作品紹介・あらすじ
一緒に暮らそう、一生に一度の気持ちでそう誓い合った翌日、惨劇が襲った。日本中を悲しみで震撼させたバス転落事故に巻き込まれた男と女。…なにがなんでも、あの人に会いたい。強い気持ちで待ちつづけた時、信じられないような奇跡がおこる。切ない気持ちの輝き、強い願いの果て、空と山がまじわる場所での感動の再会。
感想・レビュー・書評
絞り込み
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幻想的な文章で、不倫を題材にしているけど、ドロドロした感じはなかった。でも、私には理解できない世界観。芳ちゃんは、辰子を愛しているというより、ただの自己チュー男にしか思えないし、辰子も、平凡な毎日から連れ出してくれるなら、何も芳ちゃんでなくてもよかったのではないかという気がして、感情移入できなかった。
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自分の葬式を昔亡くなった不倫相手と見つめている場面がシュール過ぎ
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初めから主人公の回想だったのか…
私の理解力が足りず、よくわからない
独り言のような文体に違和感を持ちつつ、
読み進めた。
素直に受け止めきれないながらも、
さすがに髙城のぶ子…
キラッと光る一文がそこここにあった。
・やみくもに子供が欲しいと思った二十代を通り過ぎると、飢えや渇きと同じで、自分の願望にも鈍感になる。
・人が各々のささやかな気持ちを込めて祈る、あまり公には出来ない希望であっても小さな炎の揺らめきに託す、芳ちゃんとわたしに相応しい夜ではあった。
・この狭い高山市で取り立てて面白い展開など無いだろうが、それでも川の水が絶える心配はないのだから、相応にただ地味に密やかに生きる、それが私らしい人生だと思い決めた。
・なぜわたしと結婚したのか。訊ねても答えが無いのは、私も同じ事、そういう結婚より大変かもしれないけれど、嬉しい悲しい、好きとか怒りとか、気持ちが発色する生活が。
・これまで一度も芳ちゃん以外の人に言ったことが無かった名前を、どうしてそのときは口にできたのか。たまらなく芳ちゃんが身体の中で膨らんで、口から出さないではいられなかった。
・待ち飽きるほど待って、ようやくその時が来た。待ち飽きるとどうなるのだろう、待つのをやめて、待たなくなるのだろうか、それともやはり、待ち続けるのか。
・新しい発見があれば、その分忘れてしまうことも出てくる、忘れたものが何かというのは、忘れているから思い出せないものだけれど、新しい発見が無いので、忘れることもなく、とうとう此処まで来た。ここまで、忘れずに来ることができたのは、忘れずにいる覚悟があったからで、覚悟を持続させることが出来たのは、折々に雨が降ったからだ。
地図で地理的な位置もあちこち確認した。
・名古屋から高山への国道41号線、白川町
・飛騨古川、本光寺
・瀬戸川、荒城川
そして事故、死別から40年が経ち、
旦那が癌で亡くなり、
いよいよ辰子は1人、芳康の祖父が遺した
利賀村の家を買い、8年住んだという。
2人で訪ねた思い出、描いた夢を現実にしたのだ。こんなにも長い時間、芳康を思い、2人の思いを
脳ミソの一点に残し、生かし続けることが
できるのだろうか。
あまりにも美談すぎないか…?と思わなくも
なかったが、人の道に背いていても、
少なくとも辰子にとっては、何の迷いもなく
その一点を大切に残してきたのだろう。
運命に復讐するチャンスとは、
死ぬ一瞬まで忘れないこと…だったんだね。
全編を通して、2人の振り返りであった事、
ラストは辰子の死んだ世界でさえ見下ろし、時を超えて2人が再会をしたのだという、
少しファンタジーめいた終わり方。
2010年発行の割には、何となく古めかしいような、若干、現代との違和感あり。
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怒り、憎しみを描写せずに終幕するので、結局この物語はいったい何だったのだろうという感想。
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昨年読んだ高樹のぶ子さんの『マルセル』はめちゃめちゃ面白い推理小説だったが、今回読んだのは、危ない恋をしている二人の行く末を見つめたある意味ファンタジー小説です。お互い家庭がありながらも、死し合ってしまった二人が迎える結末はある一瞬はたしかに哀しいのだが、高樹のぶ子さんはさすがその後の主人公を見つめ続けハッピーエンドを描き出してます。
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途中から話が分からなくなったが、綺麗な表現の多い作品。
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なんか最初は内容がよくわかりませんでしたが、最後にやっとわかりました。なるほど、奇跡ですよね。
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個人的にとても好きになれない作品。
終盤は共感できる部分はあるが、それまでが酷すぎる。
自分だけならいいのか、もっと家族のことを考えないのか、考えないとすれば、自分一人で生きるべきではないか。
到底、共感できない。
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最後の最後に死ぬ一点。こういうの好きだけど、やっぱり生きてるうちに・・・
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芳ちゃんイイ(*´`)
不倫の憧れなのかな?
雰囲気がもー大人ってかんじ←
著者プロフィール
小説家
「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」
高樹のぶ子の作品
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