画集 赤羽末吉の絵本

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 53
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062162418

作品紹介・あらすじ

50歳でデビューし、80歳で亡くなるまでに90冊の名作絵本を生み出した絵本界の巨人・赤羽末吉。その二百数十点の絵本原画をはじめ、スケッチや写真、習作、詳細なダミーなど、初公開資料を多数収録。絵本づくりの神髄がわかる決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 特別展 生誕111年 赤羽末吉展 スーホの草原にかける虹 | 教文館ナルニア国
    https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/akaba-suekichi

    『画集 赤羽末吉の絵本』(赤羽 末吉)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000186008

  • 赤羽末吉さんの名前は知らずとも、この本をめくってすぐ「あ!この絵の絵本、読んだことある!」と思う人は、多いのではないでしょうか。

    わたしが「赤羽末吉さんの絵が好きだな」とはっきり自覚したのは、オトナになってからです。
    子どもが生まれ、絵本をいろいろ読むなかで、子どものときを逃すと昔話と接する機会がガクンと減ってしまうことに気がつきました。

    自然のなかで暮らしていた日本古来の暮らし、そしてそこから生まれた昔話を、子どもたちにも味わってほしい。
    その気持ちにぴったりと寄り添ってくれたのが、赤羽末吉さんの絵です。

    「画集 赤羽末吉の絵本」には、赤羽末吉さんの生い立ちや、生涯にわたって描かれた絵本のための絵が生み出される様子が、穏やかにかかれています。
    ゆっくりゆっくり、1ページずつ、絵を味わっていると、いつの間にか、まるで美術館にいるような感覚的になっていました。

    生い立ちを読んでいてびっくりしたのですが、最初の作品「かさじぞう」(瀬田貞二・再話)を発表したのは、赤羽末吉さんが50歳のときであること、そして1年ほど日本画の手ほどきを受けた以外は、独学で絵を描かれていたことです。

    そんな道を経て生まれた赤羽末吉さんの絵が、どうしてこんなにも心に残るのか。

    「私は子どもに、日本の風景をみせたいのだ。」(119ページより引用)

    それはこの信念が、50歳から生涯を閉じるまで赤羽さんのど真ん中に、まったくブレずにあったからなんだ、と、痛感しました。

    考えてみれば、やなせたかしさんも、水木しげるさんも、その名が世間に知れ渡るようになったのは、中年をすぎてのことです。
    そんな彼らが、なぜ花開いたのか。

    それは自分のやりたいこと、伝えたいことをしっかりと自分の根っこに持っていたからです。
    そしてその信念にもとづいて、歩き続けることをやめなかったからです。

    「画集 赤羽末吉の絵本」を読み終わったとき、「どうだい?わたしの見せたかった日本の風景、伝わったかな?」「あなたの中にある自分の道の根っこを、じっくり掘り出してごらん。」「遅すぎるなんてことは、人生にはないんだよ」と、赤羽さんから言われた気がしました。

    • nejidonさん
      148センチの日常@koyukiusagiさん 、こんにちは(^^♪
      良いレビューですね!
      赤羽さんの本は幼児から大人まで読めますし、全...
      148センチの日常@koyukiusagiさん 、こんにちは(^^♪
      良いレビューですね!
      赤羽さんの本は幼児から大人まで読めますし、全ての季節に対応できるし、本当にお薦めです。
      お話会の中で、一番読んだのが赤羽さんの本かもしれません。
      日本人で初めて国際アンデルセン賞を受賞された方でもあります。
      新しいスタイルの絵本は、面白くてもすぐ飽きます。赤羽さん、大好きです!
      なかなかこういったことを言ってくださる方が少なくて、嬉しくなりました。
      ありがとうございます。
      2020/04/09
    • こゆきうさぎ148さん
      nejidonさん
      うれしいコメント、ありがとうございます!
      お話会で赤羽さんに出会えた方々は、とても貴重な出会いができて、いいなと思いまし...
      nejidonさん
      うれしいコメント、ありがとうございます!
      お話会で赤羽さんに出会えた方々は、とても貴重な出会いができて、いいなと思いました。
      画集を読んでみて、わたしが知っていた赤羽さんの絵本はほんの一部にすぎなかったことを知りました。
      また、月刊「こどものとも」から単行本化する際に、再構成・作画されているものもあると知り、信念のための手間暇を惜しまない姿勢に、感銘を受けました。
      そんなつよい想いのつまった絵本だからこそ、今でも古びれることなく、輝いているのですね。
      たくさんの人にこれからも赤羽さんの絵本が読み継がれていってほしいなと思います。
      2020/04/09
  • 「スーホーの白い馬」で知られる赤羽末吉さんは、アメリカ大使館勤めをしながら50歳を過ぎてから絵本作家になった。戦時中に住んでいた大陸の風景と戦後の湿った日本の風景が合わさってあのような画風になったそうである。今一度赤羽さんの絵本を読み直したい。

  • 日本の風土の美しさを「湿度」と捉え、その簡素な美しさを墨と和紙で表現した「かさじぞう」…15年間暮らしたモンゴルの乾いた大地を再現した「スーホの白い馬」…たくさんの素晴らしい絵本を世に残した赤羽末吉さん。「大衆性と格調の高さを両立させたい」と取り組む作品はどれも空気まで描いたように美しい。この本には赤羽さんが手掛けた数々の作品の他に、雪国のスケッチやたくさんの習作、ダミーが掲載されています。一冊の絵本ができるまで…その仕事に対する姿勢に脱帽です。赤羽末吉展をじっくりお家で楽しめる一冊です。絵本を読んでみたくなります。

  • 赤羽末吉さんの絵がすてきだなぁ、と思っていたので、購入。

    絵本とその絵本にまつわる赤羽さんのコメント、赤羽さんの絵本の作り方、知人による赤羽さんエピソード、著作リスト、年譜。

    なんで突然『スーホの白い馬』だったんだろう?という疑問が解決。
    赤羽さんは、若い頃満州で暮らしていて、戦後帰国してからはアメリカ大使館に勤めるかたわら、50歳で初めての絵本「こどものとも」1961年1月号『かさじぞう』を発表したのだという。
    茂田井武さんの『セロひきのゴーシュ』を読んだことがある。
    赤羽さんに絵本を描く決心をさせた作だったとは……良かったけれど、それほどいい絵だったのか、と、素人考え。
    絵本の設計図が、音楽や文学のよう。
    赤羽さんの目指したのは、「深く高く強くやさしく」(《鳥毛立女屏風》とりげだちおんなびょうぶ、樹下美人図/正倉院)。
    それをきわめたのだと思う。
    子どもに日本の美しさを届けたいと思う気持ちが、たまらなく、いい。

    「日本の子どもに、色の少ない簡素な美しさを知ってほしい」(かさじぞう 1961年)
    「私は子どもに、日本の風景がみせたいのだ。」(そら、にげろ 1978年)

  • 赤羽さんの全作品を読み返したくなる。

  • 良かった。
    絵の中から日本の良さが滲み出ている感じした。

    後書きの様に

    父の声
    赤羽茂乃

    の文章が書かれている。
    三男 研三の奥さんの様だ。

    この文章の中で赤羽末吉の人間性が垣間見える。

    最後に義父の汗をタオルで拭うと、
    「ありがとう」と言ってくれた。
    その後大量吐血し他界したとある。

    三男の嫁が父の最期の言葉を聴き、看取った。
    と言う茂乃さんの熱い物を感じ取ることができる。

    本書で、赤羽末吉の言う人を知った様な気がする。
    絵本シリーズを復活させようと思った次第。

  • 資料番号:011195146
    請求記号:726.6ア

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著者プロフィール

赤羽末吉 1910年東京に生まれた。1959年、日本童画会展で茂田井賞受賞。1965年、『ももたろう』(福音館書店)、『白いりゅう黒いりゅう』(岩波書店)、1968年、『スーホの白い馬』(福音館書店)で、それぞれサンケイ児童出版文化賞。1973年、講談社出版文化賞。1975年、小学館絵画賞と国際アンデルセン賞特別賞、またブルックリン美術館絵本賞。1980年、それまでの絵本の業績に対して、国際アンデルセン賞画家賞を受賞。1982年には、東ドイツのライプチッヒ国際図書デザイン展で教育大臣賞および金メダル賞受賞。1983年にはイギリスのダイヤモンド・パーソナリティ賞を受賞した。ほかに『つるにょうぼう』『したきりすずめ』(福音館書店)、『源平絵巻物語・全十巻』『絵本よもやま話』(偕成社)などがある。1990年没。

「2020年 『おへそがえる・ごんセット(3冊)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

赤羽末吉の作品

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