迎え猫 古道具屋 皆塵堂

著者 :
  • 講談社
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  • / ISBN・EAN: 9784062188388

作品紹介・あらすじ

幼い頃から続く不運は「猫の祟り」!?

憑きものだらけの古道具屋に曰くあり? の猫が集まり……

笑えて、泣けて、ちょっぴり怖い?
猫好きにも大満足の「人情怪談騒動記」!

魚屋・巳之助の知り合いである幸七の仲間が次々と首を括った。
祟りに怯える幸七は、以前皆塵堂に居候していて幽霊が見えるという
太一郎を頼るが、太一郎の態度に異変が。
一体何が見えた? 幸七はどうなる?
一方、猫に囲まれて暮らすのを夢見る巳之助のまわりに、
続々と猫が集まってくる。
巳之助は野望実現のため一計を案じるが……

感想・レビュー・書評

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  • 978-4-06-218838-8
    C0093¥1500E
    迎え猫
    古道具屋 海神道
    2014/03/19. 第1刷発行

    著者:輪渡颯介(わたり そうすけ)
    発行所:株式会社講談社

    初出:次に死ぬのは メフィスト2013 vol3. その他は描き下ろし

    -------------------------
    目次
    次に死ぬのは
    肝試しの後に
    観音像に呪われた男
    煙草の味
    三途の川で釣り三昧
     参考文献
    -------------
    魚屋・巳之助の知り合いである幸七の仲間が次々と首を括った。
    祟りに怯える幸七は以前皆塵堂に居候していて幽霊が見えるという太一郎を頼るが、太一郎の態度に異変が。いったい何が見えた?幸七はどうなる?
    一方猫に囲まれて暮らすのを夢見る巳之助の周りに、続々と猫が集まってくる。巳之助は野望実現のため一計を案じるが・・・。

    ----

    少し時間が空いてしまったけれど、続きが読めるのが楽しみです。

    --------------
    シリーズ4冊目
    これまでに登場した(主として皆塵堂に勤めた”わけあり”の)人たちがたくさん登場しました。

    陰気な雰囲気の人はそのままに。
    誠実で片づけ上手な人もそのままに。
    見えちゃう人はさらに見えちゃって、問題解決に一役買います。

    次々に、猫が皆塵堂に集まり、困った困ったと言いながら、困っている人はほぼ居ない。
    今回は雷蔵さんは出てこなかったけど巳之助は相変わらず。表紙は巳之助、裏表紙は峰吉でした。



    経師屋 襖、屏風の張替えや新調掛け軸の表装などをするお店

    ●次に死ぬのはお前だ
    巳之助 簿手振りの魚屋 強面力業 猫好き
    幸七 こうしち 巳之助の知り合い 経師屋に奉公
    太一郎 たいちろう 銀杏屋の若旦那 見えちゃう人
    お兼 おかね 幸七の母親
    お夏 稲田屋(幸七の奉公先)の女中15.6のほっそりとした娘
    安次郎 幸七より2歳上
    仙助 幸七より2歳上
    彦造 幸七より3歳年上
    宇吉 幸七より1つ上、ケガをして店をやめる
    鴨居にぶら下がっている男。
    清左衛門 材木商の大店鳴海屋のご隠居 皆塵堂の地主
    峰吉
    鮪助
    伊平次
    太一郎
    弥助やすけ 15.6歳の若者気の強そうな面構え、彦造の店で働いている
    白助 太一郎の家の猫
    彦造の部屋を空にするために訪れるとそこにはキジトラの子猫が二匹いた。

    ●肝試しの後に
    辰五郎 皆塵堂の並びの米屋のオヤジ
    雷鼓 らいこ キジトラの子猫 オス
    野分 のわけ キジトラの子猫 メス
    竹次郎 たけじろう 蕎麦屋の次男坊
    おたみ 蕎麦屋の娘 竹次郎の許嫁
    春吉 菓子屋の跡取り息子
    豊蔵 八百屋の倅
    茶四郎 竹次郎の店のそばに捨てられた猫 将棋セットの代わりに皆塵堂に持ち込まれた。(ろうそく屋のご隠居がかわいがっていたと思われる猫)

    ●観音像に呪われた男
    益治郎 大黒屋の主 行商に出向くことが多い、留守は茂蔵が勤めている。小間物屋で紐や簪など小さなものを商う店
    茂蔵 しげぞう 大黒屋の店番 巳之助に活を入れられ今はまじめに働いている。
    利吉 りきち 梅田屋の跡取り 子どものころの茂蔵の手習い仲間 店は筆などを扱っている
    椿屋 瀬戸物屋 茂蔵の奉公先だった。今は店が亡くなっている。茂蔵のやめた後、一家ではやり病にかかり、主と小僧さんが亡くなって店をたたんだ。

    ~茂蔵の父は筆職人 できた筆を利吉の店に収めている

    ●煙草の味
    庄三郎 浅草信濃屋(呉服や)
    佐太郎 さたろう 飯屋の倅
    越川屋 田原町の袋物屋
    卯兵衛
    新助 しんすけ 卯兵衛の放蕩息子
    和七 腕のいい彫り物大工 甲州の出身「甲斐の和七」
    隠居して引っ越すときにお礼に細々と彫った根付や仏像をお礼に渡す。茂蔵には観音様をお守りにくれた。
    茂蔵が和七の猫を守ってくれたと知ったから。

    ●三途の川で釣り三昧
    春疾風 はるはやて
    夏木立 なつこだち
    秋時雨 あきしぐれ
    冬日和 ふゆびより

    雷鼓 野分 
    茶四郎 ろうそく問屋の隠居が飼っていた猫 竹次郎経由で皆塵堂へ
    黒兵衛 茂蔵が観音様に導かれて出会った猫、皆塵堂へ

    -----------------

  • 経師屋の仕事を休み、引きこもる幸七の恐れているものとは。
    蕎麦屋の仕事が手につかない竹次郎の悩み。
    茂蔵の足を引っ張る呪いの観音像。
    煙草の味が変わる煙管が伝えることとは。
    庄三郎に会いに来た喜八の頼みごと。

    読んで行くうちにどんどん皆塵堂に猫が増えていく。いったいどこまで増えるのか。
    猫まで個性的でその描写が楽しい。

    「目の前の煩い事から逃げ出したところで、それで苦しみが終わる訳じゃないらしい。もし、あの世があるとするならば、それはこの世の続きでしかないようだ。」

  • 2020.08.31読了

    ねこづくしの巻

    巳之助のネコ好きもすごいが
    太一郎のネコ嫌いもすごい
    しかも、ネコ嫌いの太一郎をネコが好きなのもおかしい

  • 久しぶりの再読。
    幽霊や怪現象付きの『曰く品』も構わず扱う古道具屋《皆塵堂》の物語第四作。
    これまでは様々な事情を抱えた男たちが《皆塵堂》に居候するうちに再生していく展開だったが、今回居候するのは猫たち。
    一つ事件が片付く度に《皆塵堂》に残るのは猫、猫、猫。沢山の猫たちの行く末は?
    それにしても《皆塵堂》が片付いているだけで自分は実は死んでいるのでは?と清右衛門が勘違いするとは、どれだけ普段が汚いのかと笑ってしまう。
    どんなに大変な状況でもマイペースな伊平次や勢いの巳之助やいざという時は頼りになる太一郎や、超現実主義な峰吉らがいれば、今日も大丈夫と思える。
    幽霊が出てこようが、猫だらけになろうが、店の中はゴミ溜めみたいだろうが、気にするなという、そういうユルさが楽しい。

  • シリーズ4作目。1話目、自殺しなければならないほどの不幸に追いやった者たちに、遺髪を介して呪い殺す、ガツンとくる話からスタートするが、今回は、全話通して豪快な巳之助を中心とした話で、スカッと読み終えた。さらに各話、猫を絡めた不思議もあり、出るわ出るわ、猫・猫・猫と猫だらけ!鮪助のお手柄もあり、とても楽しい巻でした!

  • さてさて、今回の主役は棒手振りの魚屋・巳之助です。
    皆塵堂を賑やかにしてくれる脇役の一人として、シリーズ1作目から登場していたのですが、ついに!…といった感じです。

    前作から巳之助が神頼みをしていたお願いごと、それは「猫と猫好きのかわいい嫁さんと暮らすこと」。
    なかなかその願いが叶わぬまま、それでも仕事が終われば顔見知りの猫たちに会いに行く巳之助ですが、今回は行く先々で幽霊やら呪いやらの事件にぶつかります。
    そんなとき頼りになるのは幽霊の見える幼なじみと皆塵堂。
    …ということで、今日も今日とて皆塵堂を賑やかしに行く巳之助でした。

    今回は事件のたびに皆塵堂なぜか子猫が集まってきます。
    あれよあれよという間に増えた子猫たちとともに迎える大団円に満足のため息。
    この子猫たちがこれからも登場することを期待しています。

  • シリーズ4作目だが,1~3では全体の話の軸となるレギュラー以外の登場人物が皆塵堂に居候する展開だったのだが,今作ではそれが不在。強いて言えば,猫が居候役を務めていると言える。今作の各話の中で,成り行きで皆塵堂に子猫が集まってきてしまい,最大9匹。その猫たちの引き取り手を探すというのが縦軸になっている。
    「次に死ぬのは」
    魚屋の巳之助のお得意先の息子は経師屋だった亡き父のあとを継ぐべく修行を済ませ,現在お礼奉公中。それが済んだら再び自分の家の店を開くと思われていたが,最近塞ぎ込んでいて仕事も休みがちだという。母親に頼まれて巳之助が話を聞いてみると,同じ店で同じ時期に修行していた仲間がこのところ立て続けに自殺しているという。それで次は自分の番では?と怖がっていたようだ。
    「肝試しの後に」
    巳之助が気紛れに入ったいつもと違う蕎麦屋では注文を受けた店の息子がぼんやりしていて注文を忘れてしまっていていつまで経っても蕎麦が出てこない。怒って店を飛び出し,近くのいつもの蕎麦屋に行くと,その店の看板娘が相談を持ちかける。先程の蕎麦屋のぼんやり息子はこの娘の許嫁だそうで,最近様子がおかしいので心配しているという。しかし何があったのか話してくれないので,巳之助に聞き出してほしいというのだ。
    「観音像に呪われた男」
    巳之助の弟分となった茂蔵は益次郎の大黒屋で真面目に働いているが,そのための引っ越しの時に元々持っていたものを一切合財皆塵堂に売り払っていたが,ある日皆塵堂に駆け込んできて観音像はまだ売られてしまっていないかという。その観音像は子供の頃近所の爺さんにもらったものだが,何故か頻繁に夢に登場してきて,夢に現れた翌日には必ず悪いことが起こるのだという。その日も棚から落ちてきた大黒様が額にあたって瘤を作ったという。
    「煙草の味」
    伊平次が引き取ってきたさも高級そうな煙草道具の付いた根付はどうも曰く品らしい。珍しい根付を集めているという主人のために庄三郎が一旦持ち帰るが,すぐに返しに来た。これでタバコを吸うとタバコの味が変になるというのだ。伊平次は根付に彫られた「甲斐」という刻印を何処かで見た記憶があるのだが思い出せない。
    「三途の川で釣り三昧」
    巳之助は子猫たちの引き取り手を見つけるためにさんざん根回しをし最後のひと押しという所まで来て,ある人物の説得のため皆塵堂で清左衛門にひと肌脱いでもらう計画となっていた。
    一方,庄三郎は以前信濃屋で一緒に働いていた喜八に突然声を掛けられる。喜八は信濃屋をやめて家業を継ぐことになっていたはずだが...。

  • 今回は全て、猫がらみの逸話。
    猫をいじめていた男たちが、次々と首を括る。

    猫好きな名人の大工が作った欄間や、根付を持っている人に、老人の幽霊が見えたり、タバコの味が変わったり。

    いくつかの事件が、すべて猫が絡むことに気付く太一。

    さて解決に向かうは?
    皆塵堂全員出動!

  • これまで1冊に一人ずつ使用人が入っては辞めていった皆塵堂だが、このペースで登場人物を増やすと人間関係が複雑になりすぎると作者が考えたのかどうかはわからないが、今回は、使用人ではなく巳之助が中心の話。無類の猫好きで、行く先々で猫を構う。拾ってくる。長屋で飼えずに皆塵堂に預ける。預けた猫に会いにくる。彼を中心に、これまでの登場人物も活躍して、人間関係もどんどん面白くなってきている。

  • 皆塵堂4
    次に死ぬのは
    肝試しの後に
    観音像に呪われた男
    煙草の味
    三途の川で釣り三昧

     皆塵堂に、子猫が次々やってきて、最終的に巳之助が、長屋で猫を飼えるようになった話。
     

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著者プロフィール

1972年、東京都生まれ。明治大学卒業。2008年に『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』で第38回メフィスト賞を受賞し、デビュー。怪談と絡めた時代ミステリーを独特のユーモアを交えて描く。『古道具屋 皆塵堂』シリーズに続いて『溝猫長屋 祠之怪』シリーズも人気に。他の著書に『ばけたま長屋』『悪霊じいちゃん風雲録』などがある。

「2023年 『攫い鬼 怪談飯屋古狸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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