた翠ちゃんが好き。好きだと思わせるような書き方をされている?!
    ほかの登場人物は、いいとことクセの強いとこと両面描写されているからどうしても引っかかる。

    あ、それでも、政美も好きかも。みんなに声かけて合コンして、自分にラベル付けて絶交とか平気で口に出しても面倒でもまた声を掛ける。結婚は、思っていたのと違ったかもだけど、頑張っている片鱗が見える。

    及川ありさちゃんは、強いな。可愛いのにカッコいい。さりげなくお洒落だったり頭の回転が速くてきちんと言葉に出来る。ただ、若くて自分が恵まれすぎてて共感力が低いのかな。

    娘の限界を決めたのは親。それは、この本の中ではそうなのかな。確かに現実的に財力問題があるので限界はある。でも、今は情報の溢れる時代で、成長するにつれ自分で考えて情報を選択し、今の環境でもよりよく進む方法を探すことも出来る。
    でも、小さい頃から洗脳されるように行動を起こすことすら選択肢になかったら厳しいのかな。

  • 自分は誰のものだろう

  • 図書館本。たまたま返却コーナーにあるのを見つけて。
    すごく面白かった!

    妙齢の女の人間関係と細かい心理描写が、さすが辻村さん。マウント取ったり、思ったこと言わなかったり、一線引いたり、干渉したり。
    わかるー…と気持ちが重たくなりました。笑




  • 「普通の家族」は一般論であり、普通なんてどこにも存在しないのに、良くも悪くも多くの人が理想として追いかける。田舎ならではの窮屈感。私も田舎生まれなのでよく分かる。田舎の女にとって大事なのは、学歴でも仕事でもなく、周りの目。
    結婚してないから未熟と思われる。それが当たり前で回ってる世界がある。
    タイトルの意味がわかった瞬間の鳥肌。これぞ読書の醍醐味。

  • 『傲慢と善良』同様、こじらせた女子を描くのが辻村さんは上手すぎる。

  • 後半のチエミ目線のところがサクサクと読み進められた。翠との関わり合いのところが感動した。

  • 母親を刺して逃げているチエミを、幼馴染でライターのみずほが、友人たちに話しを聞きながら探す。
    仲の良い家族だと思っていたチエミと母になにがあったのか…
    田舎の町で、しあわせになることを期待してもがいているチエミと、田舎の町から飛び出し、いい旦那を見つけてライターという華やかな仕事をもつみずほ。
    みずほがチエミを探すのはただあの家族になにがあったか知りたいそれだけしかなかったのか、少しでもチエミのことを思っていたのか…
    救われたのはチエミが逃亡中に出会った翠の存在だけ。

  • 中盤まで“傲慢と善良”を読んでいるかのような感じがした。
    女子と言うか人間の内面?心理描写は、本当にすごい。リアルすぎて怖いし、読みすすめるのがちょいしんどかった。
    後半、翠ちゃんの登場あたりから読書ペースがあがった。翠ちゃんに癒されつつ物語が目が離せない展開に。
    人間関係は難しい。親子関係も。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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