- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062180160
作品紹介・あらすじ
■祝・ノーベル賞受賞! 唯一の自伝。はじめて明かした、研究人生とiPS細胞のすべて
決して、エリートではなかった。「ジャマナカ」と馬鹿にされ、臨床医をあきらめた挫折からはじまった、僕の研究――。
■「iPS細胞ができるまで」と「iPS細胞にできること」
ぼくは医師であるということにいまでも強い誇りを持っています。臨床医としてはほとんど役に立たなかったけれど、医師になったからには、最期は人の役に立って死にたいと思っています。父にもう一度会う前に、是非、iPS細胞の医学応用を実現させたいのです(本文より)
■読みやすい語り口で、中学生から読める
感想・レビュー・書評
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山中さんが今まで辿ってきた日々について述べた前半と、後半のiPS細胞に関する質問や生活についてのインタビューをまとめた1冊。
中学生にもわかるような語り口で、難しいことが身近に感じられる。また、スゴイ人なのに、失敗談や上手くいかなかったことも書かれていて、子どもたちには親近感が持てるかもしれない。
たぶん、若い人たちに科学を興味深いと感じてもらいたい、また、こういった分野で活躍する人が今後も出てくることを大いに期待して語っているのだと感じる。
また、学び続け仕事に打ち込む強靭な意志と姿勢、実行力に読み手は敬意をはらうことだろう。
医師という仕事の喜びや、必死にやってそれでも報われず容赦のない結果が見えてしまったときの無常観をいつも感じながら、長いスパンで今後人に役立つことを目指して続ける研究。
本当に頭が下がる。
背後には結果を残すことが出来ないたくさんの研究者たちがいて、競い合うライバルがいて、そんな中で有望な1つを見つけ出せる幸運と実力を両方持ち得た人が最後にゴールテープを切るような厳しい競争の中でトップに立つというのは、想像もつかないことだけれど裾野の広がりを若い人たちに期待したい。
バトンをつないで、さらに大きな成果へとつなげてほしいと、願ってしまう。
またTVで山中さんは、アメリカでは関西風のジョークが受け、英国では東京と似た反応であるとご自分の講演について語っていたが、必ず笑いをとりながら楽しませて聴かせる技術を一度拝見したいものである。
> 焦る気持ちをおさえて、慎重にしかも着実に課題を乗りこえていくこと。結局は、それが、いちばん早くゴールにたどり着く道だと思うんです。(P17)
>V(Vision 長期的目標)とW(work hard 一生懸命働く)
どちらも欠けてはだめだと心に刻もうと思う。
『仕事は楽しいかね?』という本に影響を受けたと山中さんはおっしゃっているが、自問自答に使ってみたいタイトルである。
しなければならない仕事やルーティンワークもあるけれど、少しでも自分にとって楽しくなるように工夫をして、今日より明日の自分の方が前進できているようにと少しばかりがんばる気力が湧いてくる。
レビューを書いている今日、3月1日は県内の高校の卒業式。
かつての高校生は、現役の高校生にエールを送りたい。
あなたたちの未来が希望にあふれ、幸せなものとなるように願いつつ、
大人たちもますますがんばります。 -
ips細胞の発見・作製でノーベル賞を受賞した山中伸弥博士が、自身の生い立ち、臨床医としての挫折から研究者への転向、ips細胞の作製成功までの道のりを語る。
博士がノーベル賞を受賞した時、ips細胞の仕組みについて新聞やニュースでたくさん解説されていたが、結局理解しきれなかった。この本は『世界を読み解く科学本』で紹介されていて、入門書としてちょうどいいのでは、と手に取った。
工場を経営していた実家の影響で、機械いじりが大好きだった少年時代。医師を志し、整形外科医として臨床現場で働くも、手術が苦手で「ジャマナカ」と揶揄される臨床医時代。臨床医から離れてアメリカに留学し、研究者の道に進むことを決断するものの、帰国後思うように研究できず、悩む日々。歴史に残る研究成果を発表した人でも悩み苦しんできたのだと思うと、悩みのレベルは違うが力づけられる。
ips細胞やES細胞の仕組み、これらが今後の医療にどう役立っていくのかといった研究内容についても、細やかな註や身近な例えを用いてわかりやすく説明してくれていて、入門書としてぴったりである。
本書を読んで改めて実感したのは、大成する人はやはり人一倍努力しているのだな、ということ。研究成果がノーベル賞にまで結びついたのには運やタイミングも作用していると思うが、それらを引き寄せることができたのはやはり日頃の努力が大きいのではないだろうか。
また、『世界を読み解く科学本』で本書を推薦した選者が「課題解決が研究目標の第一にある」と評しているように、ips細胞の発見から短期間で実用のめどが立ち、ノーベル賞を受賞することになったのは、博士の臨床医としての経験が実用化ビジョンをはっきりと描きだせていたからなのだと思う。
現在は直接実験に携わらず、ips細胞を中心とした科学技術の発信や研究体制の整備に力を入れているということだが、それも研究の将来を見据えた末の決断なのだろう。
残念ながら、日本では研究費にも人材にも予算がつかないというお粗末な現実がある。ノーベル賞を受賞したことでかなりの研究費を確保し、体制を整えることができたはずの京都大学ips細胞研究所でさえも、180人の職員のうち160人は任期付きの不安定な雇用で、長期的なビジョンが描きにくい状態なのだという。巻末に研究基金の支援のお願いが掲載されていて、なんだか哀しい気持ちになった。 -
前半は山中先生の今までの、研究生活と、実績と、今後の期待。大学卒業から研究生活に入り、海外留学、その後の研究の発展が語られている。一流の成果を出す研究者に共通することは、あきらめずに続けることであると思った。そして、運&偶然のひらめきに恵まれること。これは単に幸運なのではなく、常に考え求め続けた結果である。これからの後輩の育成に是非期待したいところである。
細胞の設計図、しおり、黒いシール。読者にとても分かりやすい表現で説明されていると思った。「神のみぞ知る」でないところがが良い
64
トムとカーニー:マウスの名前がついているところが微笑ましい。
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研究の安全性(倫理について)、日本人が持っている品格であり、誇りに思う。トップを維持すれば、他者との争奪戦にはならない。(この辺りが※邦との違いではないか)
respect nico314さん-
だいさん、こんにちは!
>運&偶然のひらめきに恵まれること。
『恵まれること』、いいですね。
努力が必ず実を結ぶ保証はないけれ...だいさん、こんにちは!
>運&偶然のひらめきに恵まれること。
『恵まれること』、いいですね。
努力が必ず実を結ぶ保証はないけれど、続けていって、それが何らかの領域に達した時もたらされると思うと希望が湧いてきます。2013/08/13 -
nico314さん
こんにちは
そのほかにも、機会に恵まれたら嬉しく、縁もあるし、愛もあるし、
日々、精進しましょう!nico314さん
こんにちは
そのほかにも、機会に恵まれたら嬉しく、縁もあるし、愛もあるし、
日々、精進しましょう!2013/08/13
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関西のおもろい(けど、嫌みがなくとっても知的な)おっちゃん、というイメージを持って、でもきっと自分にも他人にもとても厳しい人なんだろうなぁと思っていましたが、本当にすごい人というのはすごいことをしても普通の感覚でいられるところなのかな。
周りが騒いでも、環境が変わっても、自分がぶれてない。
研究内容などは、はっきりいってさっぱり分からないですが、それでもちゃんと面白く最後まで読める文を書くあたり、そしてなんとなく分かったような気にさせてしまうあたり、さすがです。
設計図としおりね。ふむふむ(笑)
山中教授のエピソードはいろいろ聞きかじっていたけど、一緒のたすきをつないだ研究者さんたち、ご家族や周りのスタッフへの尊敬と感謝を忘れないところや、VisionとWork Hardを決して欠かさないところ、本当にかっこいいです。
iPS細胞での治療が早く実現しますように。 -
iPS細胞についてわかりやすく書かれていたためすんなりと理解することができた。
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山中先生が学生時代からiPS細胞を作るまでの、
山あり谷ありの半生が飾りのない言葉で綴られている。
実験に失敗するたびに、逆にそれをチャンスに変えることができたのは、
常に前向きな姿勢から生まれる、柔軟な発想があったからだと思う。
自分の研究室を持たれてからは、「ぼくら」「ぼくたち」という主語を多用されており、
研究員の方達を信頼し、チームワークを大切にされているのがよく分かる。
そんな先生だからこそ、人にも恵まれたのでしょう。
医師として人の役に立ちたい、病に苦しむ人を一人でも救いたいという熱い思いが
世紀の大発見に繋がったのだと思う。 -
本書のレビューを読んで関心を持った一冊。
ノーベル賞を受賞された、山中教授の自伝です。
テレビの会見から、ユーモアと謙虚さに溢れたお人柄を感じていました。
ノーベル賞をもらうくらいだから、特別にエリートな人なんだろう。そういう思いがなかったと言えば、嘘になります。応援する気持ちはあっても、どこか雲の上の人だと思っていました。
その山中教授が、まさか「ジャマナカ」なんて呼ばれていた時代があったとは。
この本の特筆すべきところは、何よりわかりやすいところ。
大人だけでなく、中学生が読んでも理解できる内容になっています。
ips細胞って、結局のところ何なの?というところや、山中教授の生い立ち、人生観、そしてマネージメントについてと幅広く書かれています。
研究者の世界というのはちょっと、想像もできないような競争社会でした。第一発見者となるためにはスピードが要求されるのに、研究結果は一朝一夕に出るものではない。結果を出すまでに何年、何十年とかかる。
そんな中で、強く自分を律する心を持つというのは、本当に容易なことじゃありませんね。
山中教授が大阪マラソンに出たり、本を執筆されたりしていること、常に謙虚な姿勢でまわりに感謝を述べていることから感じられるように、一人の力じゃなく、応援する人たちがいることはとても大きなことなのでしょうね。
「阿倍野の犬実験はするな」
「VW」
心に留めておきたいと思いました。
VWは、Vison、(長期的目標)、そしてWork hard(一生懸命働く)のこと。
すべての日本人に、一度は読んでもらいたいですね。-
nico314さん
コメントありがとうございます!そして、こちらこそフォローありがとうございます♪
誕生日近いのですね!なんだか嬉しいです...nico314さん
コメントありがとうございます!そして、こちらこそフォローありがとうございます♪
誕生日近いのですね!なんだか嬉しいです。(5月生まれはいい人が多いらしいですよ。なんて。
実は、この本を購入したきっかけが、nico314さんのレビューだったんです。
気になって頭の片隅に置いていたら、偶然本屋で目の前にあって、思わず購入しちゃいました。
なんだかそんな本でnico314さんにコメントいただけるなんて・・・すごい。
これからもぜひいろいろと参考にさせてください。2013/04/09 -
unyoさん
わお!
レビュー読んで下さり、その上、購入のきっかけになったとは、なんだかうれしいです。
私も最近、自分がこっそ...unyoさん
わお!
レビュー読んで下さり、その上、購入のきっかけになったとは、なんだかうれしいです。
私も最近、自分がこっそり気にしていた本をフォローしている方のレビューで発見して、とても驚いたことがありました。
画面のこちらと向こう側で見たり、コメントのやり取りしているのに、
まるで顔見知りの人と、「そういえばこの間言ってた本、読んだよ!」みたいな感じで楽しいですね。2013/04/10 -
最近はブクログレビューから本を購入することもあって、新しい本との出会い方が新鮮で楽しく感じています。
気になっている本や読んだ本を共有でき...最近はブクログレビューから本を購入することもあって、新しい本との出会い方が新鮮で楽しく感じています。
気になっている本や読んだ本を共有できるって、すごく素敵ですよね。
本の貸し借りもいいけど、こんな風に画面越しに「この本すごくよかったよ!」なんて話せるのっていいですよね。わくわくしちゃいます。2013/04/13
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「京都の作り方」でiPS細胞の概念がすっと入る
iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中先生の本です。
iPS細胞とは何なのか?
ES細胞との違いは何なのか?
それが知りたくて読んでみたのですが、その疑問がタイトルにある
「京都の作り方」を読んで、すっと理解することができました。
山中先生の生い立ち、iPS細胞研究へのきっかけ、
研究内容、そして未来へと多岐にわたる話題がふくまれているのに
読みやすいのは、緑慎也さんのお力もあるのでしょう。
合間合間に関西弁が挟まれるのもほほえましいです。
iPS細胞のとっかかりには最適な一冊だと思います。 -
iPS細胞について山中教授本人が著した一冊。
他の人が書いたiPS細胞についての本を読んだことがあるので、目新しさはなかったが、非常に平易な文で書かれており、中学生、小学生でも読めそう。
最後に書かれた、この文が山中教授の覚悟を感じさせます。
「ぼくの父は、息子が臨床医になったことをとても喜んで死んでいきました。ぼくは医師であるということにいまでも強い誇りを持っています。臨床医としてはほとんど役に立たなかったけれど、医師になったからには、最後は人の役に立って死にたいと思っています。父にもう一度会う前に、是非、iPS細胞の医学応用を実現させたいのです。」 -
非常に読みやすいです。やはりこれだけ噛み砕いていただいても理解できないところは多々あるのですが、これだけわかりやすく説明できるということに山中先生の素晴らしさ、すごさを一層感じます。
これだけの偉業を成し遂げた人であっても、阻害されたり馬鹿にされたり思うように行かなかったりという、一般の人が普通に暮らしていても体験するような辛いことを体験していたのだということに励まされる思いがします。出会いの大切さ、チャンスをすかさず掴みに行く俊敏さが大切であること、そして真に偉業を成す人というのは常に謙虚なものであると
いうことを痛感します。
これからもお体大事にされて、世界の悲願を是非とも為していただきたいものですね。
表紙のお顔、とってもハンサムです。お顔立ちもさることながらやはりその心性が現れているのだと思います。
良かったです。
私は、山中先生(∈日本人)の倫理感に注目しました。日本人の品格を感じました。
良かったです。
私は、山中先生(∈日本人)の倫理感に注目しました。日本人の品格を感じました。
感想を教えてくださりありがとうございます!
なるほど。倫理観なのですね。
私の場合、心に強く残っているのは、やっぱり...
感想を教えてくださりありがとうございます!
なるほど。倫理観なのですね。
私の場合、心に強く残っているのは、やっぱり山中さんのマネジメントやリーダーシップに関わる部分です。
今の私にとって、最も興味があることが、「組織(規模は様々でしょうが)を経営する」ということなんだと思うのです。
ブクログを通して、読んだ人全員が同じ感想や同じ評価をすることはないということを改めて感じています。皆さんがどのような感想を持っているか聴かせてもらえるのは、とても楽しく貴重なことで、とても近くに感じることができます。
私のレビューも「今の私」を色濃く反映しているものなのかもしれません。
こちらこそ、「nico314なう」をありがとうございます。
Doctor of Philosophyに相応しい研究者...
こちらこそ、「nico314なう」をありがとうございます。
Doctor of Philosophyに相応しい研究者と思いました。私はリーダーに不可欠なものだと考えます。(道徳・倫理)
後半部分については、まさに同感。
しかしながら、長々と“コメントひとりじめ”することに良心が痛むこともあり。