人間小唄 (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
3.13
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本棚登録 : 506
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062165884

作品紹介・あらすじ

「情熱だよ。やむにやまれぬ情熱だよ」。こんな小説、ほかの誰にも書けない。パンク純文学作家が放つ、空前絶後の書き下ろし長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • す、すごい。何を書いているのかさっぱり分からない所も多々あったのにスラスラと読めました。こういった所が文章力などと言われるのでしょうか。
    話の筋自体はそこまで難しくありません。最後まで読むと何が正解で何が間違いだったのか分からなくなります。ただただ、正解も間違いもなかったんだろうなと。

  • パンクしてる
    カオスすぎ
    これ本なの、てか文字なのこれ
    心地いいリズムで気持ち悪いみたいな
    いやどうなるのこれみたいな
    読み終えられるのか心配になったけど、読み終えられなかったらなんかこいつに負けたの?みたいになりそうで、気合いで読んでやったわまじで。なんかイライラしてきたわ。綺麗な文章とは?ってそんなの考えたこともあった。今まで読んだ本の中で1番笑った。

  • 暴力的なだけであまり面白くない。壊れた文章は面白いがもっと全編これで行けばいいのに。中途半端かな。

  • 過去読了分
    なんと、読んでいて心地の良い音だろうか。文章のリズムに虜になる。

  • とても面白い。
    初町田作品で、はっきり言ってびっくりしている。勢いがあって、文学があって遊びがある。鋭敏みたいな感覚でつくる というのがすごい。痛いところをきれいにすくい取っている。憧れ。

  • 胸糞悪い。
    この理不尽な地獄は安部公房の描く出口のない地獄に似ている気がする。
    あと、あらすじしか読んだことがないが「ファニー・ゲーム」という映画にも似ているように思う。そして、こんな理不尽な世界があるか?と考えると今、私たちが生きているこの世界が、まさにそれではないかという結論に辿りつくのである。

    また、別の見かたになるが、監禁した作家に、自分と未無、二人ともが気に入る短歌を作れば解放してやると言い、一方が気に入ってももう一方がめちゃくちゃにけなす・・・希望を持たせておいて叩き潰す、いきなり「短歌を提出できるのは6首までであった、だからもうあと1首で決めなければいけない」などと、途中から理不尽な条件を掲示する。このやりとり、かなりふざけて描かれているのだが、作家の精神がめためたにやられていくのが手に取るようにわかる。よくある監禁事件もこのようにして精神を壊し、気力を奪い、隷属させていくのではないかと思った。そういうわけで非常に気持ちが悪い。町田氏はあれだということは知っていたのだが、ここまでサディストであったとは恐れ入った。

  • 初めての町田康さん。
    なかなか癖のある文体。展開はテンポ良く進んで行くのだが、なかなかこの世界観に入っていけなかった。

  • 「人間小唄」
    これは一体なんですか。


    町田康、2冊目読了。この個性は、苦手な人は多そうですが、そんな人にこそ試しに手にとって貰いたい作家の一人ですね。癖になるとはこのこと。ベラんべえ、物語に落ち着きなし、代わりに不安定、でも落としどころがある。だから惹かれる読者もいるのかなと。


    あらすじは、おそらく結構忙しい作家である糺田両奴に、蘇我臣傍安なるものが、いきなり短歌を送りつけることから始まります。意味わかんねーと言いながら読み出す両奴。で、こいつ何考えとるんだ?と短歌に込められた意図を読み取ることにハマりだす。で、気づいたら自分の作品の締め切りに気付き、

    もはや間に合わない

    とりあえず何か出さないとな。このわけわからん奴でよいか。キャラチェン作品と考えてくれるだろう

    受け取った編集担当「意味わかりません」

    でもなんか売れてサイン会やっちゃいます

    とどんどん進んで行きます。でもこっからが問題。ついに短歌を送りつけた奴が両奴の前に現れるんですね。「濃い夏のその濃さゆえの濃い顔のナチュラルメイクこそぎとりてえ」とか謎の短歌を20首を送りつけてくる奴ですからね。思考がネジ抜けまくってる訳です。


    そっから両奴は、監禁され、短歌を書くように命じられる。ここからがもう。とりあえず一読を。

  • 引っ越し準備をはじめてからちょっとストレスが溜まり気味だ。そんな中週末の読書に選んだのがパンク小説家町田康氏の作品「人間小唄」だ。

    ちょっと鬱屈とした気分を吹き飛ばしてくれるかなあと選んだのだが、お話がパンクな文章で書かれているとはいえ筋が理不尽な復讐劇なので残念ながら読み始めた最初の頃はすっきりとした気分で読み進める事はできていなかった。

    話は自分が作品を作家に読んでほしくて郵送したとろ、その作品を盗作され発表されてしまった蘇我臣傍安が恨みを晴らすために作家である糺田両奴を拉致するところからはじまる。拉致からの解放の条件としては①感動する短歌を作る②ラーメン屋を開店し人気店にする③暗殺をするのうち一つを実現するというものでまずそれがむちゃくちゃだ。

    めちゃくちゃな課題も課題だが糺田両奴は火事場の馬鹿力をだして達成しそうになる。だが蘇我臣傍安とパートナーというか共犯者女子高生未無は無茶ぶりをするだけではなく、各課題にそれなりの結果をだしてもあらゆる無理難題を吹っかけ達成を認めない。パンクな文章でパンクな内容が語られて行くのだが不思議といらつかない。いつの間にかパンクな調子になれてしまったときにはこの本を楽しんでいる自分が居た。

    そんな時にふと思ったのがこのパンク小説を映像化するとしたらタランティーノ監督がいいだろうなあというつまんない思いだ。馬鹿らしいまでの物語の展開のパンクぶりとこ気味良い笑いを呼び起こすパンク文章がタランティーノ作品を思い起こさせてくれたためだ。

    そうして読み進むうちに暗殺の場面がくるのだがここでは何が起こっても読者は驚けなくなっている。暗殺に成功したかに見えた糺田両奴は逆に相手に捕まるのだがそこからの展開もギャグ満載だ。

    ギャグの毒にやられながらもなんとか読み進めていくうちに拍子抜けのするようなエンディングにたどり着いてしまう。エーとここまで不条理を徹底するかと思い笑っちゃうのだがそこで人間小唄とはなにかという謎解きがなされる。人間讃歌なのだが最初はピンと来ない。だが読み終わってみると自分の住む世界のハチャメチャさを思い起こさせられ、その混沌の中で行く抜く自分たちへの優しいエールが聞こえてきた。悲壮感漂うギャグに立ち向かう勇気のある人にはおすすめの一冊。

    ギャグを鞭にして読者の忍耐を試すように脳みそを打ち続けるようなパンク小説を読むBGMに選んだのはJohn Coltraneの"Love Supreme"。いまだインパクとあります。
    https://www.youtube.com/watch?v=clC6cgoh1sU

  • パンクな文体、パンクな文体、ストーリー展開に酔いました。
    つうか悪酔いだわ、これは。

    昔与田ってピッチャーがいて、とにかく球が速いんだが、いくら速くてもそのうち慣れて打たれる、って話があったんだけど、今回は初回からナックルボールの連続で、読んでるうちに気分が悪くなっちゃったよ、おい。

    ナックルに酔った頃にスローカーブなんかも出て来て、余計気持ち悪くなった頃に、たまにストレートなヒューマニズム礼讃文が散りばめられて、その響きの空々しさったら無かったよ、ほんま。

    つまり、この奔を通してとにかくヒューマニズムやら大衆に迎合する陳腐な連中を腐したかったんだろうな、うん。
    猿本の醜悪な描かれ方がそれを物語ってる。
    Akbだとかプロヂュースしてるやつなんか、猿なんだな。いや箱だ。根。

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著者プロフィール

町田 康(まちだ・こう)
一九六二年大阪府生まれ。作家。九六年、初小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。二〇〇〇年「きれぎれ」で芥川賞、〇五年『告白』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。

「2022年 『男の愛 たびだちの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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