- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062166034
作品紹介・あらすじ
新宿で殺傷事件に巻き込まれ、逃れるように、十数年ぶりに故郷山形に戻った騎寅。再会した幼なじみでかつての恋人・竜子は、騎寅の父・拓馬の妻となっていた。しかし、拓馬の不在が呼び水となり、嫌いで別れたわけではない騎寅と竜子は、再び体を重ねるようになる-。即身仏伝承の残る現代山形を舞台に、男女のもつれ合う情念と因縁を、濃密なる官能と斬新怪異な物語で綴る、ホラー恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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目覚めた時に、死んでいた麒寅。鏡に映るのは生きている時の姿。本当はどうなの
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意外と愉しく読めました。でも、結局のところどういうこと?
解らんかった。 -
ホラー恋愛小説。今年山形で即身仏をみてきた為、なんとなく気になった小説。即身仏伝承の残る現代山形を舞台に、不思議な空気感で描かれた男女の情念と因果。自分ははたして死んでいるのか?と疑問を持ちながらも、ある事件から逃げるべく生まれ育った山形へ、昔愛した女のもとへと舞い戻る男。激しく求め合う二人だったが、、、。
ラスト数ページに、いや、数行にすべてがあった。生きるということの執念、純粋に人を愛する欲。どん底をみた悲しい瞬間に、すがりたかった人が側にいなかった辛い過去と現在に続く想い。そして、再び戻ってきた彼に告げる言葉は...。上手く表現できないが、女性は単純にはできていないということです...。 -
目覚めたときに自分が死体だと思うという異色の展開です。
こういうありえない設定を読ませてしまう力量、やはりタダモノではないと思われます。なぜヤング向けの作品と違うのかと考えてみますと、イザナミ、イザナギの話とか、即身仏の話とか戦争体験とか使われる素材が違うのですねえ。
マキリというのはマタギとかが使う大きめのナイフです。目覚めた男は血まみれですが、どこも怪我をしていません。連続ナイフ傷害事件の犯人に襲われて、その犯人を殺してしまったようです。自分の目には死体にしか見えない体は、他人には普通に見えるらしく、男は地震の被害にあった故郷、山形に戻ります。そこには昔の恋人が鍛冶屋の父親と結婚していました。戦争があったころに即身仏になった男のミイラがあるとされる洞窟。そこを守り続ける祖父。そしてミイラを商売にしようとする怪しい男が現れ、事態は急展開していきます。
ラストまで、男が生きているのか死んでいるのか謎のままです。
全編に溢れる迫力がすごいです。テレビ化はありえない。映画化ですね。でも歩く死体はどうするのでしょう。西川さんあたりが映画化してくれないかなあ。
ちょっと気になったのは、かつての恋人竜子の目線が後半でちょくちょく入ってきていたところ。ラストで納得はしましたが、そこのところ、どうにかならなかったかなあと。ラストもちょっと唐突だったかな。わかるんだけどね。走りすぎたきらいがありました。 -
ウィークリーマンションの一室で目覚めたら、からだ全身に腐敗網が広がっていた。自分の目で見ると自身のからだは腐りかけの死体にしか見えないが、鏡や写真ごしには顔色もよく健康そのもので、なにより動きしゃべることができる。
そんな奇妙な状態のまま、故郷に大地震があったことを知った騎寅は、音信不通になっていた実家に帰る。
そこには、かつて自分をふった幼馴染の竜子がいた。
即身仏、イザナギイザナミなど、幻想的な印象を与えるエピソードが幾重にも重なって、不思議な物語を築き上げる。特に亀岡文殊の待定坊の話は不気味さもあいまって強く印象に残った。
即身仏となった僧侶に対する考察は乱暴だし不遜だが、頷ける部分もあり、おもしろい。 -
導入部からの連綿とつづくミステリアスな流れに引き込まれついには一気読み。
最後の一ページ、これを描きたいがために作者は描き続けてきたのだなと同じ女性として納得。
ホラー恋愛小説というか、民俗学的な小説でもありました。