- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062183819
作品紹介・あらすじ
「大事なことを三つ言っとく。緊急時は非常停止ボタン。間に合わなければ走れ。線路に落ちたら退避スペースに入れ」 酔っ払う乗客、鉄道マニアの同期、全自動化を目論む副駅長に、圧倒的な個性をもつ先輩たち。毎日100万人以上が乗降する東京駅に配属された若菜は、定時発車の奇跡を目の当たりにし、鉄道員の職務に圧倒される。臨場感あふれる筆致で駅を支える人と行き交う人を描ききった、書き下ろしエンターテインメント!
感想・レビュー・書評
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鉄道会社の現業職について自分は何も知らなかったので、新しい世界が見えた感じでとても新鮮に読めました。舞台である東京駅は数えるくらいしか行ったことがないです。よく東京駅を利用する人は物語を身近に感じることができて、もっと面白く読めるんだろうなとちょっと羨ましく思いました。
この本を読んで駅にはいろんなストーリーがあるのだと感じられて、駅に対するイメージが少し変わった気がします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表紙の東京駅に惹かれて借りた。
勝手に「駅」「朱野さん」で物語を想像していて、印象がちょっと違った、と思ってしまった。
駅務員になった直。いい大学にいて、就職活動も順調だったようなのに、なぜ駅務員に?その謎を徐々に解き明かしていく。
たくさんの乗客の中から、直に手を差し伸べるくれた5人を探し出し、その先に直が期待するものは何だったのだろう。家族の別れから乗り越えなければならない現実。 -
東京駅に配属された、訳あり新人駅員の視点から描かれる物語。
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「東京駅の駅員になるのが、夢でした」
東京に配属初日に、そう語った新人駅員の若菜直。
しかしその言葉は、彼女の本心ではなかった。
彼女の過去に、一体何があったのか…?
そして若菜がとある理由から探している5人と、その理由とは…?
隠れ鉄オタの同期・犬塚、同い年の先輩・由香子、端正な顔立ちに荒々しい言動の藤原、副駅長・吉住の笑顔の下に見えるどす黒い思惑、ある過去を抱えた松本、老駅員・出雲…
それぞれの生き方と考えが交錯し、物語が紡がれていく。
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電車を毎日毎日通常運転するために、駅員さんはこんなにも苦労されているのだな、と思いました。
わたしは看護師ですが、やはり患者さんから理不尽な言動をされたことが何度もあります。
でも駅員さんもおなじような目に合われている姿をみて、どんな仕事にもそうした側面があるのだな…としみじみ思いました。
「お客様は神様」という言葉がありますが、わたしはこの言葉が大嫌いです。
「お客様も人間、看護師も駅員もどんな仕事をしている人も人間」という言葉を、ぜひ広めていただきたいです。
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主人公の若菜直は、ある事情のために駅員になった女性です。
彼女は過去に駅で倒れたことがあり、その際に自分を助けてくれた5人を探しています。
ですが、お話とはいえ、東京駅という場所でこんなにもポンポン5人が見つかることに違和感を覚えました。
ただ、駅員さんの仕事ぷりや大変さを知ることができたのは、とても良かったです。
こうした駅員さんの仕事を教えてくれるお話って、小説やドラマであまり見かけないと思うのですが、なぜなのでしょうかね。
空港の仕事ドラマはよく見ますが、駅員さんの仕事をドラマ化するとなると、撮影が難しすぎるのかな…。
若菜の過去に関するエピソードはご都合主義な面が否めませんが、駅員さんの大変さを教えてくれたという点で、☆☆☆3つにしました。 -
東京駅で働く新入社員たち。中の事情が知れて興味深かったけど、小説としては展開に無理があるところが多すぎた。
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表装とタイトルで手に取りました。
お仕事小説の定番な流れではあるけれど、「仕事、がんばります!」って感じではなく、仕事に対してもがく感じが好きです。登場人物も面白い人物が多くって、読みやすい。駅を利用したくなりました。 -
一流大学で経済を学び、一流商社に内定が決まっていた若菜は、ある理由から東京駅の駅員になる。暗く打ち解けない同僚、怖い先輩、エリート意識の強い上司、駅員に安易に暴力をふるう客、鉄道オタク・・・。若菜が駅員になった本当の理由とは。
面白かった!!!久しぶりにのめり込んで読んだ。
心に屈託を抱えながらも、何事にも全力を尽くそうとするまっすぐな若菜が清々しい。そんな若菜に振り回される個性的な駅員たちも、みんな立派なプロだ。
東京で暮らしていた頃にこれを読んでいたら、通勤で毎日遭遇する駅員さんたちを見る目が変わったかも。 -
駅のホームで倒れた自分を助けてくれた五人の男女を探し出すため、大学卒業後志望していた商社を諦めて東京駅の現場の駅員になる主人公、若菜直。
いろいろな出来事がきっかけで、直は五人を見つけ出していく。
巨大なターミナル駅を起点とした様々なエピソード。
五章に分かれており、五人を探す過程でいろいろな事が起こるわけだが、あまりにもご都合主義過ぎる。
五人に会わせるために神様が仕組んだとしてもこう上手くはいくまい。
テレビドラマでさえ、これほど都合よくストーリーは進まないだろう。
探していた人物との再会の設定があまりにも強引過ぎて、物語の進行に違和感を覚える。
だって、毎日何十万人の人々が行き来する東京駅構内での人探しなど不可能に決まっている。
しかも探す相手はたった一度会っただけの人物だ。
いくら「奇跡」という言葉をつかわれてもねえ。
出てくる駅員たちのリアリティが薄いし、人間的魅力も乏しい。
これほど傲慢で、なおかつ乗降客を恫喝するような言葉を吐く駅員など見たこともない。こんな言葉遣いの駅員がいたとしたら、乗客から逆にクレームつけられるはずです。
(時代設定は近未来を想定しているらしいけれど)
テーマ自体は悪くないと思うが、これでは読者がついてこないのでは?
「ダ・ヴィンチ」でお薦め本として紹介されていたので、図書館から借りてみたが、ちょっと期待外れ。
それでも七月の発売開始以来、三か月で七刷までいっているのだから、そこそこのヒット作だ。
テレビや雑誌で大きく取り上げられるだけで最近の本は売れるのだなあ、とあらためて実感しました。
作者はダ・ヴィンチ文学賞でデビューしたらしいが、地の文の表現も、会話文も、まだ今一つこなれていない気がする。 -
鉄に詳しくない自分読みなせるかな…と最初は少々不安だったのけど、読み始めたらもう、ぐぐぐぐっと引き付けられて。
昨日と同じ今日、今日と同じ明日、明日同じ…と毎日同じことが繰り返される、いや繰り返されなければならない場所、それが「駅」。
そんな「駅」で日々起こる、小さいけど悲しいできごとと、それを奇跡に変える「優しさ」。
いつもと同じ一日が少し輝く奇跡の物語になるのは、人の優しさと勇気があるから。そう、人がいてこその、奇跡。
読み終わって本を閉じたら、電車が、駅が今よりも少し好きになる、そんな一冊 -
ちょっと重めの理由を隠して、装って東京駅で働く女の子は、それでもがんばりやで頭がよくて行動力があって応援したくなる話だった。いやうまくいきすぎでしょと思わなくもないけど、人の再生物語なんでそんなもんかなと。