砂漠の悪魔

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 514
感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062164542

感想・レビュー・書評

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  • 「お前はそんなことをするべきじゃなかった。だが、そいつだって、そんなことで死ぬべきじゃなかったんだ。大事に思ってくれる家族がいるならなおさらだ」雅之に言われてしまえば、元も子もないが、きっとそうだろう。

    逃避行のきっかけを忘れるくらいの衝撃が最後に。中国は何をしたいのでしょうね。
    新疆ウイグル自治区の問題は、かねてからニュースになっていたが、大きく取り扱われることが少なかったような気がする。そして、知らないうちに、…。私たちはどう対応すればよいのでしょうか。

    砂漠に悪魔がいるように、日本にも悪魔がいた。「僕は退屈してただけなんだ」広太のつぶやきは、きっと、今の誰にでも共通のことでしょう。そして、あてどもない、漠然とした閉塞感がやがて本物となり、将来のない衰退への道に繋がっていく。死にはしないが、生きる希望もない、と。

  • 読者が置いてきぼりにされた感がある。
    夏樹の死からいきなりヤクザが出たり、中国に行ったりしない。

  • 何か事件が起きて謎解きをするタイプの話ではなかった。東京から北京へ、北京からカシュガルまで、ロードムービー的な話の進行で一気に読んでしまった。
    タイトルの意味は途中で分かる人には分かるのかも。私は全然気づかなかった。

  • ずいぶん昔の近藤さんの作品。
    冒頭でいきなり主人公の親友が自殺するところからスタート。
    あいかわらず、簡単な理由で人が死ぬなあ・・と思いながら読み進めていきましたが、途中からすっごい面白くなった。
    舞台はなんと中国へ。北京からどんどん奥地へ。ついにカシュガルまで。
    登場人物全員後ろ暗くて、ダークな空気感だけど、でも一方で沢木さんの「深夜特急」と矢作さんの「ららら科学の子」を足して2で割ったような展開にワクワク。
    中国奥地の列車旅、現実には自分は絶対耐えられないと思うけど、想像するのは楽しいし、砂漠をジープで走るなんて超クール!と思ったら突然「悪魔」のラストが・・。
    悪魔ってそういうことでしたか・・。
    近藤さんって、人のダークな一面を描く作家さんだと思っていたので、ちょっと意外。
    チベットのダライ・ラマも結局亡命したままだし、いろいろある国だなあ、中国。
    ウイグル族の話は、自分が勉強不足でこれまであまり知らなかったので、もっと知りたいと思った。

  • 友人を陥れた男の中国逃避行。友人の死で始まり、ある意味物語は淡々と進み、最後にまた友人の死で閉じる。もう少し主人公自らが起こす行動を見たかった気がしますね

  • 小さな悪意から友人を自殺させてしまった主人公。
    贖罪というよりも、現状から逃げ回っている主人公。
    どのような形で自らと向き合い、心の平安を取り戻すのか?と、期待してどんどん読み進めたけれど…。

    あまりに突拍子もない結末で、肩透かしをされたよう。
    これが小説なのかもね。

  • 最初はミステリー的な話かとも思えきや、壮大なる展開へと。ハードボイルドだなぁ。とてもありえないけど。

  • スタート地点と着地した場所の違いにただただ衝撃を受けた。

    中部から後半部分のウイグル族、核実験問題をおもに描きたかったんだろうなぁ、というのが伝わりました。
    彼の犯した罪と中国との問題が、ちぐはぐな感じで最後までなじまなかった所に違和感が残ったけど、結末が気になって最後まで読ませる感じは凄かった!
    ラストも凄かった。

  • 気まぐれの悪意から親友を死なせたことで人生が変わってしまった大学生。ちょっと前までは平凡で退屈な日常だったのに、どんどん追いつめられて流れ着いた中国の果てで彼が遭遇したものは…
    実に苦くて鬱々とした気持ちになる話で辛かったが、ストーリー展開はぶっ飛んでいてすごかった。

  • 傲慢で鼻持ちならない大学生の主人公の悪意によって、友達が自殺してしまう。グダグダとあの時に戻れたらとかやり直せたならとか、過去を後悔してばかりいた主人公。そんな日々のぬくぬくした悩みは、本物の悪魔、砂漠の悪魔によってこっぱ微塵に葬りさられる。最後の数ページは驚愕!

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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